2012年6月10日日曜日

一期一会


時差の大きいヨーロッパで始まったユーロ2012のせいで、やや寝不足気味の日曜の朝。

ただし今週はめずらしく出社しなくていいのでゆっくりと朝ごはんでも・・・

と思っているところにオフィスのスタッフから連絡。なんでも、オペラハウスのプロジェクトの為に、クライアントとコンサルタントと一緒になって、北京周辺の建材屋の視察をして回るのだが、今日はアルミのカーテンウォールと、プレキャスト・コンクリート版を見るので、急だけど工場まで来てくれないかと。

そういうことは、なんで前もって言って来ないか・・・と思いながら、場所はどこ?と聞き返す自分は偉いなと思いながら、身支度を整える。

「悪いけど、今日もまた出なくちゃいけなくなっちゃってごめんね。」

と妻に謝り、送られてきた工場のアドレスが丰台区なだけに、ATMでお金を下ろしてタクシーに。

車中から再度電話して、運転手に直接伝えてもらうことにするが、なんとなく場所は分かるという。およそ30分の距離だという。

車を走らせていても、ピロピロ携帯がなり続け、一つ目の工場視察を終えてしまったので、合流する場所を変更するという連絡の為に、再度運転手に電話を渡す。

久々に気持ちのいい天気なので、窓を開けて小説でも読みながら・・・と思っていたらまた携帯が鳴り出して、今度はより分かりやすいマクドナルドの前で待っているから早く着てくれというので、再度携帯を運転手に。

運転中だから電話に出れないし、分かったから電話してこないで。という運転手。

その割りに自分の携帯にかかって来る電話は普通に出てるのは突っ込まなかったが、こちらが読んでいる本をみて、「日本人か?」と会話が始まる。

話好きの中国人なだけに、タクシーで話が盛り上がることはよくあるが、

「世界で一番仕事がよくできるのは、日本人だ。正確さや効率はすばらしい。その次はドイツ人で、中国人は三番目だと思う。アメリカ人は人のやったものをもっていくだけだから、一番ダメだ。」

なんて、なかなか気の利いたことをいうなぁと聞いていると、

「これだけ大きな北京で、一日に何人がタクシーに乗るか知らないが、こうしてあなたと話していることは凄いことなんだと。到着して降りてしまったら、きっと二度と会うことはないだろう。時間があれば、お昼をおごってあげたいくらいだ。」

とくるので、なんて感受性の高い運ちゃんだと思いながら、いつでも読める小説よりも、今日一日しか味わえない束の間の一期一会の方がよっぽど重みがあるなと本を閉じ、「家は八達嶺の近く」なんていうので、「こっからだと二時間近くかかるじゃない」、なんていいながら、次の休みに妻を誘って八達嶺あたりの長城のハイキングもいいもんだなと思いを馳せる。

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