2014年5月3日土曜日

国家(ネーション)の時代が終わり、都市の時代がはじまった

なかなかタイムリーな記事を発見する。

~国家(ネーション)の時代が終わり、都市の時代がはじまった~

都市を考えていると、全てを飲み込んで成長していくようなある種の怪物的な制御不能さを覚えずにいられない。ある種の生命体としてそこでどんなことをしようとしている個々の人間の意図など軽がると超えて、自ら最適化を繰り返しながら更に巨大化し、人知の及ばないところまでいってしまっているのではと思わずにいられない。

そんな現代の都市。

人類史上誰もが経験したことのない巨大都市が世界中のあちこちに現われている。地球環境にとてつもない負担をかけながらも、何処で止まっていいのか誰も分からず、ただただ経済という終わりなきエネルギー源に後押しされて誰が制御し切れているのかも分からないまま成長を続ける都市達。

その姿にある種の恐ろしさを感じるのは人として極めて当然の反応だと思わずにいられない。

情報革命、交通革命を経た現代においては一体どんな都市が理想的なのだろうかと頭を悩ませずにいられない。

2014年5月2日金曜日

生まれた場所の特性

人は自らが生まれる場所を選ぶことは出来ない。
しかし、その場所には歴史の中で培われてきた特性と言うべきものがある。

その場所に生まれ育つことは、そのような様々な特性を帯びて育ってきた地域で時間を過ごし、その特性を身体中に吸い込みながら成長していくことである。

例えば、東海地方。

太平洋に沿って、京都から江戸への東海道は温暖な気候に恵まれ、海洋輸送や海岸線沿いの比較的安定した陸上輸送の線上に位置し、いつの時代にも流通の強みを握り、戦闘時におけるスピードを得ることと同意であった。

そしてその場所の特性、価値というのはその時代時代の社会の中心となる場所からの距離にも比例することになる。長く京都を中心として発展した日本の中世。そして江戸へと中心が移動しても、影響力を持ち続ける京都との二重中心。そのどの時代においても、二つの中心を繋ぐ中間に位置する東海地方の優位性は疑うことはできない。

その地の利から直接的に得られる交通の便。交通がもとらす人の流れ、モノの流れ、金の流れ、そして力の流れ。

そこの地に天下を統一する下地を作った信長が、
その後を受けて天下を統一した秀吉が、
そしてその後の安定政権を築き上げた家康が生まれたのは歴史の必然であったのだろう。

信玄があと少し遅く生まれていたら。
正宗があと少し早く生まれていたら。

そんな「もし」が語られる歴史のドラマ。
しかし信州から天下に手が届いただろうか。
奥州から京都への距離をどう縮小できたか。
山陰から天下を窺うことが可能であったか。

そう考えると、歴史には必然が隠れており、それは地形と時間の中で偶然の様に見えながら数々の必然が重なり織り成した土地の力が隠れている。

それはその時に足を運び、その土地を見て、身体で感じ、地図を眺めて意味を読み取ろうとしなければ決して目の前に現われては来ない。

そこに行かなければいけない。

そうして今の世界を眺めてみる。
今の世界はどこが中心で、一体どんな価値を生み出しているのか。
そしてその価値が自らの人生においてどんな意味を持つのだろうか。
そして今自らの住まう場所は、何処に繋がっているのだろうか。

生まれた場所の特性を理解し、自らの身体の中に蓄えられたモノ語らぬ土地の力を把握し、そして今自らの住まう都市の特性を理解して生きること。

それがこれからの時代に必要になってくる能力なのだと思わずにいられない。

プーチン

モスクワで折角だからと手に入れてきたマトリョーシカ。普通の女の子のものでは芸が無いと、「きっとあるはずだ・・・」と確信を持って街中を探しやっと見つけ出したのがこちらのもの。

プーチンをトップに歴代のロシアのトップが中から現われてくる。これが結構愛らしい。なので妻と二人で、「はい、プーチン」などといいながら遊んでいるのだが、やはり他の人たちの名前も気になってくる。

何人かはうっすらその名前が分かるのだが・・・と思ってオフィスに持って行き、中国人のスタッフに見せると、見事に全員の名前を口にする。なんでも学校で勉強するらしい。ここら辺にその国で教育を受けていないと分からない一面があるのだと理解する。

ロシア人のスタッフを捕まえて、用意してくれたお勧めマップにお礼をいい、マトリョーシカを見せると、各人の名前をメールで送ってくれる。

Biggest to smallest:

