2014年3月7日金曜日

「下流同盟―格差社会とファスト風土」 三浦展 2006 ★★★★

一体どれだけ本を出版すれば気が済むのかと思えるほど定期的に郊外に関して本を出し続ける著者。そしてその内容も、やはりこの分野においては第一人者と呼んでよい内容ばかりなので、必然的に現代の都市、現代日本を考える上で手に取らなければいけないことになる。

モータリゼーションに大型店舗出店への規制緩和、新自由主義経済に支えられた大資本のスケールメリットで豊富な品ぞろえで便利で効率的な店舗が「どこよりも低価格」を打ち出せば、客の流れは必然的にそちらに向かい、イコールで地域社会を破壊していく。

そんな記念碑がファスト風土。その裏にあるのは、地域社会の必要性を真剣に考えることよりも、少しでも自分の生活が良くなることを考えて日常を過ごすだけの下流社会。

都市の時代に入った21世紀。数少ない勝ち残り、人を引き付けることができる都市以外では、住まう人をマーケットの数値としてしか見られず、その数値からはじき出される最大数の利益を生み出すために、地域社会や地域の将来などは顧みることなく、搾り取るように地域に入り込み、破壊していくグローバル化した新自由主義経済。

この世界で生きる中で、誰もその流れに背を向けることはできないが、少なくともどういうメカニズムでこの現象が日本全国を覆うようになっているのかを本文で見ていくことにする。

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第1章 下流社会とファスト風土 三浦展
/下流社会化とファスト風土化の根は一つ
「ファスト風土化する日本」
大型店の出店規制が緩和 血方の郊外農村部のロードサイドに大型商業施設が急増
ファストフードの様に均質

/自然と社会の四重の破壊
地域社会を4重に破壊
自然を破壊 
地域社会を破壊
中心市街地を破壊
「街の使い捨て」 自然、農村、市街地、旧郊外を破壊

/消費優先の価値観
古い流通制度 中間業者が多いため小売価格を上昇させるから消費者の利益にならない
郊外の大型安売り店の方が消費者の利益になる
消費者の選択だから当然だと俗流経済学者
それほど立派な価値なのか? 利益があるということは
同じものなら安い方が得だというだけの価値観
真理も、美も、正義も、利他主義も、消費者優位の価値観よりも低い価値なのだろうか

/24時間かの弊害=生活の不安定化
生活時間 24時間化 非正規雇用

/地域社会の流動化・匿名化・液状化
人間関係の流動化
道路網の整備とモータリゼーションの拡大
人とモノの移動を活発化する
地域社会を流動化し匿名化する
地域社会は液状化し、不安定になる
人々の大量の流入
なぜ犯罪は都市で多いかといえば、都市が流動的で匿名的な空間だからである。
こんな静かな街でなんでこんな凶悪な犯罪事件が?
静かな街ほど激しく変化したのである

/人間も大量生産品に見える
匿名性の感覚が肥大化する
ショッピングセンターにいる女の子一人くらい連れ去ってもいいだろうという感覚が生まれてくるのかもしれない

/ファスト風土化が生む都市伝説
現実と非現実の境界を曖昧化
都市建築家のアンドレス・デュアニー privatization
ルイス・マンフォード 「郊外居住とは、プライベートな生活を送ろうとする集団的な努力」
家の中に集中
関係こそが社会
街は社会を具体的名形で見せてくれる場
人間の関係が見えなくなる

/自閉的な私生活主義と青少年の社会化の阻害
距離的にはかなりの移動をしているが、心理的には閉じたプライベートな空間から外に出ていない
非効率で無駄の多いコミュニケーションこそが人間社会の基本

/体力の低下と下流化
体力と対人能力の不足した若者

/地域アイデンティティの危機とナショナリズム
土地の自然に制約
身分や職業がアイデンティティを決定

/ワーキング・プアが増加か?
「毎日低価格」を求める階層が確実に増えてきている

/ファスト風土は下流社会の温床
コンビニ
従業員の9割以上が非正規雇用者
製造業がアジアなどに移転 地方で製造業に従事していた人たちの仕事が無くなり、それを埋め合わせる形で大型商業施設の従業者は増加した
増えるのはほとんどが非正規雇用者

