兄と弟。同じ男でありながら、一生変えることの出来ない自分のポジション。どんなに歳を重ねても、どんな経験を経たとしても、二人の仲での距離感は決して帰ることが出来ない役割。
「ゆれる」でも同じように描かれた男兄弟の切ない機微。長いこと時間を共にしてきたから家族だから、そして同じ子供と言う視線で物事を見てきたから、他の誰よりも世の中のことへの視点が近く、だからこそ違うことがより目に付くのが兄弟。
男だからこそ、そこにはプライドや虚栄心もより強く映し出される。仲間でもあり、家族でもあり、ライバルでもあるのが男兄弟。同じ人生を過ごすことはできず、必ず違う道を行くことになるのだが、どこかで確認することになる根っこ。
だからこそ、この世の中には多くの男兄弟の物語が生み出されるのだろう。そして自分も男兄弟の弟して、決して兄の視点は持つことが出来ない宿命を感じながら見る一作。直木賞候補になったその原作が山積みにされているのを書店で見て、なんだか毛嫌いしてしまっていた作品だが、ジムでランニングがてらに見始めたら結構見入ってしまった。
背も高く男前の弟・春(岡田将生)と、なんだか冴えない理系大学院生の兄・泉水(加瀬亮)。暮らしている仙台市内で発生する連続放火事件。そしてその近くで発見されるグラフィティ・アート。そこに残されたメッセージから見つける二つの関連性。
と仲むつまじい兄弟の姿と二人が追っていくミステリーの答え探しのような導入部だが、これはまったく本筋ではなく、徐々にリンクしてくるかつてこの街に起こり、この家族に大きな影を落とした事件。
「火」、「浄化」、「家族」、「愛情」、「意志」。
全編を通して問われるのは「自分で考える」こと。人生なんて自分の思ったとおりに行くはずもなく、「かくん」と躓くごとに如何に自分で考えて、その先を決めていけるか。その意志の積み重ねが人生であり、その積み重ねを共有するものが家族であるということ。
今ではすっかりベストセラー作家の常連となった原作者のいわゆる出世作の映画化。70年代生まれという非常に若い作家の小気味良いテンポで物語は進んでいき、確かにテーマは随分伝わってくるのだが、その突きつけ方があまりにも直截過ぎる感は否めなく、すっりきテーマを噛み砕けず、のどの奥に残った気分になるのは自分だけではないだろう。
「ゆれる」でも同じように描かれた男兄弟の切ない機微。長いこと時間を共にしてきたから家族だから、そして同じ子供と言う視線で物事を見てきたから、他の誰よりも世の中のことへの視点が近く、だからこそ違うことがより目に付くのが兄弟。
男だからこそ、そこにはプライドや虚栄心もより強く映し出される。仲間でもあり、家族でもあり、ライバルでもあるのが男兄弟。同じ人生を過ごすことはできず、必ず違う道を行くことになるのだが、どこかで確認することになる根っこ。
だからこそ、この世の中には多くの男兄弟の物語が生み出されるのだろう。そして自分も男兄弟の弟して、決して兄の視点は持つことが出来ない宿命を感じながら見る一作。直木賞候補になったその原作が山積みにされているのを書店で見て、なんだか毛嫌いしてしまっていた作品だが、ジムでランニングがてらに見始めたら結構見入ってしまった。
背も高く男前の弟・春(岡田将生)と、なんだか冴えない理系大学院生の兄・泉水(加瀬亮)。暮らしている仙台市内で発生する連続放火事件。そしてその近くで発見されるグラフィティ・アート。そこに残されたメッセージから見つける二つの関連性。
と仲むつまじい兄弟の姿と二人が追っていくミステリーの答え探しのような導入部だが、これはまったく本筋ではなく、徐々にリンクしてくるかつてこの街に起こり、この家族に大きな影を落とした事件。
「火」、「浄化」、「家族」、「愛情」、「意志」。
全編を通して問われるのは「自分で考える」こと。人生なんて自分の思ったとおりに行くはずもなく、「かくん」と躓くごとに如何に自分で考えて、その先を決めていけるか。その意志の積み重ねが人生であり、その積み重ねを共有するものが家族であるということ。
今ではすっかりベストセラー作家の常連となった原作者のいわゆる出世作の映画化。70年代生まれという非常に若い作家の小気味良いテンポで物語は進んでいき、確かにテーマは随分伝わってくるのだが、その突きつけ方があまりにも直截過ぎる感は否めなく、すっりきテーマを噛み砕けず、のどの奥に残った気分になるのは自分だけではないだろう。
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スタッフ
監督 森淳一
原作 伊坂幸太郎
キャスト
加瀬亮
岡田将生
小日向文世
吉高由里子
岡田義徳
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作品データ
製作年 2009年
製作国 日本
配給 アスミック・エース
上映時間 119分
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