2010年12月8日水曜日

彦根城 1622 ★★★

















--------------------------------------------------------
所在地  滋賀県彦根市金亀町
城郭構造   平山城
別名  金亀城
築城   1622
機能   城郭
--------------------------------------------------------
日本100名城
国宝
--------------------------------------------------------

琵琶湖の湖東・長浜まで足を運ぶ用事があり、スムースに敷地視察が終わったので、近江八幡か大津、出来れば比叡山と思っていたが、電車の時間を逆算し、ギリギリ行ける彦根まで戻って国宝・彦根城を見に行くことに。

駅前から琵琶湖に向かって伸びる銀杏並木をてくてく一人で歩くと、久々に建築を見に行くだけが目的のストレスから解放された時間を感じる。天気同様気分が良い。

建築を見に行くことは取り敢えず数時間でも、やるべきことからの現実逃避。誰も自分の事を知らない場所で好きに歩き回り、勝手なペースで好きなところを見れて、好き勝手に考えを巡らす。そこで出会うのがよい建築だと、なお気分が良いし、それが何よりの気分転換となって帰ってこれる。

雁行しながら表門からお堀の水面を眺め、折れて入り込む西洋の門とは違った領域へと入り、これは谷口吉生のアプローチだな・・・と思いながら、天主を目指して山道を歩き、高さが変わるごとに、違う方向に見えてくるのはかつての城下町の景色と大きな琵琶湖の風景。

この城を守った井伊氏といえば、徳川四天王の井伊直政。関が原の戦いでも武田遺臣の赤備え軍隊で獅子奮迅の働きをした。城を造るのに当たって地形をしっかり読んがのが良く分かる、まさに土木と建築の狭間の空間。折れながら進む道の先に、盛り上がった地形の延長として建物が現れる。その先を理解させないという防御の意味合いと、「見ること」は「見られること」で、侵入者に対する攻撃の意味合いの二つがしっかりとアイ・ストップとして風景に溶けている。

それでいながら、その場所ごとに自然がしっかりと融合されて、飽きることなく坂道を上がりきるとすっくりと天主が聳え立ち、眼下に琵琶湖を臨む。

葉の落ちた広葉樹の立つ広大な庭に、地上には見えてこない地下での根の張り方の攻防によって、極めて収束するように等間隔になる自然のグリッドを堪能しながら、その中に王のように聳える大木を脇目に、今度は坂を下りながら城の表情を伺う。

同じ塀に内と外とで違う高さがあるということを実感しながら、こういう風景を建築でつくれたらそれは間違いなく傑作だろうなという秀逸な構成をみせる自然の凄さを思いながら、濁った緑に陽が当たり、鈍く光る水面に必死に日光を浴びようと枝を伸ばす木々たちの写り込みを脇に、玄宮園を観賞してぐるりと入り口まで戻ってくる。

今度は出て行く場所としての城壁に、水平の長さと部分の高さによって絶妙な構成を見て、最後は護国神社で奇数間のシンメトリーの世界を拝む。全体的になんといってもコンポジションの美しさに満ち溢れ、これほどに多様な場面をもつのは、やはり国宝に値する名城だと思いながら、彦根を後にする。
























































































































































































































































































































































































































0 件のコメント: