2011年11月5日土曜日

「ロンドン縦断―ナッシュとソーンが造った街」 長谷川尭 ★★★★
















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建築に携わっていなくても、それでもやはりロンドンという街は魅力たっぷりに見えているのだろうと思う。

どんなに新しい都市や最先端の街並みが現れたとしても、それでもやはり世界の文化都市としての大きな中心であるのはロンドンだろう。そう思わせてくれるくらい、新しくて、古くて、洒落ていて、大人で、複雑で、活気があって、落ち着きがあって、緑溢れる街・ロンドン。その街で、建築を学ぶことができたことは、建築家としてとてもありがたいことだと実感させてくれるロンドンの魅力に詰まったこの一冊。

ジョン・ウッドから、ジョン・ソーン、ジョン・ナッシュ、ジョン・ロブ、ジョン・スメドレー。とにかく素敵なものを生み出すたくさんのジョンが住む街。ウッドからソーン、ナッシュは、イギリスで建築を学んだ人にとってはとても特別な意味を持つ人々。

そんな中から、建築家の仕事をとは?に極めて的確な答えを示す著者の言葉を。

<都市住宅>
建築家はその<枠>のなかをいかに論理的に構成し、しかも独立した要素としての各部屋の単なる分割と連結に終わらないような、柔軟で流動性のあるプランニングを実現することができるか

家を合理的に、論理的に分解し、同時のそれを新しい状況にあわせて総合的に組み立てなおす能力、という近代建築家にまず最初に求められた能力

過密都市として、都市問題に向き合った当時の建築家達とその出した答え。それを再度しっかりと見つめて、現代の問題への解決策の糸口にするか、それが現代の建築家に求められることだろう。

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