2021年12月1日水曜日

Brief Garden ブリーフ・ガーデン_Bevis Bawa ベヴィス・バワ_1929-1949 ★★★

 


Bevis Bawa ベヴィス・バワ


建築に関わる人にはなじみ深いジェフリー・バワ。そのバワが長年時間を費やして作り上げた理想郷がスリランカの南に位置するルヌガンガ。一度は訪れてみたいと長年の夢を実現した際に、ルヌガンガのスタッフの人から教えられたのがもう一人のバワの存在。それがジェフリー・バワの兄であり、バワを建築の道に進むことになる刺激を与えた実の兄、ベヴィス・バワ(Bevis Bawa)。
 
ぜひ訪れた方が良いと勧められ、ルヌガンガからコロンボへと戻る前に立ち寄ることに。道もそれほど整備されていない、自然が残る細い道を抜けると、緑の中に隠れるように現れるのがべヴィス・バワがこちらも長年かけて作り上げた理想郷であるブリーフ・ガーデン。
 
両親から受け継いだゴムの栽培のための農園に移り住み、そしてそこに自ら住まう場所として徐々にランドスケープを整えていったベヴィス。バワ同様、彼も同性愛者であったということで、庭園のあちこちにはなかなか刺激的な彫刻が設置されており、とてもユニークな空間を作り出している。
 
庭園には強い軸線が3本引かれ、高低差の強い地形を利用して非常に西洋的な庭園空間が部分的ンに現れ、その周囲には濃い自然が囲い全体を把握することなく、部分のつながりで全体が構成されている。これはプランテーションの為の土地に手を入れて徐々に整えていったことも手伝っているのであろう。
 
この兄の庭園を見て、弁護士から建築家へと転身を決めてバワは、より強い関心を建築と外部との関係性に置き、さらに強くスリランカ独特の空間性を作り上げていくことになるのだが、やはりその意味からも、個々の空間の強さはバワの方が勝っていると思われる。
 
しかし時代を超えるバワの建築と空間性の発芽がここにあるという意味と、一人の人間に自らの職を変えてまで身をささげる決心をさせてこの場所の持つ意味を考えると、ルヌガンガとブリーフ・ガーデンをともに体験できたことは、とても意味が大きいと思いながら帰路に就くことにする。 



















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