2011年8月7日日曜日

ロンドン ①




蒸せるようなバンコクの湿気から逃げるようにロンドンに。

かつて建築の世界の中での自分の立ち位置を確認しようと思って飛び込んだヨーロッパの地。そして本当にいろんなことを教えてくれた街・ロンドン。

その第二の故郷の風景を妻に見せようと、
その地でどんな友人に囲まれて時間を過ごしたかを妻と共有しようと、

その友人達に人生のパートナーとして選んだ女性を紹介してしようと、

そんな想いでこのグランドツアーの本当の開始点に相応しい都市・ロンドン。

住んでいる時には日常に埋没してしまってか、あまりに近視的になっていたのかでその良さが分からなかった建築や、行くことがなかった場所に、今回は予習をしっかりし、行きたいリストをしっかりと友人達に事前に通知しパンパンの行程表と「ロンドン縦断―ナッシュとソーンが造った街」を片手に降り立つヒースロー空港。

そこで可愛らしい看板を手にして待っていてくれたのは大学院時代を同じチームとして共に過ごした香港人のサイリル。「ロンドンに来るなら絶対に家に泊まってくれ!」と言い張るが、別の友人に既にお世話になることが決まっているので・・・と伝えると、「ならば、せめて車で迎えに行く。」と言い、教えている大学が夏休みということもあり、変わらない笑顔と溢れ出るホスピタリティーで、長距離フライトの疲れも吹っ飛ぶ。ARUPで照明デザイナーとして働く奥さんのメリッサも、会社を早退してくれてわざわざ一緒に迎えに来てくれる。この二人のホスピタリティには今も昔も学ぶとこばかり。

「ラブ・アクチュアリー」でも描かれるように、この空港には沢山の出会いと別れがしっかりと共存できている。他の国でもそうであるが、誰かが訪れてくる到着口のゲートで友人や家族がそれを待ちうけ、笑顔と共に家に帰ってくる。そんな空港の風景は日本の空港ではあまり見かけられない気がする。

友人や家族も空港まで迎えに行くには仕事を休んだり調整しなければいけない。楽なようにと車で行こうとすれば、車を所持していなければいけない。他の国に行ったときにも「私は仕事でいけないから、代わりに弟を迎えに行かせるよ。」と会ったこともない弟さんが車でピックアップしてくれたこともあったが、日本以外には空港での時間がより生活の中にしっかりと取り込まれているんだと思わずにいられない。そしてそれを可能にする、人間らしい人との繋がり、時間の使い方を可能にする「ゆとり」が社会にちゃんと根付いているんだと理解する。日本の社会がその「ゆとり」を持つ為に、果てしない時間と努力が必要だと思わずにいられない。

飛行機の中で学生時代にどんな風に一緒に時間を過ごしていたかは長々と妻に話してあったので、早速、妻を彼らに紹介してとにかく車にということで、相変わらず多国籍で異国情緒溢れるヒースローの風景を抜けながら駐車場へ。

妻にとってはこれが始めたのロンドンとなるので、それならば絶対電車でセンターに行くのではなく、車で郊外から徐々に中心に向かって、テムズ川沿いを夕日を見ながら走ってビックベンの足元を走ってトラファルガー広場から北上するという、オールド・ロンドンの街の骨格が分かるルートがいいんじゃないかと言う事になり、時差もすっかり忘れながら一日の終わりに向けて暮れていく街並みを楽しむ。

テムズに移りこむバターシー発電所を眺めて、ウィリアムとケイトの結婚式で沸いたウェストミンスター寺院を抜けてビック・ベンへ。ところどころで止めて貰ってはダッシュして写真撮影へ。アドミラルティ・アーチを抜け、トラファルガー広場のライオンを眺め、暗くなる前に数日間お世話にならせて貰う日本人(徹さん)とスペイン人(クリスティーナ)の建築家カップルの家のあるキングス・クロスへと向かうことに。

ロンドンでジェエリー・デザイナーとして活躍するナオ君も来てくれていてサプライズに喜が増す。もちろん皆顔見知りということもあり、久々の再会を喜び、とりあえず荷物を置かせてもらうと、用意していてくれたタパスとワインで久々の再開とよいグランド・ツアーに乾杯。

