年内最後に訪れる場所を選ぶのに、丸二日かけて考える。
山に登って爽快な気分になるのも捨てがたいし、
現代建築を見て来年への気合を入れるのも良し。
今年最後の嬉しい悩みを一頻り楽しんだ後に、やはり今年は歴史と宗教だということで、残しておいた鎌倉仏教六宗で唯一総本山に足を運んでなかった時宗総本山の遊行寺を訪れることにして、「今年一年、良い一年だったと思うなら、黙ってついて来てくれ」と妻を説得して人もまばらになった都内を電車で脱出。
行く道すがら妻に鎌倉仏教六宗を再度説明。
法然の浄土宗が知恩院や増上寺で、
その中から出てきた親鸞の浄土真宗が東・西の本願寺。
浄土宗で学んだ一遍が始める時宗の総本山が清浄光寺(通称遊行寺(ゆぎょうじ))。
やや遅れて登場し、激しい弾圧に合う日蓮を祖とする法華宗は久遠寺。
坐禅を基に悟りに至る栄西の臨済宗は建長寺や円覚寺。
同じく坐禅を基にするがより厳しい道元の曹洞宗の永平寺。
そんなことを話しているうちに藤沢駅到着し、思ったよりも栄えている駅前を抜けながら街並みを観察。路上観察学にひっかかりそうな、不思議な扉や、日干しされるぬいぐるみを片目に1号線目指してトコトコ。
鎌倉仏教六宗の他の宗派に比べると衰退した感は否めないが、さすがに好きな場所を好きに選べた時代に建てられただけあって、夕日をまっすぐに浴びて光る石の参道が、ゆったりとスロープ上に上昇していき、最後に大きなイチョウに迎えられてほどよい具合に軸を振って本堂に向かい合う。決して贅沢なつくりではないが、とても心地よい配置計画になっている。
近所の人が犬の散歩がてらお参りをしている姿が目に付いて、日常に溶け込んで、地元に愛されている寺の姿が印象的。
大変な一年になった2011の最後に、一年を振り返り、心を落ちつかせるよい訪問になったと思い2012を迎えることにする。
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