1. プーチン Vladimir Putin
2. メドヴェージェフ Dmitry Medvedev
3. エリツィン Boris Jelzin
4. スターリン Joseph Stalin
5. レーニン Vladimir Lenin

やはりプーチンが一番愛嬌がある気がしてしょうがない・・・




「青の炎」蜷川幸雄 2003 ★★★

貴志祐介による原作の映画化。その監督は蜷川幸雄。そして主役を演じるのは、当時トップアイドルとして活躍していた松浦亜弥と演技と軸に売り出し始めていた嵐の二宮和也。興行的にも十分集客を期待できるキャストに、知名度のある監督。

17歳の主人公。大人に近づいてもそれでもまだ大人の保護を必要とする事実。その葛藤に苦しむ少年。それを見事に描く二宮和也。

アイドルを使った興行的な映画だとばっかり思っていたが、いやはやすっかり見入ってしまった。ネットでかなり評価が高いのも納得できる一作。人が思い悩むのはいつの時代もやはり人が原因ということで、若い頃にはその感情を抑えきれず、淡々と突っ走っていってしまう冷えた狂気を見事に映像化してくれる。
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スタッフ
監督 蜷川幸雄 
脚色 蜷川幸雄
原作 貴志祐介
製作総指揮 角川歴彦
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キャスト
二宮和也 櫛森秀一
松浦亜弥 福原紀子
鈴木杏 櫛森遥香
中村梅雀 山本英司
山本寛斎 曾根隆司
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作品データ
製作年 2003年
製作国 日本
配給 東宝
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「都市は人類最高の発明である」 エドワード・グレイザー 山形浩生 (訳) 2012 ★★★★

現代はまさに都市の時代であるのは間違いない。どの国に住まうかよりも、どの都市に住まうかの方がよっぽどその人の人生に影響を与える。情報革命と交通革命を伴ったグローバル化を終えた世界においては、人口の流動化は誰にも止められない。チャンスを得ることができる人々であればあるほど、より「良い機会」を与えてくれる「都市」へと流れ込む。

そこに現われるのは、1000万を超えるメガロポリスとなる勝ち組としての数少ない大都市と、そこに向けて若者を吸いあげられ、街の産業を維持することが出来ず、年金などの老人経済に頼るだけの高齢者だらけの地方都市。そしてその中間に位置する、大都市ともならないが、それなりの規模を誇り、地元に残る若者にある程度の快適さを提供することができるが決してイノベーションは生み出さない中核都市。

この3つのパターンに日本だけでなく、世界中の風景が急激に再編成されている現在。誰もがこの現象に危惧を覚え、どうすれば地方を救えるのか、何が都市をそこまで強力にしたてているのか、様々な角度から分析をし、何かしらのヒントを見つけようと必死になる。

それが全世界同時的に行われているのが現代の状況。そしてそれが建築や都市を考える分野の専門家だけでなく、それ以外の分野でも同時に分析がなされている昨今において、20世紀の都市における言説の中で最も読まれたであろうジェイン・ジェイコブズの「アメリカ大都市の死と生」に迫るばかりの勢いで、建築関係者の中で広く読まれたのがこの一冊。そしてその作家は1967年生まれの若いハーバード大の都市経済学者である、エドワード・グレイザー(Edward Ludwig)。

こうしたハードコアな建築関係の書籍は、読むのにもやはり時間がかかるが、必然的にマーカーで線を引く部分も多くなり、つまりはそれをパソコンに打ち込むのに大変な時間がかかる。そしてその後にこうして自分なりに纏める時間が必要になるので、建築関係の本を読んだ後にアップできるのは必然的に数ヶ月以上の時間がかかってしまう。

現在進めている南京のプロジェクト。そして参加したモスクワの都市計画のコンペ。そんな日常を過ごしているとやはり現代の都市が何処に向かっているのか、現在の日本の問題と今後の課題とは何かを考えざるを得なく、じっくり時間をかけて読んできた一冊。その内容を見ていくことにする。
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・はじめに われら都市生物
アメリカ人2億4300万人が、国土の3%を占める都市郡にひしめき合っている。
我々は都市を選ぶ
人類進歩そのものを研究するに等しい行為
距離の死を生み出した技術的なブレークスルーにもかかわらず、実は世界はフラットなどではない。それは舗装されているのだ。
都市は勝利した