話すことはつきないが、明日からのグランド・ツアーの予定について詳しく詰めないといけない!とワイワイ言いながら久々のロンドン一日目が暮れていく。




















2011年8月6日土曜日

バンコク ★★

 

海外において鉄腕アトムは「アストロボーイ」と呼ばれている。日本人がキョトンとなることの一つだろう。ロンドンの大学院時代には、そんなアストロボーイというあだ名を持つタイ人の同級生がいた。

グランドツアーの目的地の一つ目は彼が事務所を構えるバンコクだと決めて、トランジットの一泊でなんとか捕まえようとフェイスブック。現地で電話をすることで落ち着きとりあえずスワンナプーム国際空港到着。暫く前なら政治的混乱から空港すら閉鎖されていたというのが信じられないくらいの平和な光景。

とりあえずタクシーでホテルに向かうのだが、基本的にバンコクの運転手は道を知らない。もちろんナビなど就いているはずも無く、地図を印刷しておいて大正解。人懐っこい笑顔で簡単に騙そうとしてくるので、世の中そんなに甘くはないと厳しい態度で対応。

腹ごしらえをして、懐かしのカオサン・ストリートの喧騒にまぎれ、そのまま夜の王宮まで足をのばす。超高層の屋上が屋外バーになっているという、恐らく今のバンコクの最先端スポットに行くために、王宮前からタクシーを拾うが、運転手が全く要領を得ない。その割りに恐ろしいほどのポジティブ・シンキングでガンガン車を飛ばす。

諦めて突然地下鉄の駅で降ろされそうになり、流石にそれはないだろうと、既に視界に捉えているタワーを目指そうと激励。しかしバイパスを降りれず更に遠回りに・・・堪忍の緒も切れ掛かるのでとにかくここで降ろしてくれと、妻と二人で興奮冷めやらぬ中歩き出す。

怒りに視界も狭くなっていたのが、気がつけば暗い高架下で、角の先に顔を出したのはバイオハザードの感染犬並みの形相をした野犬3匹。暗闇の中、犬歯から垂れる涎をハッキリと視認し、ヤバイと思った瞬間には既に数m先まで距離を詰められる。

「逃げろっ」と妻に叫んで横を見たときには、既に今まで見たことのないほどのダッシュで走り出している妻・・・。カメラを投げつけるフリをして、一瞬ひるんだ隙にこちらもダッシュ。

暫く走ると柵の様なものを越え、それ以降は追ってこないことから、番犬の様な役割をしている犬達なんだと納得。グランドツアー初日から狂犬病で即帰国なんてことにならずにとりあえずホッと胸をなでおろす。

あがった息を落ち着けながら、大きく迂回して目的のタワーへ。やっと一息つけるかと思いきや、目的地のバーのドレスコードで短パン・アウト。この怒りどこへぶつけてよいものか・・・と思いながらホテルに戻って着替えて再出発。そこで乗ったのはホテルで手配してもらったタクシーなのだが、案の定途中で行き方が分からなく・・・

高層ビルの屋上から見下ろすバンコクの夜景に、この闇はいろんなものを清濁併せ呑んで成り立っているんだと納得しながら冷えたモヒートを味わうバンコクの夜。

























グランドツアー


その昔イギリスでは、学業を修了した時に更に学識を広げるために当時の最先端の都市を目指しての旅行が行われた。イニゴー・ジョーンズもジョン・ソーンももちろん目指したのは、建築の都;ローマ。

修学旅行のハシリかと勘違いされそうだが、決して受験者増大を見込んだ客寄せパンダとしての国外旅行や、御伽の国にいってネズミと一緒に写真をとったりはしてなかったちゃんと目的を持った旅行である。

国の将来を担うエリート達が、奨学金やパトロンからの援助などで、何ヶ月もかけて学んだことを実学へ昇華させるための大切な時間だ。

建築家の人生にはそんな「グランドツアー」が必要な時期が何度かある。

一年に及ぶ結婚関連のイベントの最後を締めくくるべく、

「我々は甘い蜜を味わうほど人生で何も達成しておらず、これからの二人の人生の為に見識を広げるグランドツアーに出る必要があるんだ」

と、妻の説得に当たるが、やや長い時間とロンドンの時の友人を訪ね歩くというサブ・コンセプトを付加して方向性の了承を得る。

ロンドンで現代を
北欧で近代を
フィレンツェでルネサンスを
ローマで古代ローマを
ギリシャで古代ギリシャを

建築史を駆け足で遡り、それがこれから向かう先の道しるべになることを期待してグランドツアーの出発。

2011年7月30日土曜日

アートフェア東京2011

















--------------------------------------------------------
コアメンバーとして参加させていただいている、FEC(http://www.fareastcontemporaries.org/index.html)の代表を務める金島氏がエグゼクティブ・ディレクターとして運営をする国内最大のアートの見本市・アートフェア東京2011が開催しました。

