2016年2月4日木曜日

西宮神社(にしのみやじんじゃ) 不明 ★★


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所在地 兵庫県西宮市社家町
主祭神 西宮大神(蛭子命)蛭子(ひるこ)大神,えびす様
社格  県社,総本社
本殿の様式 春日造
別名   西宮のえべっさん,えびす宮総本社,夷 (えびす) 社,戎 (えびす) 宮
創建  不明
機能  寺社
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総本社
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廣田神社で心地良い朝の参拝を終えて、近くの阪急神戸線の阪急凪川(しゅくがわ)駅周辺にあるはずだという藤本壮介による「House K」と吉阪隆正の「浦邸」を少し見て次の目的地に向かおうかと思って車を向かわせるが、ナビに促されるままに進んでいくと徐々に住宅街の中の狭い道路に入り込んでいく。この細さが尋常ではなく、レンタカーした軽でも一台でギリギリ。しかもどうやら一方通行の道路ではないらしく、対向車が来たら完全にアウトという状況で、加えて目的地は個人住宅ということもあり、事前の情報では詳しい所在地が掴めきれておらず、大まかな情報を元に周囲に視線を送りながら車を進めるというなんともストレスフルな運転をしばらく続けたが、対向車が来て動きが取れなくなる前に抜け出そうと、この二つの目的地をスキップして向かった先は西宮神社(にしのみやじんじゃ)。

平安時代には先ほどの訪れた廣田神社の境外摂社であり、日本に約3500社あると言われるえびす(戎)神社の総本社である。正月休みも終えて、そろそろ新年がスタートしてきたと感じられる時期に、風物詩のように流されるニュースがこの西宮神社で1月9日から3日間行われる「十日えびす」と呼ばれる祭典で、中でも10日の早朝に行われる「福男選びの神事」は、赤門が開かれてから健脚自慢の男たちが石畳の参道を駆け抜け、さまざまなドラマを作り出しながら、拝殿前で待ち受ける3名の神官に抱きかかえられてその年の福男の称号を得るなんともほほえましい姿。

その舞台がこの西宮神社であり、その3日間では100万人を超える参拝客で賑わうというから、この神社が阪神間にてどれだけ人々に親しまれており、身近な存在となっているかを物語っている。そんな訳で西宮に来たからにはどうしても立ち寄らなければ行けない場所であるが、大通りに面した正面入り口を通り過ぎ、境内をぐるっと回ってもどうやら駐車場が見当たらない。どうしたものかと思いながら、「まさか・・・」との思いで表大門を入っていくと、参道を進んだ先に、ぽつんと駐車場が見えてくる。参道の両脇を占拠する陶器市の出店主のおじさんに、「あっちあっち」とジェスチャーで教えられてやっと分かったくらいだから、これは初めて車で訪れる人にはハードルが高く、また看板などを出してないところから、あまり親切ではないかと思われる。

そんな訳で車を折り、境内の途中から参道を歩いていくが、この参道は東西に伸びており、拝殿が真東を向く形になっているようであり、その拝殿の後ろには、「えびすの杜」と呼ばれる社叢が広がっている。

徳川4代将軍である徳川家綱(とくがわいえつな)によって江戸時代に1663年に再建されたといわれる本殿は春日造であり、三棟連結した独特の造り(さんれんかすがづくり)となっている。春日造は出雲大社などに見られる大社造同様、切妻造・妻入であり、屋根が優雅な曲線を描いて端が反りかえっており、正面には向拝(こうはい)と呼ばれる庇が取り付いている。その色彩や、屋根の反りなどは中国から渡来した仏教などの寺院建築の影響から来るものとされている。

そんな訳で先ほど立ち寄った廣田神社の神明造の緊張感のある水平線に対して、この春日造が見せる優雅な曲線はまったく異なった表情を見せてくれる。しかしその屋根の上に乗る仕上げ材は、廣田神社同様こちらも銅版による葺き屋根。かつては桧皮葺だったというが、昭和の時代に亜現在の銅版葺へと改修され、現在では周囲の自然に溶け込むような優しい緑の表情を見せている。

地域に愛され、人々が日常の場として足を運ぶ場所として風景に溶け込んでいて、福の神であるえびす様を祀る神社としてなんとなく境内に明るく開放的な雰囲気が漂うのが感じられる。少しの距離しか変わらない廣田神社とこれほど雰囲気の違った境内がひとつの地域に共存していることに神道とこの国の多様性を感じながら境内を後にすることにする。







二の鳥居





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