NY 人口爆発 運輸技術の変化のお陰 ハブ港の筆頭
距離の死 輸送費の優位性が破壊
都市を人類最大の発明品としているのは何か
都市というのは、人と企業の間に物理的な距離がない
近接性、密度、身近さ、
国の都市人口比率が一割上がると、一人当たりのGDPは3割上がる
多くの小企業と高技能市民がたくさんいると栄える

都市とはその人々なのだ
都市人口は流動的だ

現代の都市は自動車のもの
輸送技術は昔から都市形態を規定してきた 
フレンツェやエルサレム 歩く都市 街路は狭く、くねり、店舗が密集 
マンハッタンのミッドタウンやシカゴループ 鉄道とエレベータを中心に建設された地域、街路の幅がもっと広くて、格子状 車中心の都市 ロサンゼルス
都市とはその人々なのだ
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何度も繰り返される印象的な言葉「都市とはその人々なのだ」。それに象徴されるように、中世の様に生まれた場所に一生縛り付けられる様な時代から開放された人類は、移動することがそのまま「都市の選択」となる。家族、仕事、教育、環境、暮らしやさ、安全、様々な要素が絡み合う中、積極的であれ、消極的であれ、何かしら選択を踏まえて人は都市に住まう。

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・第1章 バンガロールの産物は?
都市教育ハブ

/知的入港地:アテナイ
都市は文化の間のゲートウェイ
紀元前6世紀のアテナイ トルコ西部の羊毛生産港ミレトスはヨーロッパ都市計画の父ヒポダムス ヒポダムスの格子状の平面計画
ソクラテスは独自のイノベーションを行ってそれをプラトンに教える、プラトンはアリストテレスを教えた
アイデアは高密な都市空間で人から人へと移動する

/バグダッドの叡智の館
バグダッド 世界の知識を輸入し、アラビア語に翻訳する 図書館

/バンガロール ブーム都市への歩み
都市は常に文明が知識をやりとりする最も有効な方法だった
都市の持つ近接性
翻訳で必ず何かは失われる
インフォシスの台頭は、距離の死を意味しているように思えるが、一方で近接性がかつてないほど重要になっているという解釈
インフラはやがて陳腐化するが、教育は賢い世代が次の世代を教えるので永続する

/教育と都市の成功
通常アメリカでは、ある場所の技能水準を推計するには大卒者の人口比率を見る
人々が高技能地域に集まるのは、所得が高いからだ
国際貿易とグローバリゼーション 輸送費低下により低技能労働はアウトソースできるようなったという

/明日の都市
効率性の改善、消費が減るどころか増える状況は、ジェヴォンズのパラドックス
情報送信の最も効率的な手段などを手に入れることで、情報送信にかける時間は、経るどころか増える
一部の場所は取り残される。あらゆる都市が成功する訳ではない
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・第2章 なぜ都市は衰退するのだろう?
デトロイト市 空き家
100万人以上減った 総人口の58%が転出 市民の3分の1は貧困状態
工業都市は、こうした古い商業都市や現代の情報時代の首都とは違っていた
自己完結的 外部世界とは切り離されていた

/自動車以前のデトロイト
自動車は二つの新しいアイデアを組み合わせた新アイデア
ジェヴォンスの相補性理論 効率のより情報技術は対面で学んで情報の価値をもっと高める

/ヘンリー・フォードと工業都市デトロイト
古い都市はすべて、いずれは産業の斜陽化に直面する
デトロイトが必要だったのは人的資本

/コールマン・ヤングの正義の怒り
建築は成功の結果であって原因ではない
ビルバオ市のグッゲンハイム美術館の成功で、文化機関が都市刷新戦略として成功するという見方がもっともらしくなった。
140万人だった観光客数は380万人に増えた
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・第3章 スラムのよいところ
リオデジャネイロ市のイパネマビーチ スラム ファヴェーラ
プラトン あらゆる都市は、いかに小さくとも、実は二つに分かれている。一つは貧困者の都市であり、もう一つは金持ちの都市だ
貧困が集中したスラム
都市が貧困者だらけなのは、貧困者を引き付けるから
以前の暮らしでは見つけられない長所を都市が提供するから
自由な社会では、移住によって明示的に 生まれた場所にとどまることで暗示的に、生きる場所を選ぶ
都市に引き付けるのはどんな力か
仕事 労働市場
大都市は雇用主の多様化したポートフォリオなのだ

