10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・・・・・
結局車に乗り込んできた男性は、10、5、3、1の息子アミンのみということになる。
一台の車の中で行われる会話。ボンネットからの映像だけで、後はひたすら二人の会話のみ。それ以外は一切ない映画。それだけに、なんだか自分の後ろの席に座って、聞いてはいけない会話を耳にしてしまって、気配を消さないと思いながら身を小さくしてる気がしてくるから不思議だ。
状況説明的な映像が一切無いから、二人の関係や、それぞれの心の動きなどは、会話の中から徐々につかんでいくしかないのだが、この人たちは本当にカメラがあるというのを知っているのだろうか、と思うほど、なんだか盗撮のような映像の中の登場人物は、その視線の追い方など、極めて日常的で素であるから、本当に不思議なほどに話に入れる。
徹底的に流れる風景や、ハレーションを起こして白く飛ばされた風景として、消去されるコンテクスト。イラン人とモスクというリージョナリズムは与えられるが、出てくる会話は離婚した親子の確執や、分かれた彼氏への未練、娼婦として解放された欲望など、恐らく世界中どこの都市でも同様の会話は行われているだろうと想像できる内容。
ある方向に、要素を徹底的にそぎ落とし、ここがギリギリ映画として成り立つという極地まで追い詰めたような第57回カンヌ国際映画祭 ある視点部門出品作品。
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第57回カンヌ国際映画祭 ある視点部門出品作品
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キャスト:マニア・アクバリ、ロヤー・アラブシャヒ、キャタユン・タレブザデー、マンダナ・シャルバフ、アメネ・モラディ、アミン・マヘル、カムラン・アードル、モルテザ・タバタバイ、バフマン・キアロスタミ、マスタネー・モハジェル、マズダク・セパンル、レザ・ヤズダニー、ヴァヒド・ガーズイ
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