/本書の構成
太田市 構造改革特区第一号 英語教育特区
近年一大ピンク街
駅前商店街がピンク街に変わってしまった
壊滅した商店街の自然発生的な活性化 一番手っ取り早いピンク街化
年間100万円以上必要 一方、お金があれば国際的に通用する人間が育てられるという教育があり、金の為にセックスで稼ぐしかない人間が国内外から集まっている
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本書の重要な部分をほぼ網羅している感のあるのがこの第1章。

新自由主義経済の波に押され、大型店出店規制が緩和され、郊外のロードサイドに大型商業施設が波及する。その裏には「同じものなら安いもののほうが消費者の利益になる」という価格優先の価値観。それを成し遂げる為に、なりふり構わず資本の力が投下される。そして車に乗って郊外に向かう客の流れと、廃れる中心市街地。

消費活動を最大化する為に、消費が可能な時間を拡大し、すべてが24時間化され、それと同時に、その時間に働かなければいけない非正規雇用者も増加する。ワーキング・プアが増加し、彼らが望むのは「毎日低価格」。

道路網の整備とモータリゼーションの拡大は人とモノの移動を活発化させ、地域社会を流動化し匿名化するのを後押しする。留まることなく流動化する人間関係と地域社会。

怖いのは「良いモノをより安く手に入れられる」という消費者にとって間違いなく利益になることが、圧倒的な資本を背景にした利益至上主義の視点から攻められると、上記の様なスパイラルを生み出してしまうこと。誰が悪いわけでもなく、それが利益を上げることが最上位に持ち上げられた現代社会の必然である宿命。

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第2章 これがアメリカのファスト風土だ! 三浦展
/男女の格差から雇用の格差へ
二極化 主婦のパートタイマー

/ひどい風景と太った低所得者
高所得者ほど良い環境に住み、豊かな緑と綺麗な空気の中で健康を管理している
特に白人は肥満 低所得層ほど肥満気味

/無気力を生むファスト風土
/モールの格差
おしゃれでヘルシー
美と健康

/人生の意味の喪失
個人化 individualization
低賃金
「アメリカ大都市の生と死」
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なんでも最先端を行くと思われているアメリカへの著者の取材旅行のレポートとなっているこの章。見えてくるのは日本の先を行く格差と、下流といえども餓死する訳ではなく、逆に太っていく実体。その反面金持ちは金を払って時間を使い、健康と体型の維持に務める。

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第3章 ファスト風土化し下流化する地方 服部圭郎
群馬県太田市
/700m続く駅前の風俗街
風俗店に占拠 南一番街

/全国でも珍しい光景
北関東一の歓楽街
伊勢崎市と太田市が郡を抜いている
東京の吉原や大阪の飛田新地
渋谷の百件棚、川崎の堀の内、札幌のススキノ、名古屋の栄、福岡の中洲、池袋の西口、新宿の歌舞伎町、

/飲みと風俗のワンストップ・ショッピング

/二つの大型店が運命を変えた
1977 駅前ビルへのユニーの進出計画
人がいなくなると、「崩壊」は早まるものだ

/誰にも愛されなかった風土
郊外化とモータリゼーションによる中心街の空洞化、後継者不足のため商店主が店を占め、その店を賃貸に出す、商店主が不動産業者に転換する事による商業活力の衰退
愛着を持っていない
貸しビル業者
貸した店が毎月しっかり家賃を支払ってくれる事になって

/無計画な郊外開発
農地を次々とショッピングセンターへと転化
無計画な郊外開発
計画性の無い計画的な市街地の開発

/ファスト風土化する中心市街地
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この章が一番痛烈にファスト化した風景を作り出してしまったのは誰が悪いのか?を良く示しているかと思われる。その槍玉に挙げられたのが、太田市。駅前のかつての地域コミュニティの中心地が、「自分で商売をやりくりしていくのは大変だし、不安定だが、それを周囲からの目や羞恥心、罪悪感をかなぐり捨て、一番確実に定期収入に繋がるように商売を辞めて賃貸に土地を出してしまえばいいのでは?」と思った土地持ちのビル持ち。

恐らく最初は、厳しいからといっても地域を担っていく責任もあるし、周りも頑張っているから自分一人そんな道は選べない。

と連携をとりながら頑張っていたのだろうと想像する。それがあるとき、臨界点に達して、「テナント募集」の張り紙が張られるようになる。「○○さんのビル、ついに賃貸にだしたらしいよ・・・」なんて、顔の見える関係性の中でなかなかの罪悪感を感じながら、コミュニティから隠れる様に過ごす日々が続いたのではないだろうか。

そして募集してくる飲食店。そんなこんなで一度崩壊した堰は塞ぐことはできず、流れ込む洪水の様に、周囲のビル・オーナーも「なんだ、もう無理してがんばらなくてもいいのか」と良心を一緒に流されて貸しビル業へと転換していく。

そこで一度風景が変わる。

地域の関係性を持った駅前商店街が、チェーン店として全国どこでも同じ商品を同じサービスの元で提供し、その地位で可能な限りの利益をあげようとする企業群。街を巡回する人よりも、自分の店舗でできるだけ消費を促すようなメニューを揃える。そして束の間的に街には賑わいが戻ってくる。

そんな風に人の流れが戻ってくると、更に水の流れは増して、今度は更に高額な賃貸料が期待できるが、誰もがそこまでは・・・と弱腰になっていた「風俗店」への貸し出しを行うビル・オーナーの登場。

そうなるともう後には戻れない。人間の欲望と同じである。軽くお酒を飲んだ後、気が大きくなってその先の風俗店へ・・・・という「飲みと風俗のワンストップ・ショッピング」。

同じ条件でも飲食よりも風俗店のほうが高額な賃貸を望めることを覚えたビル・オーナー達は、すでに良心の呵責も罪悪感も感じないほどに地域社会からは断絶し、そこに見るのは、月々の家賃収入の数字だけ。その自分の利益最大化の為に街がどう変化しようと、「自分の責任ではない」と開き直る。そうなると誰も止めることができないままに、駅前商店街全てが風俗店に占拠されるという、全国的に見ても非常に稀な風景を逆に作り出してしまう。

しかし上記の様に想像力を働かせると、その風景の後ろに隠れるのは、苦渋の選択であったのかもしれないが、地域よりも自らの利益の最大化、安定化へと走っていたビルの数だけいるビル・オーナーの価値観が透けて見える。そしてその価値観の総体こそがこの街そのものである。

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第4章 嫌われるウォルマート 服部圭郎
/秋田で遭遇した巨大店舗
イオンスーパーセンター
世界最大の小売業

/ウォルマートとそっくり
24間営業で年中無休
エブリディ・ロープライス

/質素な経営者、愛車はフォード・ビックアップ
徹底したコストダウン

/スーパーセンターの後にはぺんぺん草も生えない
スーパーセンター誕生
生鮮商品、乳製品を販売する
ディスカウントストア
スーパーマーケット
ぺんぺん草も生えないほど略奪

/五つの悪影響
1 商品価格の低下
2 周辺小売業の淘汰
3 仕入先の経営の悪化
4 賃金の低下
5 ファスト風土化の促進

/嫌われるウォルマート
イオンはその地域でも最高レベルの賃金を従業員に払う
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風俗街とまではいわないが、現在日本全国で拡大するファスト風土化の勢力の筆頭といえば、間違いなくイオンであろう。パッケージ化され、全国何処でも投下することができ、アメリカのウォルマート同様、地域を多重に破壊していく、大型小売業者の宿命。

そうはいっても、イオンが悪いわけでもなく、こうしてイオンの弊害を理解しながらも、誰もが地元に帰ればイオンに車で向かい、イオンで生活必要品を買ってしまう事実。安いことと品物の豊富さ、そして利便性を兼ね備えるイオンの存在は、「地域社会が・・・」などという比較への思考を停止させるのに十分な威力を持つ。

