アイガー北壁で見つかる凍死体。その胸に刻まれた鉤十時。なぜ40年前のナチ兵士の死体がこの難攻不落の雪山で見つかるのか?彼は一体誰なのか?そして彼が経験した壮絶な物語とは?
冒頭で与えられる命題がしっかりと最後まで効いて、冒険小説として、そしてスゴ本としてかならず名が挙がる傑作。冒険小説としては笹本稜平は外せないが、英国の良質かつスケールの大きさはまた味わい深いものだと実感出来る。
一時期の勢いが過去の話となりつつある、敗戦前夜のナチ。その中でくり広げられる、人類史場最強の兵器・原子爆弾の開発競争。先を行くアメリカの研究を率いる物理学者。アルプス奥地で研究を進めるその学者の奪還こそが、ナチの山岳隊に与えられた最大のミッション。
印象的なのは、何時の間にか一人の人格のように扱われる山自体。大きく、強く、厳しく、優しいアルプスの頂。遠くからは優雅で美しいその姿の近くでは、全く違う表情を見せているのか。いつかはアルプスに足を運びたくなる極上の★5つ。
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