ここ数年ずっと店頭で平積みされているこの本。帯には「中高生にバカ売れ」という触れ込み。
飲み会でやられるゲームを、高見広春の「バトル・ロワイヤル」のような無茶な設定に置き換えて繰り広げられる殺し合いミステリーだろうと、対して深い設定もトリックも無いんだろうなと毛嫌いしていたこの一冊。
日本から戻る際に立ち寄ったブック・オフで100円になっていたので記念的に買ってみたがやはり時間を無駄にしたと後悔する様な一冊。
「バトル・ロワイヤル」でもそうだし、貴志祐介の「悪の教典」もそうだが、学校の1クラスという設定はクローズド・サークルとしても成立するのと同時に、不思議なくらいに35人前後のクラスには社会の縮図のような様々な性格の子供が集まる。
そこに社会がある。と言ってもよいくらい社会を構成する全てのタイプの人間がいるようにも思える。
真面目でリーダー格の男子。
派手で性格のキツイ女子。
お調子者でおっちょこちょいの男子。
実はクラスのマドンナ的な女子。
オタクで気持ち悪がれる男子。
2,3人で群れて男子に文句を言う女子。
金持ちの息子でいじめられる男子。
寡黙で友達もいないミステリアスな女子。
それぞれのタイプにあった、それぞれの殺し方を設定してやれば、それなりにページ数は稼げるが、根本的な設定がむちゃくちゃすぎるこの一冊。週刊のマンガを読む小学生の様に、「今週はあいつがこう殺された」と全体見ずに局所しか見えない子供には短いスパンの楽しみや恐怖は与えられると踏んだのだろうか?
しかし、これが売れて、映画化されて、続編が作られる。上記したクラスものミステリーと比べたら雲泥の差があるにも関わらず、なんともさもしい時代になったものだと思わずにいられない。
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