スリランカを代表する建築家ジェフリー・バワ
(Geoffrey
Bawa)。自然と融合するような建築を作り続けたバワの作品は現代においても多くの人に愛され、建築だけに留まらず様々なライフスタイルに関連して日本でも多くの雑誌やメディアで取り上げられ、その名を知っている人も増えてきているようである。
そんなバワが首都コロンボにおいて、住居として小さな家を買い、横の家が売りに出れば徐々に買い足して、事務所を兼ねながら30年近く住み続けたのがこのナンバー11 (Number 11/ House No 11)。11番は住所から来ているのだが、写真からではなかなか理解できないこともあり、ぜひとも足を運んでみたいと思っていたのが2019年の元旦に実現する。
バワ財団が運営する見学ツアーに申し込み、指定された時間に現地に到着すると、気持ちの良い住宅街の、車が一台通れるだけの細い道の突き当りが目的の11番地のようで、家の前には同じツアーに参加するとみられる人がすでに数名待っている。
時間になるとガイドの人が家の中に招き入れてくれて、まずはホールで説明のビデオを鑑賞し、バワがどのような人物で、この家がどのように使われ、拡張されていったのかなどの説明を受ける。そして再度入口に戻り、ガレージに停めてあるバワの愛車であったというロールスロイスを見ながら、ツアーの開始。
この道路に面した部分が一番最初に購入した住宅部分で、この部分だけ3階建てとなっており、2階にはゲストルーム、3階には屋上テラスとなっており、予約をすると、一日二組のみ宿泊することが可能という。
ロビーから長く続く白い通路の途中には、天窓からの光を受けたフクロウのオブジェが飾られており、その付近には小さな椅子などが置いてあり、廊下と言えども、単調な通路にすることなく、少し折れ曲がったところに小さな「場」を設ける意図が本当に様々なところに感じられる。ちなみにこのフクロウは友人であったアーティストのラキ・セナナヤケの作品。
通路の突き当りには小さな中庭を通して日の光が差し込み、その下には、小さな水盤が設けられ、デザインされた注ぎ口からチョロチョロと水が流れ落ちる音が、空間に色合いを付けている。
友人のアーティストが描いたドアや作品などが飾ってあるコーナーにも、しっかりと異なったデザインの椅子やテーブルが置かれており、ここにも小さな’場’。
その先はバワのプライベート空間ということで、ここからは撮影禁止となるのだが、寝室、リビング、ダイニングと、様々なところには、小さなころからオランダ系の裕福な家庭で育ったバワが世界中様々なところを旅し、気に入った雑貨や家具をわざわざ船で送って収集したというコレクションが、とても感じよくレイアウトされており、モノが多いのだが、それでも全体が統一され、とても心地よい生活空間となっている。
ダイニングからは一番東側にとられた中庭に出られるようになっており、大きな木を見ながら食事をとることができるようになっていたりと、nLDKのような現在の日本の住宅とは違い、家の中の様々な場所に座ってくつろげる場所があり、それがそれぞれ違った空間となっており、さらに外部に中庭を持っていたり、天窓で光が入ってきたりと、それぞれの場所が光の変化とともに雰囲気を変える、豊かな空間となっている。
一階部分だけでも数えると、15か所以上の中庭か天窓のある空間があるようで、それぞれの場所にはそれぞれの空間にあった椅子やテーブルが置かれ、場所によっては小さな水盤が設置されていたり、水の入った大きな桶が置かれていたりと、光、水、風、緑が組み合わされた空間になっている。
ロビーに戻り二階に上がっていくのであるが、建築を学んでいるものであれば、この階段はどこかで目にしたことがあるだろうというくらい有名な階段。非常にシンプルに、踏板も壁も天井も、白一色で塗装されているのであるば、手が触れるところは絶妙に縁を落として曲線にしてあったr、スティール製の手すりも端部がぐるぐると円を描いていた、床と壁、壁と天井の一部分もシームレスで繋がられていることで、光が滑らかに落ちてきたり、上がっていくと見えてくる窓からは外の緑が切り取られていたりと、この小さな空間でもどれだけ心地よい空間として設計できるか、機能を超えてこの場がどうしたら自分の性活を豊かにしてくれるか、それを考えて考えて、何度も変えながら作っていったのが非常に伝わるようになっている。
