チェコのプラハで行われるreSITEという都市・建築のシンポジウムに参加するために、初めてプラハに出向くことになった。そんなことは話していたら、ちょうど夏休みにプラハとウィーンを回ったという友人から、「戻ってきてから存在を知って、手にしたら結構面白かったので、プラハに行く前に読めばよかった」と言われて借りた一冊。
著者は建築史を専攻し、京都精華大学で建築を教えていらっしゃる田中充子さん。どっぷりプラハにハマった様子が伝わってきて、実際にその街で時間を過ごした人らしい視点と、そして歴史を学んだ専門家の二つの視線を交えてプラハという一つの都市をじっくり解説している。
プラハといえば、世代的に浦沢直樹の漫画「モンスター」の舞台としてのイメージが強いが、本で紹介された様々な時代の建築を廻り、「建築博物館」や「百塔の街」と呼ばれるその歴史を少しでも感じてこれればと想いを馳せながら、あわよくばとミュラー邸やトゥーゲントハット邸に足を運べることを祈ることにする。