/リオのファヴェーラ
ブラジルの貧困地方部に住む人々と比べるべきだ

/インナーシティ
交通が都市を形成する力を反映したものだ
あらゆる移動は二種類の費用がかかる お金と時間
お金持ちは、短い通勤時間という特権を出せるお金が多いから

/政策で貧困が拡大
密度には、便益と同時に費用もかかる
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・第4章 貧困者住宅の改善方法
/病んだ都市の治療
紀元前430年にアテナイにペスト
病気に対する公共保健対応
死者の発生パターン観察から生まれたもの
都市は都市の健康を確保するために綺麗な上水を提供しなくてはならない 
自衛する都市のイノベーションの例 都市は自分自身の解決に必要な情報を生み出すのだ

/道路を増やすと交通は減る?
都市のすばらしい利点 人々を結びつけること
道路の利用について課金
道路を増やしても決して交通の遅れは解消されない 混雑課金なら解消する

/都市を安全に
犯罪 
初の近代警察が形成されたのはルイ14世のパリ
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・第5章 ロンドンは豪華リゾートか
典型的な21世紀都市は、労働者達が消費で優位に立てる場所になる可能性のほうが高い
生産的なばかりか楽しい場所にもする
自分にとって興味深い人物と接触する機会を与えてくれる

/規模の経済とグローブ座
ケヴィン・スペイシー オールフォヴィック劇団 監督
劇場やオペラハウス、美術館などの固定費は なぜ都市と結びついているかを説明してくれる
大量の観客を持っていて

/結婚市場としてのロンドン
都市の密度が伴侶候補に出会う確立を高める
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・第6章 高層ビルのすばらしさ
パリのシャンゼリゼ
オースマン 上水と下水 秩序ある全体

/摩天楼の発明
バベルの塔 以降、都市と塔を作ろう

/三つの簡単な規則
偉大な都市は静的ではない
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・第7章 なぜスプロールは拡大したか?
/自動車以前のスプロール
成功した新しい交通手段 3段階 
道路があると車輪交通は大幅にスピードが上がる
道路の建設と維持は、強力で裕福な文明を必要とする
13世紀 ローマ時代以来はじめてパリを舗装
馬はエリート向けの輸送技術
その費用が大量公共交通を通じて分散負担できるようになったときが初めて
ニューヨーク市で初の公共交通 1827年 集合馬車
金持ち向けのアップタウン近隣の成長が可能になった
バスも金持ちの交通手段として始まった
都心から脱出する動き
古い地区は歩行者時代にできて 車輪交通が中心になるとずっと秩序だった都市ができる

2つのネットワークを必要とした 鉄道そのものネットワーク 電力網
都市は空洞化した。ブラウン大学の経済学者ナサニエル・ボームスノー 高速道路が都心を通過すると、一本ごとにそこの人口は18%減る

/アメリカを車中心に再建
公共交通との結びつきが完全に消える例
徒歩交通があることで、古いコミュニティはそこそこ密度を保った、だが自動車はそれを変えた。歩く必要性をなくした
典型的な駐車スペース
駐車ビルが必要
スプロールの根底にあるのは、文化ではなく車

/蓼食う虫も なぜヒューストンに百万人も移住したのか
アメリカ第4位の都市
平均的なアメリカ世帯の稼ぎ
金銭的な得は時間的な損失で帳消しになる
家が買いやすいことなのだ
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・第8章 アスファルトこそ最高のエコ
都市は木々に囲まれた生活よりもうずっと環境によい
田舎を都市に持ち込むこと
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・第9章 都市の成功法
/帝都東京
国の政府が中央集権化されると、首都はそれだけ大きくなる

/マネジメント良好都市:シンガポールとガボロン
シンガポールの成功は、賢い人の高密集積が、驚くほど有能な公共セクターに恵まれたと金、イノベーションを起こして反映するという驚くべき能力を反映したもの
教育に投資

/ドバイは多くを望みすぎ
都市の成功には建設が必要だ。でもだからといって、あらゆる場所がニューヨークや上海になれるわけではない
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・結論 フラットな世界に高層都市
アリの巣が、個別の虫の能力をはるかに超えたことをやるように、都市は孤立した人間ができるよりはるかに大きなことをやる。都市は協力を可能にする。
人類の最も重要な創造物である知識の共同生産を実現するのだ。
人々は才能ある人々の周りにいるためだけに、高い都市物価にも我慢する
人類は他の人たちから実に多くを学ぶので、周りに人が多いほうが学べるのだ。
大都市では、人々は共通の関心を持つ仲間を選べる
インターネットはすばらしいツールだが、対面で学んだ知識と組み合わせたときに最大の効果を発揮する
高い輸送費の為に、よいアイデアを世界中に売ることですぐ設ける能力は制約されていた

