2011年8月12日金曜日

ストックホルム ②


横で寝息を立てる妻と起こさぬように、早朝のランニングへとこっそり抜け出す。

妻と一緒では時間的に厳しいのと、恐らく「何で行かないと行けないのか」と拒絶反応を起こされるであろうと思われる場所で、どうしてもこの機会を逃せないと思われるところを回ってくるのと、はじめて訪れる都市でできるだけ早く都市感覚を身体に染み付ける目的を持って、アイフォン片手に一時間ほどのジョギングは欠かせなくなる。

まずは、セントラル・ステーションを抜けて、村野藤吾が「ヨーロッパにおいてパンテオン以後の名作」と称した「ストックホルム市庁舎 Stockholm City Hall 1923 ラグナル・オストベリ」へ。既に集まる観光客の間をすり抜け、どの時代になっても絶妙なバランスとプロポーションは名作に欠かせない要素だと理解して「旧市街」のある島へと。

「北欧のヴェネツィア」と呼ばれ、ヴェネツィアよりもより「島」で構成されるだけに、街のあちこちにはそれらをつなぐ橋が重要な景観となって目に飛び込んでくる。起伏の大きな島が多いので、結構な坂道ランニングとなり、ほどほどの汗をかきながらホテルに戻り、ちょうど起きてきた妻と何事もなかったかのように一緒に朝食に出かける。とても食べきれないふんだんなチーズとハムでサンドウィッチをつくりお昼のためにと持ち出して予約してあってレンタカー屋に向かうことにする。

「まさにイケメン・パラダイス・・・」と昨晩同様眼を輝かせる妻を横目に必要書類を確認し、TOMTOMを借り、そこそこの緊張感と共に車を発進させ、向かう先は「ストックホルム市立図書館 グンナール・アスプルンド 1923」。

その後向かった先は「シェップスホルメン教会 The Skeppsholm Church フレデリック・ブロム Fredrik Blom」、「ストックホルム近代美術館 Museums of art and architecture ラファエル・モネオ Rafael Moneo」とめぐって、どうやっても工事中の道に行かせようとする頑固なTOMTOMに苦労しながら街を抜け、今回の大きな目的地でもある「スコーグスシュルコゴーデン グンナール・アスプルン」へと到着する。

世界遺産にも登録されているアスプルンドの代表作。「ここは気持ち良い!」とそろそろテンションの上がってきた妻の横顔にほっとして、「森の墓地 The Woodland Cemetery  グンナール・アスプルンド」や「復活の礼拝堂 Uppstandelsekapellet シーグルド・レヴェレンツ Sigurd Lewerentz」をのんびりと敷地を巡りながら、生と死が共存する場所としてあまりにも相応しい場所で、頬をなでる風に押されるように、こういう場所を作り出せる可能性のある建築家という職業に就いたことにまた感謝する。

隠し持っていたサンドイッチを頬張ったあとは、今回の度の第2の目的地と言える、ロンドン時代の友人の結婚式が行われる田舎町ヴァドステナ(Vadestana)に向けてひたすら車を飛ばすこととなる。

ヴァドステナに着くと湖に沈む夕日が出迎えてくれ、その足で結婚式に出席する近しい友人だけで前日のお祝いをしているパブに向かい、久々の再会を懐かしみながら、運転で疲れた身体に強めのビールを流し込む。






































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