街中を歩いていると、バスや看板広告で、「短時間、高収入、女性だけのバイト情報」などという文字を良く見かける。誰もが生きていく上でお金が必要で、誰かに養ってもらう以外では、どうにかして自分が生きていけるだけのお金を稼がなければいけない。
労働はつらいものである。ストレスや人間関係、面白くも無い仕事もお金の為に自分を殺して我慢しなければならない。それでも、月末に手にできるのはそれほど自分が欲しいものを勝ったり、好きなものを食べたりできるような余裕のある額ではなく、家賃や生活費を差し引いたら手元に残る額はたかが知れている。
そうなると、どうすれば収入を増やすことができるかと考える。何かの専門知識を身につけ、その特殊技能によって報酬を増やす。つまりは時間単位での収入を増やしていくか、もしくは時間自体を増やしていく。つまり時間ごとの報酬が決まっているのなら、働く時間を増やしていくしかない。昼間と夜で別の仕事を掛け持ちしたり、家に帰っても仕事をしたりと、どんどんと自分の時間を削っていくことになる。
専門知識は資格や免許など、取得するまでに多くの時間の学習が必要となり、同時にそれなりのお金の投資も必要となる。なによりもそこまでの忍耐が必要だ。これはつらい労働時間を増やすのも、体力的にも辛いし、自由にできる時間もどんどん削られる。これは面白くない。
そうなると、今度はどうやってその両方の問題をクリアできるか考える。つまり如何に時間当たりの報酬を増やし、短い時間にて十分な収入を得られるか。
こうなると、通常の経済圏の中でいてはどうにもならない。そこから一歩外にでることで今までの常識を外していくしかないとなる。都市伝説のように実しやかに囁かれる高額バイトの数々。自らの健康をリスクに晒すか、闇社会に足を染めていくか、犯罪に加担するか。
そんな数々の一般社会から外にある経済活動の中でも、極めて普段いる自分たちからの距離が近く感じられ、通常の職業となんら変わらないかのイメージに近づいてきているのが冒頭の広告。つまり水商売や風俗と言った性産業の夜の世界。
女性が様々な形でその性を売り物とすることで、通常では考えられない時間単価を稼ぎ出す。昨今、メディアで何度も繰り返し報じられる現代の「女性の貧困」の問題に関して、一つの繋がりとして一般社会から非常に見えにくくなっているために、その実態が把握しきれない部分が多いからと、手にとってみた一冊である。
しかしどうもこの一冊も統計学の観点から捉えただけであり、この本質を知るためには、なぜ女性達がその世界に入っていかなければいけなかったのか、もしくはあまりにカジュアルに女性がその世界に入っていくことになっている現代社会の現状や、何よりもその産業を裏で操っている様々な闇社会の実態、それらを総合的に描き出すには、社会学者や気骨のあるジャーナリストではないとできなく、とても新書として出版する本で費やせる手間と労力ではないのだろうと思わずにいられない。
このタイトルから世の中が期待するのは、いったいどれだけのお金がそれぞれの風俗や水商売に使われて、その中のどれだけの割合が女性に入り、お店に入り、そこからその裏にいるであろう組織に入り、そのお金がどの様に表社会に戻ってきて使われているのか。
またその業界に従事する女性の数だけでなく、この夜の世界の経済があるからこそ生きていけている人間の数。お店で働く男性スタッフや、運営側の人間、そのお店にスペースを貸す賃貸オーナーなどなど、いったいどれだけの人間が、一般社会とはかけ離れた経済単価の世界に依拠するために、どれだけ恩恵を受けているのか。
街中に当たり前に入り込んでいる性産業の風景がこの街、この国からなくなったとしたら、いったいどれだけの人間が路頭に迷うのか、生活に困るのか。駅前商店街が風俗街に変わってしまった北関東の太田市の様に、一般社会での経済概念から考えたら圧倒的に楽なお金の稼ぎ方をもたらしてくれるこの夜の世界。一度楽なほうに流れたら、二度と苦しみを伴う方へは戻れないのが人間。
