2017年9月3日日曜日

やちむんの里 ★★★★



月曜日に北京から沖縄に飛ぶ直通便が無いということで、どうしても前日の日曜に到着した那覇空港。今回は今日しか自由に動ける時間がなさそうだということで、この半日を有効利用させようと、まだ夏を感じさせる多くの観光客に紛れながらレンタカーを借りて向かった先は、沖縄本島の真ん中あたりに位置する読谷村。

今年の夏前から興味を持ち出し、少しずつ学び始めた「うつわ」。陶器や磁器などの焼き物やガラスなど、年初から学び始めた日本酒と共通するのは、土、水、米、窯など、その時の場所性を体現するものに、長い歴史の中で培われた職人技と技法。それを保ちながら発展させていく文化共同体。

そんな訳で雑誌や本から情報を自分なりにまとめ、各地の釜やデザインの良いうつわが購入できる販売所などをマッピングして、自分の地図にまた新しいアイコンが地図に新たな色を加え始めているところである。

そんな「焼き物」を沖縄のことばで表したのが「やちむん」。日本全国に散らばる様々な産地の中でも、特に知られているものであり、「壺屋焼(つぼややき)」と呼ばれるが、沖縄の各地にある産地によって、更にその呼び名が異なってくる。その中でもよく知られるのが、「読谷山焼(よみたんざんやき)」。そこに集まるいくつかの窯元の中でも、どうしても見てみたい作品を作る窯元があったため、那覇からおよそ一時間かけて向かったのは読谷村に位置する「やちむんの里」。

幹線道路からすこし入り組んだ道を入っていくと一つの集落のように現れるやちむんの里。全体で19の工房があり、2つの共同販売店は北窯売店(松田米司・松田共司・宮城正享・與那原政守)と読谷山焼窯共同売店(山田真萬・大嶺實清・玉元輝政・金城明光)。それぞれの工房でも個別に購入ができるようであるが、どういう仕組みか分からない為にとりあえず読谷山焼窯共同売店へ向かい、店員の方に仕組みを聞いてみると、基本的に各工房は月曜から金曜まで開けていてサラリーマンのように土日はお休みにしているところが多いと。週末はこの共同販売店は開いているが、朝からお客さんが買ってしまって、棚にあるのしか残っていないという。

大嶺實清(おおみねじっせい)さんのペルシャブルーのお皿を求めに来たんだと伝えると、ここにあったのは売れてしまったけど、大嶺さんのところは日曜も開けているからそちらにいってみればいいと里の一番奥に位置する大嶺さんの工房とギャラリー囍屋の場所を地図で教えてくれる。

最近は様々な雑誌等でもとりあげらているからであろうか、ギャラリーには見るからに若そうなカップルが訪れており、ちょうど一組のカップル相手に大嶺さん本人がうつわについて何やら話をしているところ。

空間に無造作に置かれている大小さまざまなやちむん。その中に目当てのペルシャブルーの品々を見つけ、上がるテンションを抑えながら一つづつ手に取りながら見て回る。暫くすると、ちょうど他の客もいなくなり、せっかくだから大嶺さんにいくつか質問をさせていただこうと話をすると、どうぞと奥さんがコーヒーを出して下さり、焼き物において青の意味や、ペルシャブルーがエジプトから中東、そしてシルクロードを経てどう旅をしてきたのか、沖縄の焼き物が中国から朝鮮、そして九州を経て流れてきたこと、琉球王国など沖縄の歴史と文化が現代の日本史においてどう捉えづらくなってしまっているか、巡っている琉球八社やグスクの分布から見える沖縄の文化の地政学、現在あちこちで行われる開発がどう地域の場所性を残していけるのか、青を出す為に非常に狭い融点と今はまっているマンガンを使用した漆黒のうつわなどなど。

思いのほか盛り上がり、試作中だという黒の大皿を一枚購入させていただき、せっかくだからと同じ黒の抹茶碗をお土産としてくださると言うのでご行為に甘えることにする。
「あまり買っていくと妻に怒られちゃいますから、次回は妻も一緒に来ますので」と話すと、優しそ笑顔を浮かべ、「待ってますから」と言う大嶺さん。とても幸せな気持ちになりながら、奥さんが厳重にパッキングしてくださったうつわを、家で広げ、そしてその上に料理を盛ることができるのを楽しみに、次の目的地へと向かう事にする。











大嶺實清さん



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