現代社会からこうした郊外型の巨大小売店舗をなくすることは無理な以上、必要なのは、如何に彼らと共存しながらも、地域の個性を喪失することなく新しい形で地域を表すことのできる風景を作っていけるかにかかっているのだろうと思わずにいられない。

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第5章 日本のワーキング・プア 心の叫び 宮本冬子
/あるチェーン店の職場風景
自給1000円以下の労働に従事
セールス・アソシエイトSA 売り子

/ワーキング・プアが発生する理由
大企業の商品を買う意外に消費者に選択肢がなくなってしまっている

/有名コラムニストの体験取材
病気にかかっていたら即、アウト
人生を切り売りしている
切り売りせざるを得ないのが「ワーキング・プア」
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非正規雇用で不安定な状態で働くことの一番の恐怖は、「何かあった時」。もし家族に何かあり、介護が必要になった場合。もし自分が大きな病気をして仕事が暫く出来なくなった場合。そんな場合、非正規雇用ならなんの保護も与えられず、「残念だけどしかたないから」とクビにされるだけ。誰も働けない間の保障は与えてくれない。その為の蓄えも準備できるような収支状態ではないので、常に「何かあった時」に全てが終わってしまうことにおびえながら働くことになる。

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第6章 アメリカの下流社会 こぼれる若者たち 藤田晃之
/圧倒的な格差社会
/白人における格差

/「経済的に恵まれない者」に対する教育支援

/見えない貧困
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第7章 古いヨーロッパ・フランスは抵抗する 鳥海基樹
1 国土はフランチャイズ化されファスト風土が田園をむしばむ
/古いヨーロッパをむしばむアメリカ文化
/アメリカ化=グローバル化という図式
/グローバル化が加速する国土のファスト風土化

/ショッピングモールが狂わせる犯罪感覚
/中心市街地もフランチャイズ化されてゆく

2 マンジャンは提案する
/脱フランチャイズド・シティのための三つのコンセプト
都市計画を「現実の都市計画」「幻想の都市計画」「可能な事の都市計画」の三つに分類
道づくりの都市計画
通り抜けられる都市、
雑種都市

/セクト化の都市計画から道づくりの都市計画へ

/マンジャンは提案する
都市の高密化が必要
建築を集積させ人々がふれあって暮らす高密化と、単に建物の高さを競う高僧化は異なる
美よりも活力を好む事、速度よりも流動性を重視する事
さまざまな尺度で変化する異なった部分の集合体である事を認める価値観の転換が必要
雑種都市
パリのフォブール・サン・タントワンヌ界隈

3 都市計画もがんばっている
/それでもやはりフランスの都市と田園は美しい
同じ上流階級の人間同士が国を超えて交流している
異なる国の低い階層の人間同士は、一生出合うこともない
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この問題は、日本固有のものではなく、美しいコミュニティを保っているように見えるヨーロッパの何処の国でも、美しい観光都市のすぐとなりに、何の個性も無い殺伐としたヨーロッパというイメージを被せただけで、中身は上記のファスト風土となんら変わらない街がゴロゴロしていること。日本には少しだけ早く「高齢化」という要素がかぶさってくるだけで、解決すべき問題は世界規模であるという事実。

恐らく人類史上最も強烈な影響を都市に与えている現象であり、誰もがそれを良しと思っていない以上、何かしらの新しい提案がその流れを変えていくことになるだろうと予感する。

そしてそれは行政や市民の力もさることながら、建築家として行うべき提案が多く残されていると確信する。恐らく自分が死ぬまでには、何かしら新しい形の郊外都市が形成されているはずであるが、それが少しでも人類にとって美しいもの、幸福なものであるように、自分達にできることを必死に考えることにする。


