ル・コルビュジエ
Le Corbusier
ル・コルビュジエ
が公共建築を手掛けるようになる前の時代。住宅をテーマに現代建築の在り方を追求してきた前期のコルビュジェの記念碑的作品。コルビュジェが掲げる近代建築の五原則が明快に表現されているということで、建築を学ぶ者にとっては一度は訪れてみたいと願う住宅であろう。
その後は公共性の高い建物を手掛けることが多くなり、住宅となると国外のプロジェクトがメインとなり、フランス国内ではジャウル邸など非常に限られるものになる。その意味から30年代初頭に作られたいくつかの住宅群はコルビュジェがキャリアの初めから向き合い、20年かけて養ってきた現代における住宅の在り方とは?という問いにきっちりとした答えを提示しているために、1世紀近い時間が経つ今でも多くの魅力を放ち続けるのであろう。
大学時代にバイトをして貯めたお金でモスクワ経由の安い航空券でやっとの思いで辿り着いたパリ。事前に調べていた経路と地図を頼りにパリから電車に乗って随分郊外に来たなと感じた
ポワッシー。住宅自体よりも、最初に感動を覚えたのは、その緑豊かな周辺環境だったと記憶する。
建築を考える上で陥りがちなことは、現代の視点をもって、今から100年近くも前に設計され、作られた建築を見てしまうこと。大切なのは、その当時どのような建築が、どのような住宅が社会の中で主流を占めていたのか、それを意識し、それを念頭に置いてそれぞれの建築を見なければ、その建築が挑んだ常識や、何を変えたのかは見えてこないということ。
そのことを思いながら改めて当時の写真や図面を見返すと、初めて訪れた時から20年経った今も、変わらず住宅とはどうあるべきかを表している部分と、そして自分自身が20年経った今だから見えてくる意味とが感じられる。
サヴォア邸から100年だ経とうとしている現代において、今を表現する住宅とは一体どんな建築なのかと改めて考えることにする。
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