2013年7月3日水曜日

寝床


年初から街自体を覆った大気汚染がやっと晴れ、この世にはこんな鮮やかな青色があったんだ、と思わせるようなここちよい夏空が広がるようになった北京の街。

そんな青空を見上げていると、ランチを終えてもそのままオフィスに戻るよりも、少し胡同を散歩していこうかと思うものである。

歩きながら大きく深呼吸できることに感謝する心地よい天候。そんな時は毛細血管かと思うような複雑の胡同の奥へ奥へと足も進んでいく。

ある角を曲がってみると、

「これは、やつの寝床か?」

と思われる場所を発見する。

数台の自転車の荷台に高々と積まれたゴミたち。その積み方がどうにも自分好みなマッスな感じ。どうもゴミの集積所らしく、「ここかぁ・・・」と感慨深く思いながら、さりげなく写真におさめ、「さっそく今夜にでも夕方から張り込みだな・・・」とほくそ笑む。

気分も上々にそのまま歩き続けると、この時期の胡同の風物詩とも言っていい、シャツをあげてお腹を出すして歩く男性の姿を眺めながら、更に道をゆく。

道を南に進み、木々が茂るあたりに差し掛かると、道の左右では思い思いの姿で午睡をむさぼる人間の姿が見えてくる。

昼を食べて、風の流れる木陰の下で眠る。

なんとも贅沢。できることなら便乗したいものだが、狭いフートンの中で身体を横たえられる場所を探すのは一朝一夕にはできるものではないらしく、彼らは自転車の荷台や道端に置かれたソファーなど、それぞれの想像力を発揮することで彼らなりの様々な寝床を発見している様子である。

「胡同の奥に寝床を持つのは猫バスだけではないんだな・・・」

と、この宇宙を見せてくれるような胡同の一面になんだか嬉しくなりながら、そろそろオフィスに戻ることにする夏の昼下がり。





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