春の北京はとにかく空気が乾燥する。つまりあまり汗をかかない。
体調を整えるためにも、無理にでも汗を出し、新陳代謝を高める必要がある。到着二日目の朝より、限られた手荷物に強引に詰め込んだランニングシューズとランニングシャツを引っ張り出し、砂塵舞う朝の街に走りに出る。
村上春樹ではないが、街を把握するのには走るというのが結構適している。
Nike+GPSで距離を測りながら走るので、身体には東京でのランニングでどこからどこが何キロか大体染み付いている。こちらは大丈夫か?と心配してみるが、少々のズレはあるもののちゃんとGPSも働くようでランニング環境には問題ない。
最初はとにかく距離感と土地勘を身に着けるために、毎日東西南北と方向を変えてワンブロックのランニング。その帰り道に、家から各方面で最短にある朝食が買えるお店を見つける。
国際引越しというのは関税などでのチェックか何か知らないが、とにかく時間がかかるため、1ヶ月は仮住まいの様相を示す。つまり朝食もどこかで手に入れてこなければいけないということになる。できるだけ、フレッシュに、健康的なものをとなると、やはり朝一にお店で買うことが一番。
そんな訳で初めの一週間で東西南北のブロックの距離感を身につけ、それぞれの方向の最短のお店の朝食メニューを口にして、それなりにどれが好みか分かってくる。
ほとんど雨が降らない北京だから、それこと毎日走りにいけるので、一回りすると今度は東西南北のワンブロックを周回することになる。これで大体4キロ程度。そこでまた別のお店の包子に挑戦して、次第に朝食はここか、ここという標的が決定し始める。
そのラウンドが終わると、今度はまた東西南北に更に距離を伸ばして直線の折り返しを行う。これで大体6キロ。それから徐々に線分に厚みを与えて面として、次第に距離が8キロ当たりに達してくる。
そんなことをしていると、北京の大気汚染に非常に敏感になっている妻と一緒に病院に行って、医者に「ランニングするのは大丈夫か?」と聞くと、「道の横は土埃が酷いのでやめたほうが良い。できれば大きな公園などに行って、その中で走るとかにすれば大丈夫。」とのこと。
朝起きてすぐに着替えて走り出す。じっとり汗をかいて、朝食を抱えながら帰ってきて、シャワーを浴びてご飯を食べる。そんな気軽な朝の時間が結構楽しみになって来ていたので、これはかなりのショック・・・身体への影響を相当気にする妻の為にも道でのランニングはあきらめないといけないことになる。
しょうがないので、自転車で約15分の距離の朝阳公园まで行き、チケットを買って入園して、緑豊かな環境で、太極拳や卓球を楽しむ老人グループを片目にぐるりとするとやく7キロ。コースによっては距離も調整できて、確かに緑も多く身体にも良さそうなのでいいのだが、往復の自転車で30分というのがかなりのネック。
そんなときに続いた珍しい雨の数日。朝のランニングがないと、やはり身体のリセットがうまくいかないのか、なんとなく調子が悪い。これはいかんと、15分のところを10分で飛ばし、昨日勉強した中国語の課を聞きながら公園をグルリと走り、汗だくでまた10分で家まで飛ばして、家を通り越して例のお店で朝ごはんを買い込んで帰宅。どうしても1時間は越えてしまうが、これも体調管理の一環だと思うことにしてとにかく続けることにする。
ちなみに朝阳公园は一回づつ行くと入園料が5元だが、一ヶ月のチケットを買うと8元だと言う。これは買わない手は無いと買いに行くが、毎月1・2・3日のみ変えて、顔写真をもって来いとのこと。オフィスの中国人も一体どういう計算式なんだ??と首をかしげる。
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