2009年8月21日金曜日

「時の渚」 笹本稜平 2001 ★★★★

「夏が終わろうとしていた」

と始まる相変わらずのハードボイルド小説。今回の舞台はいつもの山岳小説ではなく、事故で妻と息子を亡くし職を失った元刑事が、ホスピスで人生の最後の時間を過ごす老人から、35年前に生き別れた息子を探して欲しいと頼まれるとこから始まる。

老人が赤ん坊を託した女性を追うことで生き別れた息子へと辿りつこうとしやってくるのは信州の鬼無里村(きなさむら)。同時にかつて自分の妻子をひき殺した犯人を追う主人公。その家庭で向き合う様々な家族の絆。

しっかりと練られたプロットに、育ってきた背景まで見えてきそうな登場人物たち。35歳という年齢で交差する登場人物達のそれぞれの人生をその年齢にあと少しの時期に読むことができ幸せだと思える一冊である。
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第18回(2001年)サントリーミステリー大賞
第18回(2001年)サントリーミステリー読者賞
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