そして到着する二階は現在は宿泊客がゲストルームとして使える場所。壁一面に張られたタペストリーの前には大きなラグが二枚敷かれており、それぞれ雰囲気の異なるソファーセットが置かれている。このタペストリーがかけられている西側と北側の壁には開口部は取られておらず、デスクが置かれている東側と、テラスに向けた南側の開口部から光が入っているようになっている。この二つの開口部からの光がほぼ室内の光の質を決めてくれ、大きな部屋の中に明るい場所と暗い場所と差異のある空間を作り出している。
もちろんテレビなんかなかった時代であろうし、たとえテレビがあったとしても生活空間に置くような人でもなかったであろうが、そんなときに家具のレイアウトをどう決めていったのかと考えると、これは結構面白いスタディになりそうであるが、一か所のラグには大きなソファとその前に置かれた高さの抑えられたソファーテーブル、その周りにバワ設計だという木製の椅子。もう一か所のラグは、南側の窓にむけて丸テーブルを囲むように少しモダンな椅子が置かれる。
天井には一切照明は設置されておらず、部屋のあちこちに置かれた照明によって夜はそれぞれの場所が照らされるようになっており、その日のその時の気分によって、いろいろな場所を選びながら、椅子に座って、本を読んだりしながら、疲れるとたまに外の緑を眺めていたりしたのだろうかと想像を膨らませる。
そんなバワが首都コロンボにおいて、住居として小さな家を買い、横の家が売りに出れば徐々に買い足して、事務所を兼ねながら30年近く住み続けたのがこのナンバー11 (Number 11/ House No 11)。11番は住所から来ているのだが、写真からではなかなか理解できないこともあり、ぜひとも足を運んでみたいと思っていたのが2019年の元旦に実現する。
バワ財団が運営する見学ツアーに申し込み、指定された時間に現地に到着すると、気持ちの良い住宅街の、車が一台通れるだけの細い道の突き当りが目的の11番地のようで、家の前には同じツアーに参加するとみられる人がすでに数名待っている。
時間になるとガイドの人が家の中に招き入れてくれて、まずはホールで説明のビデオを鑑賞し、バワがどのような人物で、この家がどのように使われ、拡張されていったのかなどの説明を受ける。そして再度入口に戻り、ガレージに停めてあるバワの愛車であったというロールスロイスを見ながら、ツアーの開始。
この道路に面した部分が一番最初に購入した住宅部分で、この部分だけ3階建てとなっており、2階にはゲストルーム、3階には屋上テラスとなっており、予約をすると、一日二組のみ宿泊することが可能という。
ロビーから長く続く白い通路の途中には、天窓からの光を受けたフクロウのオブジェが飾られており、その付近には小さな椅子などが置いてあり、廊下と言えども、単調な通路にすることなく、少し折れ曲がったところに小さな「場」を設ける意図が本当に様々なところに感じられる。ちなみにこのフクロウは友人であったアーティストのラキ・セナナヤケの作品。
通路の突き当りには小さな中庭を通して日の光が差し込み、その下には、小さな水盤が設けられ、デザインされた注ぎ口からチョロチョロと水が流れ落ちる音が、空間に色合いを付けている。
友人のアーティストが描いたドアや作品などが飾ってあるコーナーにも、しっかりと異なったデザインの椅子やテーブルが置かれており、ここにも小さな’場’。
その先はバワのプライベート空間ということで、ここからは撮影禁止となるのだが、寝室、リビング、ダイニングと、様々なところには、小さなころからオランダ系の裕福な家庭で育ったバワが世界中様々なところを旅し、気に入った雑貨や家具をわざわざ船で送って収集したというコレクションが、とても感じよくレイアウトされており、モノが多いのだが、それでも全体が統一され、とても心地よい生活空間となっている。