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■目次
第1章 下流社会とファスト風土 三浦展
/俺は日本のプレスリー
/下流社会化とファスト風土化の根は一つ
/環境・エネルギー問題
/自然と社会の四重の破壊
/消費優先の価値観
/24時間かの弊害=生活の不安定化
/地域社会の流動化・匿名化・液状化
/再魔術化される世界
/人間も大量生産品に見える
/ファスト風土化が生む都市伝説
/自閉的な私生活主義と青少年の社会化の阻害
/体力の低下と下流化
/地域アイデンティティの危機とナショナリズム
/郊外の星条旗
/「華氏911」とショッピングモール
/ワーキング・プアが増加か?
/ファスト風土は下流社会の温床
/自由主義が民主主義を侵害している
/本書の構成

第2章 これがアメリカのファスト風土だ! 三浦展
/田園調布のモデル住宅地
/男女の格差から雇用の格差へ
/ひどい風景と太った低所得者
/市民意識の崩壊と人心の荒廃
/愛国者の楽園
/心の故郷
/悪い奴ら
/無気力を生むファスト風土
/モールの格差
/人生の意味の喪失


第3章 ファスト風土化し下流化する地方 服部圭郎
/700m続く駅前の風俗街
/全国でも珍しい光景
/飲みと風俗のワンストップ・ショッピング
/ファスト風土化の条件が揃った地域性
/開発される前は湿地帯
/二つの大型店が運命を変えた
/誰にも愛されなかった風土
/無計画な郊外開発
/ファスト風土化する中心市街地


第4章 嫌われるウォルマート 服部圭郎
/秋田で遭遇した巨大店舗
/ウォルマートとそっくり
/市場経済が生み出した「怪物」
/「ウォルマートもどき」の将来
/創業者サム・ウォルトン
/質素な経営者、愛車はフォード・ビックアップ
/情報システムの構築で急成長
/スーパーセンターの後にはぺんぺん草も生えない
/一週間の買物客は一億人
/五つの悪影響
/土地とエネルギーの浪費
/嫌われるウォルマート
/アメリカの「教訓」を活かすために


第5章 日本のワーキング・プア 心の叫び 宮本冬子
/あるチェーン店の職場風景
/徹底したコストダウン策
/「日の丸弁当」のフリーターも
/アメリカを追いかける日本
/ワーキング・プアが発生する理由
/低すぎる賃金と劣悪な待遇
/有名コラムニストの体験取材
/そして階級が再生産される
/日本に未来はあるか


第6章 アメリカの下流社会 こぼれる若者たち 藤田晃之
/圧倒的な格差社会
/アフォーマティブ・アクションの展開と苦悩
/白人における格差
/映画「ガンモ」が描く白人下流社会
/トレーラーハウスとウォルマート
/エーレンライクが経験した貧困のスパイラル
/「経済的に恵まれない者」に対する教育支援
/「Title I」に基づく支援
/ジョブ・コア
/見えない貧困
/日本は安泰か
/前途多難の可能性

第7章 古いヨーロッパ・フランスは抵抗する 鳥海基樹
1 国土はフランチャイズ化されファスト風土が田園をむしばむ
/古いヨーロッパをむしばむアメリカ文化
/アメリカ化=グローバル化という図式
/グローバル化が加速する国土のファスト風土化
/「フランチャイズ化される都市」
/マーケティング・オブリージュ
/巨大グループの戦略を暴く
/ショッピングモールが狂わせる犯罪感覚
/中心市街地もフランチャイズ化されてゆく
/国土はフランチャイズ化されファスト風土が田園をむしばむ

2 マンジャンは提案する
/脱フランチャイズド・シティのための三つのコンセプト
/セクト化の都市計画から道づくりの都市計画へ
/セキュリティの保障された環境の連続体から通り抜けられる都市へ
/マンジャンは提案する

3 都市計画もがんばっている
/それでもやはりフランスの都市と田園は美しい
/中心市街地の近隣商店街をまもる
/郊外大規模店舗を制御する
/都市計画も頑張っている

4 古いヨーロッパ・フランスは抵抗する

おわりに

本書をより理解するためのブックガイド
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