震災による会期の変更などを乗り越え、東京国際フォーラムに国内外より多数のギャラリーが参加し、古美術から現代美術まで一堂に見ることができ、今巷で耳にする面白いアーティストの作品は必ず見つけることができたり、自分にとって面白いと思える作品に出会えたりと、アートとの関係の第一歩になるようなイベントですので、ぜひ足を運んでもらえればと思います!

詳しくは以下のホームページより。
http://www.artfairtokyo.com/

関連イベントとして、「Aeron with ART」(http://aeronwithart.tumblr.com/)に、私も作品をださせていただいていますので、そちらも是非ご覧下さい。
--------------------------------------------------------























































Aeron with ART




















--------------------------------------------------------
アートフェア東京に合わせて、ハーマンミラーと5人のア​ーティスト・建築家が協同したプロジェクトに参加させて​いただき、各作家による5作品がハーマンミラーの店頭に​展示されています。

2011年7月29日(金)-8月7日(日) 11:3​0 – 20:00
ハーマンミラーストア丸ノ内店
東京都千代田区丸の内2-1-1
TEL: 03-3201-1840
http://aeronwithart.tumblr​.com/

そのオープニングに合わせて開催された、参加アーティス​トによるトークイベントに参加してきました。

アーティストの鈴木康広さん・建築家の永山祐子さんと共​に、作品のできたプロセスなどを話させていただきました​。

まだまだ展示期間はありますので、ぜひ実物を見てもらえ​ればと思います。
--------------------------------------------------------































































2011年7月26日火曜日

和田章先生お祝い会


数年前からETB研究会というものに参加させていただいている。

地震学の権威である東京工業大学の和田先生と、風工学の権威である東京工芸大学の田村先生が中心になられ、日本設計、日建設計、鹿島建設、竹中工務店のという日本建築会のスーパープレイヤーから構造部門のトップの方々が集まり、世界のトレンドを受け今後日本であり得る超超高層ビルの在り方を考えるという研究会である。

かつてシカゴで開催されたCTBUHの総会で、トロントのアブソリュートタワーについてプレゼンを行いに行った時に、日本より和田先生も高層ビルにおける地震工学についてプレゼンを行われており、一緒にシカゴに視察に来られていたETB研究会の方に声をかけていただき、その後日本で研究会に参加させていただいているというものである。

そんな研究会も既に数年が経ち、学会でも発表できる論文などを纏めることができ、毎回とても緊張しながら、なかなか理解できないエンジニア的な打ち合わせの内容に必死についていっている。

そして、この春の東日本大震災。その影響もあってだと思われるが、和田先生が日本建築学会の会長に就任されることが決まり、同時にCTBUHの「Fazlur Khan Medal」を受賞されることも決まり、研究会でもお祝いの席を設けるということで、僭越ながら参加させていただいた。

夕方より東京ドームホテルにて行われたお祝い会では総勢19名のETB研究会メンバーが集い、お祝いムードも手伝って、ワイワイと和田先生を中心に会が進められる。皆さんのお祝いのスピーチに続き和田先生がスピーチをされたのだが、今回の東日本大震災を受け、地震学の専門家が建築学会の会長に就任するということで、社会に対しての責任感で身が引き締まるというようなことをおっしゃられていた。

日本の建築業界のど真ん中で、様々なことを決定していく立場にあられる皆さんに混ぜていただきながら、優しくいろいろと教えてくださる皆さんに影響を受けて、日本での建築業界のあり方を少しだけ垣間見ることができているこの研究会。そして今後の日本建築業界の舵取りをしていく立場に就任される和田先生のこのようなおめでたい席に自分も居させていただけることに感謝し、研究会に参加するきっかけとなったシカゴの夜を思い出す。