/グローバル化を通じた都市化
今日の最も成功した都市 ロンドン、バンガロール、シンガポール、ニューヨーク 
都市は多国籍企業や国際ビジネスマンをひきつける
トップの高給取りと最下層の労働者の両方にあてはまる
オープンな都市が閉鎖的な国の中に存在することはできない

/人的資本に手を貸そう
教育 大学に通うことで稼ぎは8割増える
人的資本 つまり教師の能力

/助けるべきは貧乏な人で、貧乏な場所ではない
古い地域は常に新興都市に追い越されてきた

/消費者都市の台頭
今日のロンドンやニューヨークやパリの成功 一部は消費者都市としての強みを反映している
芸術やオルタナティブな生活様式への寛容性と、おもしろくてエキサイティングな都心を強調する

/都市の贈り物

訳者あとがき
相当部分は既存のアイデアや技術の組み合わせで生じる
近接させること
最も重要なこと その他あらゆる面での多様性を保つこと
高層化
身の丈にあった都市規模を確保しよう
無理に復興させるべきではない
でも今の日本のように、大学進学率が5割を超え、大学生の希少価値がまったくないところで、大学があって大学生が集まるだけでいいんだろうか
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仕事の帰りに胡同という昔ながらの長屋の並ぶ路地を通る。夕方には夕済みの為に道にでて椅子に座って近所の人と喋りこむおばさん。蚊がいない北京のお陰で上半身裸で内輪を仰いでいるおじさん。アイフォンで音楽を聴きながらランニングする若い女性。近所の子と走り回って遊んでいる子供達。その足元では首輪をつけられずヨタヨタあるいている犬の姿。

そのすぐ先には月何十万円という高級マンションに住まうグローバル・エリート達が住んでいる。それがこうして同じ地区に共存し、それぞれがそれぞれの幸せを感じながら、今の生活に満足して住まうことが出来る都市。これはある種現代の都市の抱える問題を解決した究極の姿かも知れないと思わずにいられない。



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■目次
・日本版への序文
・はじめに われら都市生物

・第1章 バンガロールの産物は?
/知的入港地:アテナイ
/バグダッドの叡智の館
/長崎で学ぶ
/バンガロール ブーム都市への歩み
/教育と都市の成功
/シリコンバレーの台頭
/明日の都市

・第2章 なぜ都市は衰退するのだろう?
/赤錆地帯の台頭
/自動車以前のデトロイト
/ヘンリー・フォードと工業都市デトロイト
/暴動はなぜ?
/都市の刷新 一九七〇年以降のニューヨーク
/コールマン・ヤングの正義の怒り
/カーリー効果/壮大な建築物
/赤錆地帯に残る
/縮小して偉大になる

・第3章 スラムのよいところ
/リオのファヴェーラ
/社会の梯子を上がる
/リチャード・ライトの都市脱出
/アメリカゲットーの興亡
/インナーシティ
/政策で貧困が拡大

・第4章 貧困者住宅の改善方法
/キンシャサの窮状
/病んだ都市の治療
/街路清掃と汚職
/道路を増やすと交通は減る?
/都市を安全に
/健康上の便益

・第5章 ロンドンは豪華リゾートか
/規模の経済とグローブ座
/分業とラム・ヴィンダルー
/靴・アンド・ザ・シティ
/結婚市場としてのロンドン
/高賃金の欠点

・第6章 高層ビルのすばらしさ
/摩天楼の発明
/A.E. レフコートのそびえたつ野心
/ニューヨークを規制す
/高さが怖い
/保存の害悪
/パリ再考
/ムンバイの失策
/三つの簡単な規則

・第7章 なぜスプロールは拡大したか?
/自動車以前のスプロール
/アーサー・レーヴィットと量産住宅
/アメリカを車中心に再建
/ウッドランズにようこそ
/蓼食う虫も なぜヒューストンに百万人も移住したのか
/なぜサンベルトの住宅は安いのか?
/スプロールの何がいけないの?

