北京に住んでいると、その有り難さが骨身にしみる久々に晴れた空。中秋节の休みも重なって、折角だからと妻と電動スクーターに乗り、市内の胡同内部に散らばる、古い四合院をリノベーションして作られたこじゃれたホテルを巡ってみる事にする。
前日夜から妻が英語のサイトなどから集めてきた情報を元に向かうはカナダ人がオーナだと言う小さなブティック・ホテル。狭い道でたらいに入れられた魚の群れを跨いで進んでいくと見えてくる入り口。「ブーー」とブザーを鳴らしドアを開けてもらうととても良い感じの小さなラウンジ。
「朝食は食べられるか?」と聞くと、「二階へどうぞ」と気さくな対応。階上のテラスは周囲の胡同の屋根が連なり、植えられた植物も手伝いなんだか南の島のリゾートにでも紛れ込んだかの雰囲気。
妻も大満足の様子で、それぞれに朝食を注文し、北京ではなかなか見つけるのが難しい美味しいコーヒーに舌鼓を打ちながら小説を開き、久々の休みの朝を満喫する。香港から来ているというスタッフと話をし、ポツポツと部屋から出てくる欧米からの旅行客の姿も増えてくる。すっかり満喫し今度は夜に来ようと次へと向かう。
オフィスで少し仕事を片付けて、次なる目的地である胡同はオフィスのすぐ近くに位置している。それぞれの胡同にそれぞれの宇宙があるというように、まさに一本はいれば違う世界。同じようなおばあちゃんが、外に椅子を出して座っていても、決してそれは同じ風景ではない。
やっと見つけた特徴的な青い門のそのホテル。堅く閉ざされたその扉の横のブザーを鳴らして出てくるスタッフに聞いてみるが、宿泊のみでゲスト以外は受け入れないとのこと。それは残念と思いながら、次の目的地へスクーターを飛ばす。
随分中心から離れたこの胡同。あまり聞いた事もない名前だったので探すのに戸惑いながら、やっと見つけて先ほどと同じように大きなもんで呼び鈴を鳴らす。なかから感じの良さそうなスタッフがでてきて、今度は問題なく入れてもらえる。
長いこと北京にいたが、これほど大きな四合院を使ったホテルは見た事が無いと思えるほど、ゆったりとしたテラス。大気汚染も無く、気持ちのよい光が照らすうってつけの一日だけに、人気の無いテラスで冷たいお茶を注文して二人とも満足して静かに読書。
中国にいると、静かに読書ができるような環境というのは本当に得がたい。最初は静かなところも暫くするとイナゴの大群の様に押し寄せては、もの凄い音量で会話をする中国人で荒らされる。一度荒らされた場所には二度と静寂は戻ってこない・・・
そんな訳で、この静かな空間はとても貴重な場所となる。スタッフの対応も非常に気持ちの良いもので、ここには何度も戻ってくるだろうと確信して門を出る。
怪しくなってきたスクーターの電池の残りが気になるので、一度家に戻って少し横になりながら充電。すっかり暗くなったころあいに再度出かけて今度は紫禁城脇にあるホテルのテラスからライトアップをされた紫禁城を見ながらお酒でもと思い予約をしていたホテルに向かう。
色んなところでも紹介されているのでかなり期待をしていたのだが、すっかり観光地化されているようで、外国人に混じり多くの中国人達も賑やかにおしゃべりをしている。加えて店側が客数に対応しきれておらず、15分待っても注文を取れない姿を見て、「これははずれだな・・・」と妻とうなずき席を立つ。
はずれがあれば、当たりがある。いくら引いても当たりが出ない詐欺のようなくじ引きでなかった今日の胡同ホテル・ホッピング。時間のある週末にテラスでコーヒーを飲みながらの読書を楽しみにして家路につく。
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