女性を商品として自らの利権を守ろうとする運営側。世間体は悪いが自分が楽に稼げるなら見て見ぬ振りを続ける風俗ビルのオーナー達。そして事情はそれぞれであろうが、個人主義が横行し、かつてよりもよっぽどカジュアルに足を踏み入れていく女性達。
これだけの多くの女性が、何かしらの形で夜の世界に関わっているとしたら、自分の周りにも口にはしないけど実はそうだったという人がいるのかもしれないと思いながらも、やはり統計学的に数字で説得力を与えるよりも、自らドロドロとした世界に入り込み、外から見えない世界を描きだす、そんな本を読みたいものだと思いながらページを閉じる。
労働はつらいものである。ストレスや人間関係、面白くも無い仕事もお金の為に自分を殺して我慢しなければならない。それでも、月末に手にできるのはそれほど自分が欲しいものを勝ったり、好きなものを食べたりできるような余裕のある額ではなく、家賃や生活費を差し引いたら手元に残る額はたかが知れている。
そうなると、どうすれば収入を増やすことができるかと考える。何かの専門知識を身につけ、その特殊技能によって報酬を増やす。つまりは時間単位での収入を増やしていくか、もしくは時間自体を増やしていく。つまり時間ごとの報酬が決まっているのなら、働く時間を増やしていくしかない。昼間と夜で別の仕事を掛け持ちしたり、家に帰っても仕事をしたりと、どんどんと自分の時間を削っていくことになる。
専門知識は資格や免許など、取得するまでに多くの時間の学習が必要となり、同時にそれなりのお金の投資も必要となる。なによりもそこまでの忍耐が必要だ。これはつらい労働時間を増やすのも、体力的にも辛いし、自由にできる時間もどんどん削られる。これは面白くない。
そうなると、今度はどうやってその両方の問題をクリアできるか考える。つまり如何に時間当たりの報酬を増やし、短い時間にて十分な収入を得られるか。
こうなると、通常の経済圏の中でいてはどうにもならない。そこから一歩外にでることで今までの常識を外していくしかないとなる。都市伝説のように実しやかに囁かれる高額バイトの数々。自らの健康をリスクに晒すか、闇社会に足を染めていくか、犯罪に加担するか。
そんな数々の一般社会から外にある経済活動の中でも、極めて普段いる自分たちからの距離が近く感じられ、通常の職業となんら変わらないかのイメージに近づいてきているのが冒頭の広告。つまり水商売や風俗と言った性産業の夜の世界。
女性が様々な形でその性を売り物とすることで、通常では考えられない時間単価を稼ぎ出す。昨今、メディアで何度も繰り返し報じられる現代の「女性の貧困」の問題に関して、一つの繋がりとして一般社会から非常に見えにくくなっているために、その実態が把握しきれない部分が多いからと、手にとってみた一冊である。
しかしどうもこの一冊も統計学の観点から捉えただけであり、この本質を知るためには、なぜ女性達がその世界に入っていかなければいけなかったのか、もしくはあまりにカジュアルに女性がその世界に入っていくことになっている現代社会の現状や、何よりもその産業を裏で操っている様々な闇社会の実態、それらを総合的に描き出すには、社会学者や気骨のあるジャーナリストではないとできなく、とても新書として出版する本で費やせる手間と労力ではないのだろうと思わずにいられない。
このタイトルから世の中が期待するのは、いったいどれだけのお金がそれぞれの風俗や水商売に使われて、その中のどれだけの割合が女性に入り、お店に入り、そこからその裏にいるであろう組織に入り、そのお金がどの様に表社会に戻ってきて使われているのか。
またその業界に従事する女性の数だけでなく、この夜の世界の経済があるからこそ生きていけている人間の数。お店で働く男性スタッフや、運営側の人間、そのお店にスペースを貸す賃貸オーナーなどなど、いったいどれだけの人間が、一般社会とはかけ離れた経済単価の世界に依拠するために、どれだけ恩恵を受けているのか。
