2011年11月10日木曜日

点と線として東京

東京に住んで、学んで、働いて、遊んでいても、その総体としての都市を掴んでいる人というのはほとんどいないと思う。

皆、住んでいる場所、働いている場所、よく遊びに行く場所と、それが時間とともに、「かつて・・」というのがそれぞれに増えていく。それとそれぞれをつなぐ通勤・通学経路。つまりは極めて局所的な点と線として東京をそれぞれが認識している。

どこかに行くとしても、地図の中の東西南北がある場所としてでなくて、下車した駅の○○口からという認識しかない。そんな個別の場所の積み重ねでなんとなく総体を理解した気になってしまうし、それしか方法がないようにも思える。

そんな部分としての「私の東京」「僕の東京」が無限に共存して、ふわふわした不定形の総体が現れる。それが東京。

そんな雲のような不定形の風景に唯一そそり立つのは、六本木ヒルズでも、スカイツリーでもなく、東京タワー。私小説の舞台としてのではなく、一次元上の総体に位置することができる雄一の記念碑。

そんなタワーが存在して、面としてしっかり総体を持つ都市に生まれ変わった時、おそらく東京はもっと面白い街になっているだろう。

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