ダイニングからは一番東側にとられた中庭に出られるようになっており、大きな木を見ながら食事をとることができるようになっていたりと、nLDKのような現在の日本の住宅とは違い、家の中の様々な場所に座ってくつろげる場所があり、それがそれぞれ違った空間となっており、さらに外部に中庭を持っていたり、天窓で光が入ってきたりと、それぞれの場所が光の変化とともに雰囲気を変える、豊かな空間となっている。
一階部分だけでも数えると、15か所以上の中庭か天窓のある空間があるようで、それぞれの場所にはそれぞれの空間にあった椅子やテーブルが置かれ、場所によっては小さな水盤が設置されていたり、水の入った大きな桶が置かれていたりと、光、水、風、緑が組み合わされた空間になっている。
ロビーに戻り二階に上がっていくのであるが、建築を学んでいるものであれば、この階段はどこかで目にしたことがあるだろうというくらい有名な階段。非常にシンプルに、踏板も壁も天井も、白一色で塗装されているのであるば、手が触れるところは絶妙に縁を落として曲線にしてあったr、スティール製の手すりも端部がぐるぐると円を描いていた、床と壁、壁と天井の一部分もシームレスで繋がられていることで、光が滑らかに落ちてきたり、上がっていくと見えてくる窓からは外の緑が切り取られていたりと、この小さな空間でもどれだけ心地よい空間として設計できるか、機能を超えてこの場がどうしたら自分の性活を豊かにしてくれるか、それを考えて考えて、何度も変えながら作っていったのが非常に伝わるようになっている。
そして到着する二階は現在は宿泊客がゲストルームとして使える場所。壁一面に張られたタペストリーの前には大きなラグが二枚敷かれており、それぞれ雰囲気の異なるソファーセットが置かれている。このタペストリーがかけられている西側と北側の壁には開口部は取られておらず、デスクが置かれている東側と、テラスに向けた南側の開口部から光が入っているようになっている。この二つの開口部からの光がほぼ室内の光の質を決めてくれ、大きな部屋の中に明るい場所と暗い場所と差異のある空間を作り出している。
もちろんテレビなんかなかった時代であろうし、たとえテレビがあったとしても生活空間に置くような人でもなかったであろうが、そんなときに家具のレイアウトをどう決めていったのかと考えると、これは結構面白いスタディになりそうであるが、一か所のラグには大きなソファとその前に置かれた高さの抑えられたソファーテーブル、その周りにバワ設計だという木製の椅子。もう一か所のラグは、南側の窓にむけて丸テーブルを囲むように少しモダンな椅子が置かれる。
天井には一切照明は設置されておらず、部屋のあちこちに置かれた照明によって夜はそれぞれの場所が照らされるようになっており、その日のその時の気分によって、いろいろな場所を選びながら、椅子に座って、本を読んだりしながら、疲れるとたまに外の緑を眺めていたりしたのだろうかと想像を膨らませる。
さらに階段を上がると屋上テラスに出る。こちらも場所によってことなった家具達が置かれ、それぞれに異なった時間を過ごせるようになっている。こんなテラスで朝食を食べたら、さぞかし素晴らしい気分で一日を過ごせただろうと想像しながら、階段を下りてツアーを終える。
一時間程度のツアーであるが、とても多くの場所とそれぞれにバワの思い入れのある設計と、雑貨や家具などがあるために、とても密度の高い内容となっている。住まう場所はやはり広さではなく、光や風を意識し如何に外部とそして自然とつなげた空間をいくつも作り、一日の中で自分で場を選んで時間を過ごせるかどうかが、豊かさなのだと改めて学ぶことができるとても良いツアーであろう。
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