2013年7月16日火曜日

永保寺(えいほうじ) 1313 夢窓疎石 ★★★★



--------------------------------------------------------
所在地  岐阜県多治見市虎渓山町
山号 虎渓山
宗派  臨済宗南禅寺派
創建   1313
開基 夢窓疎石(開創)
機能   寺社
文化財 開山堂(国宝),庭園(国指定名勝)
--------------------------------------------------------

重森三玲、小川治兵衛、中根金作、小堀遠州、石川丈山、雪舟。

そして夢窓疎石(むそうそせき)。

どなたもなんとも素晴らしい響きの名前ばかりだが、その中でも際立って魅惑的な言葉の並び。

現存で見られる庭園の最も古い部類に入る鎌倉後期から室町前期という疎石が活躍した時代を表すような、粗くそして素朴なその作風。禅僧であった彼の思想がその庭園にもよく表現され、それが時代を代表する名庭園として現代まで愛され続けたということであろう。

名庭園、名城、名湯、名刹に観光地を加えれば、妻も両親も満足間違いないだろうとして選んだ飛騨高山への温泉旅行。その旅程の最初の訪問地に選んだのが、岐阜と愛知との県境に位置する多治見市の虎渓山(こけいざん)を山号とする永保寺。

こんな機会でもなければ絶対に足を運ばないだろうと思われる陶器の町・多治見。何処にでもあるようなチェーン店の立ち並ぶ地方都市の風景から一本はいり山道を登り辿りついた虎渓山。地元では随分愛されている景勝地だというのが良く分かるような雰囲気で、車での乗り入れを禁止し、やや離れた場所の駐車場から徒歩でのアプローチ。

道沿いに現れるこれまたなかなかの庭を持つ寺群を覗き見しながら、永保寺の庭園についてざっくりと説明をするが、両親と妻には照りつける日差しのほうが気になる様子。そんなこんなでざっくりとしたイントロを終えるくらいで見えてくるのがうっそうとした森。明らかにここからは位の違う空気が流れていると分かるような雰囲気。その脇の急坂を足元を気にしながら降りていくと左に開ける境内の風景。

白砂の上を一筋の風が走り抜けていくようなさわやかな枯山水のアプローチ。本堂を参拝し振り向くと目の前に広がるのが、夢窓疎石作による永保寺庭園・無際橋。

観音堂を中心に広がる水面にかけられた無際橋の上では、小さな子供をつれた若いお母さんの姿が見える。地域に開放され、地域の人から愛されている様子が見て取れる。

「ここら辺で待っているから」という両親と妻を置いて、見事な色に育った鯉に餌を揚げる子供の脇を抜け、梵音巌を別の角度から見上げ、庭園の世界観を感じ取るために更に奥へと回遊していくと、耳に入ってくる川のせせらぎ。

その音に誘われるように進んでいくとぱっと開ける視界の先には、寺の脇を流れる土岐川の姿。心を洗われた気分で振り返ると、やや退屈し始めたかのようにぶらぶら歩く三人の姿。「最初からオーバーペースはいけないな・・・」と思いながら、やや早足で合流するために庭を戻ることにする。
--------------------------------------------------------


--------------------------------------------------------

















0 件のコメント: