世間から遅ればせながら、流行のドラマをざっと見終える。
世間がこれほどまで熱狂したのに素直に納得。これだけの視聴率を誇ったというのは、今までドラマを見ることのなかった世代を完全に取り込んだのが大きいのだろうと想像する。その内容から言って、週末のコンパに期待を膨らませ一週間を過ごすようなOLさんが見るような内容でもなく、「社蓄」という言葉を自虐的に使っているような30代から50代までのサラリーマンの心をガッツリ掴んだ事は間違いない。
しかし中高生が見てもまったく面白くもないであろうドラマがこれほどまでに高視聴率をとるということは、結局テレビは大人が見ているんだと改めて思い知る。一週間、生きていくことで溜まる数々の鬱憤を発散させないと次の月曜日を向かえられない世の男性が、妄想の自分を投影させる倍返し。
原作著者の他の作品を見ても、相当取材を重ね、業界に深く入り込んで書いているので、そんなに突拍子もないことはないのだろうと思われる。なので返って思うことになる。エリートとして描かれるメガバンクの銀行員。この人たちは毎日こんなことばかりやっているのか?と思わずにいられない。そのほとんどが職業的向上には一つもつながらないことばかり。そればかりではなく、会社の利益を一つも生み出さない行為ばかり。これでどうやって会社が利益を上げられるのだろうかと思わずにいられない。
資料をざっと見ただけで、特許申請の甘さを指摘し、どう修正するかが分かるくらいなので、恐らく銀行員としては相当に優秀な設定なのだと思うのだが、時間を費やしているのは、まともな会社であれば会社にとっても自分にとってもプラスになることへのチャレンジであるのだろうが、描かれるのは本来必要の無いマイナスを少しでも減らすことばかり。
恐らく主人公の設定であれば、年収が1千万を超え、プラス、社宅や福利厚生に家族手当、使用できる経費や将来の退職金、厚生年金などを加味すると恐ろしいほどの年間報酬を手にしていることになる。本質の業務とは関係ないことで忙しそうなのにも関わらず、剣道をやる余裕もあれば、家で夕飯をしっかりと食している。
考えれば考えるほど、どうやって会社として利益を出し、これだけの報酬を何万という社員に保障できるのかと思わずにいられない。それほど、巨大企業というシステムがある種自動的に利益を生み出す構造になっているのだろうか。全ての社員が多かれ少なかれ同じように業務に追われながらも、属する派の社内政治に奔走し、足の引っ張り合いに精を出す。
一度でも失敗したら出向で、二度と銀行員には戻れないというらしいが、通常の世界なら失敗したら職を失うだけで、やはり世間とはかなり感覚がずれているのか、それとも一流企業とその他とはそれほど大きな格差が横たわっているのかと考えるとゾッとする。それどころか、それほど会社に不利益を与えたら、普通刑事事件となって社会的に抹殺されるだろうと思うのだが、それくらいの傷は隠蔽しておいた方がまだましという、とにかく一般人とは違った思考回路に驚くのみ。
研修や昇進試験、課せられるセミナーや日常業務の中で、それでも銀行員としての職能は上がっていくのだろうが、ある年齢から上になれば、その費やす時間の多くがこうした社内政治に向かっていくのが大企業のサラリーマンということか。
毎朝一時間以上電車に揺られ、ついた会社で神経をすり減らしながらこんな社内政治に振り回され、くたくたになってまた電車に揺られる。そんな日常で職業人としての能力向上なんて到底求められるものではないのだろうと想像を巡らせる。
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ジャンル テレビドラマ
放送期間 2013年7月7日 - 9月22日(10回)
制作局 TBS
原作 池井戸潤
『オレたちバブル入行組』
『オレたち花のバブル組』
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出演者
堺雅人
上戸彩
及川光博
片岡愛之助
滝藤賢一
笑福亭鶴瓶
北大路欣也
香川照之
第一部・大阪編
中島裕翔
宇梶剛士
壇蜜
赤井英和
石丸幹二
第二部・東京本店編
吉田鋼太郎
前川泰之
利重剛
駿河太郎
倍賞美津子
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