・第8章 アスファルトこそ最高のエコ
/田園生活の夢
/汚れた足跡 炭素排出の比較
/環境保護主義の予想外の影響
/皇太子と市長 二つのエコビジョン
/最大の戦い インドと中国のエコ化
/もっと賢い環境保護論を求めて

・第9章 都市の成功法
/帝都東京
/マネジメント良好都市:シンガポールとガボロン
/スマートシティ:ボストン、ミネアポリス、ミラノ
/消費者都市 バンクーバー
/成長都市 シカゴとアトランタ
/ドバイは多くを望みすぎ

・結論 フラットな世界に高層都市
/都市に競争の公平な機会を
/グローバル化を通じた都市化
/人的資本に手を貸そう
/助けるべきは貧乏な人で、貧乏な場所ではない
/都市貧困という課題
/消費者都市の台頭
/NIMBY 主義の呪い
/スプロール偏重
/エコシティ
/都市の贈り物
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2014年5月1日木曜日

クローズアップ現代 「極点社会~新たな人口減少クライシス~」

久々にゾッとするクローズアップ現代。やはりネットでもかなり話題になっているようであるが、一体何処に向かってしまうのかこの国の未来は・・・

縮小社会が叫ばれて久しい現代日本。地方では限界集落と呼ばれる高齢者だけが取り残された自立できない集落が大量に発生しているなか、この特集では更にその先を描き出す。

極点社会

今のところ日本の地方を支えているのは高齢者の経済力。それは実際に労働の対価として稼ぎ出す報酬ではなく、長年積み立ててきた年金。その年金を便りとして回っている多くの地方自治体。

これが一部での現象で、他の地方では若者が増加し、全体としてバランスが取れているならまだしも、現在の日本を襲うのは全体的な人口減少。そして地方を襲うのは若者だけでなく今や老人すら減ってきているという事実。

高齢者の年金で成立していた地方経済が縮小し、今までなんとか成立していた雇用の場が失われ、就職もできず、結婚も出来ない若年女性が増加する。彼女らの受け皿となるのは、東京などの数少ない勝ち組の大都市への流出。

一度彼女らが流出すると、残された地方は、限界集落を越えてただ消滅を待つだけの崩壊集落へと変容していく。いくら一度流出していった彼女達が何年後かに田舎に戻ろうと思っても、その時にかつての田舎の姿はもうそこには無い。また彼女達が戻ってこようと思えるような職・住環境もまた地方には用意されていない。

更に恐ろしいのは地方自治体が自らが首都圏で運営するケアハウスで働く人材を地元で採用し、そのまま首都圏に送り込むことによって、更に地元から若い女性の数が減っていくという負のループ。若い女性が減れば、子供を産む人も減り、必然的にその地域は消滅していくのみである。

縮小社会に入った国家の避けられない一現象であるのは間違いない。しかし問題なのは、現在の日本においては、機会や報酬など全てをとっても数少ない大都市の一人勝ちの状況になってしまっているということ。

国全体が同時に縮小するのではなく、全体が縮小する前に、崩壊していく地方から更に未来の可能性である若者を吸い上げる大都市がいて、それが地方の疲弊を加速させる。

都市に出てきた女性が、求める結婚相手を見つけるのにどれくらいの時間がかかるのか、激しい競争の中で十分な環境で子供を育てることができるのか。都市には都市の問題がある。

人が住まなくなった空家。しかしそれを取り壊して更地にすると更に税金を取られることになる。そんな時代錯誤のシステムが蔓延る中、事態は既に深刻な状況にと陥っている。

一時期待ち状態が何ヶ月にもなっているといわれたケアハウス。それも既に空き室が出てきているという。稼働率が低下することで、利益が無くなっていく。そうなると無駄な価格上昇で更に一般消費者を苦しめることになるのなら、行政の適正な判断で統廃合を繰り返し、適正価格へと持っていくのが妥当な線であろう。

ここで描かれているのはまさに巷に溢れる様々な縮小社会関連の書籍に書かれていることそのもの。マイルドヤンキーという地元に住み着いた若者がまだいる地方は良いということで、そんな彼らからも拒否をされた地方都市は今後更に崩壊社会へと突き進むであろう。

恐らく今後の20年。日本中の地方で見るも辛い本当の意味での都市間格差が明らかになってくるだろう。それはそこに住まう人がいいとか悪いとかの問題ではなく、都市として生き延びることが出来なかった、都市として今後を生きる若者を惹きつけることが出来なかった、つまりはそんな都市として放置してしまった行政の問題でしかないのだろうが、そうして誰に知られることも無くひっそりと消滅していく様々な都市があるはずである。

