町田康と辻仁成。どうもこの二人のイメージがいつまでたってもごっちゃになってしまう。
バンドをやっていることや、作家として活動していること、そして同じ年に 芥川賞の候補に挙がり、受賞時期は違えど二人とも芥川賞作家となったことも。これだけ揃えばごっちゃになるのもしょうがないと諦め、楽しみながら読めそうだと手に取った町田康のデビュー作。読み始めると、ダメ男だけども、どこか人の好さと正直さで、なんとも憎めないアラサー男の周囲で起こるドタバタ劇が何とも愛嬌があって、楽しみながらページを捲る。
「くっすん大黒」では、突然毎日ダラダラして生活したいなと思い仕事を辞めてしまい、言葉通り毎日酒を飲んではダラダラと生活する男が、安物の大黒様の人形が気に食わず、捨てようと思うが、捨て場所やそのシチュエーションに拘りながら、街をさまよう。
「河原のアパラ」ではレジに並ぶ時はフォーク並びをするべきと拘りの強めの男が、癖の強い女性と一緒に働くうどん屋で問題が発生し、転がり混んだ居候先で紹介される遺骨搬送の仕事を一緒に手伝うことになる。
共通してるのは、アラサーと思われる少々拘りの強い男が、少し年下であるが、ちょっと抜けていながら一緒に何かを共有して楽しめる連れがいること。
「くっすん大黒」
の菊池と夜の浜辺ではしゃいでいる様子は、なんだか時間を持て余した大学生感満載で、なんとも微笑ましい。
「河原のアパラ」の淀川とすったもんだの末にたどり着く歓楽街を経て、河原に座ってボッーとしている姿などは、楽しいことも無茶も一緒に共有してくれる連れが何人かいれば、人生はそれほど思い悩むことなく進めるものなんだと、そんな気分にしてくれる若々しい一冊であろう。
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