2010年5月13日木曜日

「黒い家」 貴志祐介 角川ホラー文庫 1998 ★★















本を読みながら、ふと家の戸締りを確認し、後ろの扉が気になる、そんなホラーである。

保険金の支払い査定を行う主人公。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。

1975年から横ばいで年間2万5千人前後で推移するわが国の自殺者数。平成10年からは年間3万人を越えたという。交通事故死者の倍以上の数である。

http://www.t-pec.co.jp/mental/2002-08-4.htm

心理学的に自殺と殺人は表裏一体だというが、そういう人たちが、保険目当てで自殺及び殺人を企むのを防ぐべく、各保険会社は一年から二年の免責期間を設けているという。

京都の祇園祭も元は疱瘡神を退散する為に始まったという。疫病や死への恐怖からハレの場を設けたわけである。

社会福祉が充実した現代においては、人間のように少数の子供を大寺に育てるK戦略よりも、昆虫などのように一度に大量の子孫を産み、放りっぱなしの子育てを行うr戦略の相対的有利性が高まり、サイコパスと呼ばれる遺伝的な性格異常性を持った個体が現れるという、かなり偏った論理を展開する心理学者が突然姿を消す。

迫り来る、理解不能な異常者が一番恐いと再認識させてくれる、第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。

しかし、なぜそれほどまでの保険金が必要なのか?という部分に触れてないのが説得力を欠く。
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「昆虫記」 ファーブル
「桜の樹の下には」 梶井基次郎
「沈黙の春」レイチェル・カーソン
フォン・フランツ
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