街中に当たり前に入り込んでいる性産業の風景がこの街、この国からなくなったとしたら、いったいどれだけの人間が路頭に迷うのか、生活に困るのか。駅前商店街が風俗街に変わってしまった北関東の太田市の様に、一般社会での経済概念から考えたら圧倒的に楽なお金の稼ぎ方をもたらしてくれるこの夜の世界。一度楽なほうに流れたら、二度と苦しみを伴う方へは戻れないのが人間。
女性を商品として自らの利権を守ろうとする運営側。世間体は悪いが自分が楽に稼げるなら見て見ぬ振りを続ける風俗ビルのオーナー達。そして事情はそれぞれであろうが、個人主義が横行し、かつてよりもよっぽどカジュアルに足を踏み入れていく女性達。
これだけの多くの女性が、何かしらの形で夜の世界に関わっているとしたら、自分の周りにも口にはしないけど実はそうだったという人がいるのかもしれないと思いながらも、やはり統計学的に数字で説得力を与えるよりも、自らドロドロとした世界に入り込み、外から見えない世界を描きだす、そんな本を読みたいものだと思いながらページを閉じる。
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序章 「夜のオンナ」のお金の行方
/目的に見合った金額
/ホステスたちの出生経路
/オンナの昼の顔と夜の顔
第1章 あなたが払ったお金は誰の手にわたるのか
/企業の交際費はいくら減ったか
/銀座のホステスの年収は3000万円
/ホステスがもらう大きな「手当」
/キャバクラの儲けはどこへいくか
/セクシーキャバクラという業態
/ホストクラブに使われるお金は1兆円
/ホストクラブの客の過半はホステスと風俗嬢
/芸者とコンパニオンの収入の違い
/夜に働く主婦の儲け
/女性パート・タイマーの稼ぎの総計は3~4兆円
/「昼クラ」へ向かう主婦の稼ぎ
/女性たちとパチンコ産業の関係
第2章 いちばん稼いでいる「夜のオンナ」は誰か
/時給ランキング第一位はあの仕事
/ソープランドで働く女性の取り分
/ソープランド営業はどこまで合法か
/「待ち行列理論」を応用した風俗調査
/ソープランドの個室をつくるためにはいくらかかるか
/日本全国のSMクラブの女性の稼ぎは年間1680億円
/なぜM女のほうが割高なのか
/ストーリー性を求められ始めた夜の仕事
/急成長するデリバリーヘルスの市場規模が2.4兆円に達した理由
/ピンクサロンで働く女性の給料は基本的に時給制
/ビデオ・ボックスの法的な問題点とサービスの中身
/新しいタイプの性風俗店で稼ぐ女性たち
/低迷を続けるストリップ劇場
/女子中高生らの援助交際相場は10万円以上になる
/東南アジアでの自動買春問題
第3章 日本の夜に稼ぐ外国人女性たち
/フィリピンパブは都会より地方で広がる
/アジアンエステでのお金のやりとり
/韓国エステの98%が違法行為
/日本国内での外国人売買春の市場規模
/摘発された外国人女性不法就労者の11%が売春を経験
/「ガラス戸の女」として働いていた外国人女性たち
/母国への送金を担う地下銀行の実態
/外国人不法就労者の増加は日本経済にマイナス
/ラブホテルは儲かっているのか
/1軒あたり20室、1日2.5回転が平均
/夜のビデオ、DVD業界はなぜ「セル」で設けるのか
第4章 外国では「夜のオンナ」はどうしているか
/米国の売春産業は地下ビジネスの5%を占める
/深刻化するキューバの売春問題
/売買春を「完全合法化」した国の狙い
/売春宿が株式上場を実現した国の名前
/公娼制度を廃止した台湾、台北市
/中国の人身売買の相場
/家族に収入の大半を送金するタイからの出稼ぎ女性
終章 日本の「夜のオンナ」をどうするべきか
/働く女性へのサポートが十分にできていない
/売春防止法は有効に機能しているか
/風俗産業に携わる女性の安全確保と福利厚生
/外国人労働者の受け入れ
/未成年の風俗産業からの保護
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