2012年6月17日日曜日

Dusk

月曜から北部のハルビンに数日出張だからという訳ではないが、久々にゆっくりできそうな週末。妻にお気に入りの茶館に連れて行って帰り、空を見上げると綺麗な夕暮れが広がっている。

それを見た妻が発したのは、「トワイライト」

共同主宰する建築事務所には所属所員の半数ほどが外国人、つまりは中国人以外であるが、日本人は自分のみであるから、必然に事務所で日本語を使うのは自分で思考する時のみとなる。

送られて来るメールも、送らなきゃいけないメールも、その全てが英語か中国語のどちらかということになるので、あるチームのスタッフに伝えたいことがある時は、少なくともその前に何を伝えるか整理して、チームメンバーによってどちらかの言語かに変換して伝えることになる。中国語に関しては、問題ない範囲では自ら行うが、クライアントとの微妙なやり取りはバイリンガルの所員に手伝ってもらって内容を二言語の境界を移動することになる。

帰国子女的に幼少期に英語をすんなりと頭の中に入れたわけではないので、どうしても辞書やらなんやらを使いながら、ガチガチと思考回路に引っかかりながらという感じだが言葉をやり取りしていく訳で、学ぶべきは中国語だけでなく、英語ももちろん日々学ぶこととなる。

そんな中で出会う言葉にはたまにハッとさせられることがある。

建築の最終形をコンピューターによって再現するCGを設計段階で何度も作ることになるのだが、それの設定時刻ももちろん設計事務所が決定する。その過程でアメリカ人のスタッフが発した言葉。

「ダスク」

ダスト・・・?と思いながら聞いてみると、夕暮れ時の意味で、トワイライトよりもやや夜に近いということで、暗さが濃い時間帯という。これは日本語には無い言葉だな・・・と思いながら、その言葉の響きが気に入ってしばらく、ダスク、ダスクと一人でつぶやいていた。

そんなことを思い出し、「トワイライト」とつぶやく妻に、

「ギリギリ、ダスクだね」と自慢げに言い返す土曜日の黄昏時。

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