2014年1月26日日曜日

ブラック企業規制

政府によってブラック企業の規制への動きが叫ばれて久しい。

こういうニュースを見るとどうも違和感を感じ得ない。小泉内閣の規制緩和が非正規労働者の増加を招いた訳ではないのだろうが、少なくともグローバル社会を迎えた新自由主義経済を受け入れて、世界の経済の循環の中に飛び込むことを決めた日本政府。

その時から世界規模でアウトソーシングされる業務の波は、世界規模での仕事の奪い合い、それに伴うコストカット、さらに価格の下落をもたらすことになる。それを避けるには他者の追随を許さない付加価値を追求していかなければいけない企業と、同時に自ら企業に対して提供する労働にも他者との差別化をしていかなければいけない労働者。

それが出来ない企業も競争の中で下位に転落し、同じくそれができない労働者は世界水準で考えられる低い対価しか払われることの無い単純労働に甘んじることになる。それほど冷徹で厳しい世界こそがグローバル社会がもたらしたもの。

あなたよりも的確でなおかつ迅速に仕事をこなす人により安価で発注でき、業務の遂行になんら問題の無いネット環境が構築された現代においては、全ての労働者その現実を深刻に理解する必要があるのだろう。

アクセスのグローバル化が終了した現在。既に始まっているのは物理的なボーダーレス化。生産拠点を移動するのも、また労働者の流出入もまたより簡易になっていく。アジア、アフリカ、南米からより良い機会を求めてやってくる労働者。

日本の安穏とした環境の中で低賃金と思われる報酬でも、彼らにとってはどうしても手に入れたい仕事かもしれない。そういう彼らと戦っていかなければいけないし、どうにかして優位性を保っていかなければいけない。それがフラット化した世界の現実。

ブラック企業問題は、その現象の一断面に過ぎないだろうし、恐らくこれからもっとシビアに、もっと絶望的な現実がまっているかもしれない。もちろん不当な労働環境を強いる企業は淘汰すべきだと思うが、同時に安易に国民を慰安するようなことでは、事の本質は解決されていかないのだろうとも思わずにいられない。

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