今夜は外部の人も招待してのオフィスでの年末パーティー。
200人近い数のゲストが来るだろうからと、仕事上大切なものが紛失したりと言う余計なトラブルを避けるためにも様々な準備をしなければいけない。皆朝からダンボールに個人の所有物をいれて、倉庫に運び込み、パソコンも電源を落として安全な場所に避難させる。
他のスタッフは飾りつけなどの準備に追われて忙しそうにしているが、こちらはそれに参加するわけにもいかないが、パソコンがないといくつかスケッチをしてみても何か手持ち無沙汰で、横をみてみると同じように手持ち無沙汰そうにソファで眠りに耽っているパートナーの姿。
こちらも椅子でウツラウツラしながらも、遅々として進まない時間を持て余し、せっかくだからと後ろの本棚に置きっぱなしになっていた本に手を伸ばす。そうしたら思いのほかあっという間に読みおえてしまい再度訪れる手持ち無沙汰。
なんで購入したのかすら覚えてないが、恐らく何かのタイミングで帰国した際にどこかで取り上げられており、パラパラとめくったら恐らく東京に長く住んでいないと見えてこない東京の姿を浮き彫りにしている内容なのだろうと勝手に判断して購入した一冊。
「中央アーキ」という名前も新しく出版された雑誌のタイトルだろうと思っていたが、勉強不足で、若手の建築事務所の名前のようである。
内容のほとんどは、やや上の世代の建築家や若手で活動的にメディアに露出している建築家達への「インタビュー」という形で綴られるが、使われているフォントの大きさにまず驚かされる。
最近このようなフリーペーパーからの延長的な出版物が多くなり、内容はざっくりとしたインタビューによって、インタビューの中から無意識の中に潜む何かを繋いで一本の線にしていこうとする意図のもの。なので、全体として何か強く訴えるものも無ければ、建築言論にハードコアな新しさを感じさせるわけでもない。
とにかくフォントを大きくしてあるので、その実文字数は相当に少ないと思われる。通常の建築本のフォーマットにしたら文章で5ページくらいに納まるのではと思われる。現在進行中のロシアでのコンペが都市計画ということもあり、この数ヶ月必死に都市の歴史や、都市とは何かについてあれこれ読んで考えているが、その一環として手にした一冊にも関わらず、この内容で出版するとは凄いなと現代の軽さに思いを馳せる。
恐らく東京の建築設計シーンの中で世話になり、繋がっているサークルの仲間で、互いに持ちつ持たれつしながらも徐々になんとなくに主要メンバーが絞られていき、年代が構成されていくのだろう。
メディアと付き合い、メディアに露出し、メディアを利用してブランディングしていくことで、徐々に建築事務所としてのステータスを高めていく必要のある現代においては、避けては通れないことなのだろうが、できることなら、職能人として自分を高めることの一番の最前線である、本質的な設計に必死に向き合って時間を過ごしたいものだと改めて思わされる。
必死に都市を考え、必死に建築に向き合い、その中で焦ることなく熟成されるように浮かび上がってくる、東京の風景の新たなる美しさを提示する文章を持ちたいものである。そしてそういう言葉達は、専門家にもそうで無い人にも、きっと強く響くのだろうと想像する。
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目次
・新スケープ
/東京タワー
/遠くのお隣さん
/音と風景
/東京の自然物
/平面的な凹凸面
/敷地境界
/タツミ・ダビタシオン
/みんなの墓
/ライフスタイルの差異
/窓のない球
/ちいさい街
/箱庭
/顕在化
/自然と人口の反転
/自然のようなビル
/表と裏
/広い路地
/うるさい川
/二つのエネルギー
/エレクトリックパレット
/奥行きのある壁
/建設的なかさぶた
/速度
/シャドウスケープ
/無人の風景
/街区クロニクル
・速度のような定規
・コラム
/当たり前の過剰
/東京タワー
/空の見え方
・Photo Column 01 Berlin ・花代
・Photo Column 02 London ・蓮井元彦
・お気に入りの風景
/藤村龍至
/小島一浩
/西沢大良
/宮本佳明
/藤本壮介
/石上純也
/遠藤正道
/宇津木えり
/伊藤キム
/ミヤケマイ
/ANATAKIKOU
/真鍋大渡X戸川憲一
/ジョニー・ウォーカー
・Too Much Scape
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