その消えていった都市を見過ごすのではなく、21世紀の日本の地方の風景を本気になって考えて、現実味のある街づくりへと着手していくことがこの時代に残された我々の役割なのだと思わずにいられない。

2014年4月30日水曜日

世界に繋がる為にいる北京

GWにあわよくば日本に帰国しようと手配していたチケット。しかし5月末の締め切りを迎えるとても大切なアメリカのコンペの為にとてもじゃないが休みなど取っていられない状況だと把握し、泣く泣くチケットをキャンセル・・・

しかし悪いことばかりではなく、同じタイミングで東京からと上海から北京へとやってくる親友達に会える時間が出来たこと。本来なら帰国しているから残念だと言っていたが、急遽キャンセルになった為に連絡をとりあい、折角だからと一緒に夕飯をとる事に。

東京からやってきた友人は国内最大のアートフェアのイベントを手がける、アートフェア東京でエグゼクティブ・ディレクターを務める金島君。同い年で昔北京にいたときからずっと仲良く、今も帰国や出張時に合流し昨今のアートの潮流などを教えてもらったりしている。

もう一人は上海でギークピクチュアズという映像の制作会社をやっている大学時代からの友人の村上君。「今度北京にも小さなオフィスを構える必要があるからということで、クリエイティブが集まりそうなレンタル・オフィスを紹介して欲しい」というので、外人友達に聞いたところを紹介したらなかなか気に入ったらしくその契約も含めての出張とのこと。

折角なので一緒に合流してご飯でもということで、金島君と共通の知り合いの日本人のグラフィック・デザイナーさんと共にレストランへ。久々の再会を懐かしみながらも、互いに合っていない間の時間にお互いがどれだけ成長したかを行っている仕事の内容などで理解するのもまた楽しいものである。

そこに居合わせる誰もが何年も海外、特に中国の大都市で生活を経験したことのある者として話に出たのだが、やはりある一定数の日本人が居住する都市においては、日本人であるということだけ、日本で仕事をしていたということだけで仕事がいただけるという状況が出来てしまったりする。

それは、もちろんその土地に進出している日本の企業相手の仕事や、まだまだ発展途上の現地の競合相手が辿りつけないクオリティを求めてくるクライアントの仕事など。つまりは日本人でいること、もしくは日本でプロフェッショナルとして働いた蓄えが使える状況である。

しかしそれとは異なり、世界で戦う為にこの場所にいるということも同時にある。

海外で働いていると、今まで蓄えた職業的知識や経験でなんとかやりくりできることもあるだろう。しかし次第にその引き出しをなくし、引き出しの中身がなくなってくると、今度はその組み合わせ、その場しのぎ的なことでやりくりする様になる。

自分では分かっている。若い頃思い描いていたプロフェッショナルな姿。技能をあげて、どんどんやれる事も増える。しかしその成長が止まっている。ある時からこの場所では自分はプロフェッショナルとして成長できないと環境のせいにしてしまっている自分の姿。その中で自分が情けないと思う事。

それを防ぐためには職業的野心を捨てる事。お金を稼ぐ事、生きる為に仕事をしていて何が悪いかと。なんで毎回世界に誇るような新しいアイデア、素晴らしいデザインを出さなければいけないのか。そういう風に世界を眺めるようにして自分を守る。

もう一つはクライアントを下に見る。これくらいのレベルの人に世界レベルのもを提示しても理解できないだろうと。だから合わせてあげているんだと自らに言い聞かせる。

それはつまり自分の気力が終わっている

これらは全てプロフェッショナルとして常にどうやって自らの職業的能力の向上を果たしていくかを考えて生きなければいつかは必ずぶち当たる壁である。

何処に住まうかではない。どう生きるかの問題である。
真剣に生きていたら時間なんて無いはずである。休む暇なんて無いはずである。

そんなことを話しながら、あくまでも自分は世界に挑戦する為に今この都市に生きているんだと自信を持って言いたいし、今より3年後、3年後より5年後の自分のほうが建築家としてより素晴らしくなっているだろうと思いたい。

「朋あり遠方より来る、また楽しからずや」

いつもべったりくっついていなくても、時にこうして再会し、酒を酌み交わし、こんなことを思わせてくれる友人が少なくともいることに幸せを感じる北京の夜である。