2013年7月16日火曜日

明善寺(みょうぜんじ) 1748 ★

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所在地  岐阜県大野郡白川村荻町
山号 松原山
宗派  浄土真宗
創建   1748
開基 玄(元)西
機能   寺社
文化財 鐘楼門 (しょうろうもん) 
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合掌造りの大振りな民家たちに囲まれて、その風景に同化するように茅で葺かれた屋根の鐘楼門と本堂。そしてその隣に更に巨大な架構を見せる庫裡(くり)。このような茅葺の寺院は全国的にもかなり珍しいそうで、なんともいえない良い風景を作り出している。

明善寺創建時に造られたという鐘楼門 (しょうろうもん) は寄棟造りと言って、4方向に流れる屋根形状の二階建てで、茅葺の屋根が被せられることで随分と頭でっかちな印象を受ける。

門を抜けて待ち構えるのが、これまた茅葺の本堂。本堂の右が開け、左にはより巨大な庫裏の姿が見え隠れするので、やや圧迫感を感じるような境内。

本堂の右に回って周辺の水田越しに境内を眺めると、茅葺の色あせた茶色と、水平線を彩る稲のさわやかな緑がとてもよいバランスを与えてくれる。その足元に見えるのは、水田の間を走る綺麗な水。やはり美しい水の存在が美しい風景の源だと再確認。

ぐるりと回って本堂横に位置する庫裏へと入ることにする。庫裏とは住職やその家族の住まいで、今も現役の住職が住んでいるという。その為に拝観の際は音などに配慮してくださいと張り紙がチラホラ見える。ちなみに拝観料は一人300円。

建物は白川村最大の合掌造りで江戸時代の建築という。1階部分が上記の住居部分として利用されており、二階から上(ちなみに5階建て)を養蚕の作業場や農作業器具の倉庫として利用されていたという。

係りの人が説明してくれながら見学できるのだが、釘と鎹を使わず、藁縄とネソでしめくくり、感想と共に更にきつく結合されるという特殊な方法を実物を目の前にして説明を受ける。
 
2階中央部分の床は格子状になっており、下の囲炉裏で炊いた煙が建物全体に周り、茅葺の天井の裏隅々まで行き渡るように設計されていると言う。特徴的な茅葺屋根の茅が雨仕舞いの効果を保持していくためには、なんといっても茅が腐ることなく維持されることが必要になる。

その為に、毎日囲炉裏にて煙を炊き、煙に含まれる油分を天井裏隅々まで行き渡らせ、茅に油分を移して防腐、防虫効果を得る。同時に一部の空気が暖められることにより室内空気に温度差が生まれ、温度今のように冷暖房機器に頼る情けない現代建築よりもよっぽど知恵と経験に裏付けられた立派な環境建築だということである。

そんなことも思いながら、60度と言われる屋根勾配を沿うような恐ろしい勾配の階段をビクビクしながら下りていく。














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