2015年2月22日日曜日

西表島(いりおもてじま) ★★


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昨年の夏に「サウスバウンド」を読んでからやたらと行きたくなった西表島。沖縄ですらなかなか行く機会などないものだから、離島なんでなおさらであるが、今回は思い切って妻と一緒に休暇を利用して足を伸ばしてみることにする。

2013年に開港した石垣新空港からフェリーターミナルまでバスで移動し、フェリーに揺られ約一時間。到着するのは沖縄で本島についで大きいと言われる八重山諸島最大の島・西表島(いりおもてじま)。

大きく分けて西地区と東地区に分かれるこの島であるが、この時期はほとんど予定通りフェリーが動くことは無いという東地区の港について、そのままバスにてホテルへと直行する。

イリオモテヤマネコで知られるように、日本では珍しく亜熱帯海洋性気候に属し、また外部との交流を絶たれ独自の生態系を発展させたこの島は、全体の90%を亜熱帯の森で覆われ日本の秘境100選にも選ばれている自然豊かな地域である。

島の中をうねるように走る川には日本で見られるすべての種のマングローブが見れ、島の特殊な地形であちこちでかなりの高低差の滝を見ることができる。ホテル近くの浜辺で八重山諸島らしい青い海辺を散策していると、亜熱帯地方らしく空の様子が変わりだしあっという間に激しいスコールに見舞われる。

予定していたアクティビティも中止となり、部屋で外の雨の音を聞きながら読書をしながら午後を過ごす。夕方には雨があがり、ホテルが主催するこの島の生態系に関する簡単なレクチャーを聞いて、「イリオモテヤマネコは進化から遅れており、高いところから落ちても猫の様に尻尾でバランスを取れないので頭から落ちることがある」という説明を聞く。

それを聞きながら、外から入ってきた人間が、勝手に外の世界にいる猫という動物と自分を同一視して、それで「進化から遅れている」と決め付けてくるが、こっちはこっちで自分のペースで生きているし進化してるんだから余計なお世話だ。

と自分がヤマネコだったら言うだろうなと思いながら、夜はこんなに暗かったのかと思い出させてくれるような漆黒の闇の中、ホテルで薦められた近くのレストランへと足を運ぶ。

二日目は相変わらず変わりやすい空模様の合間を縫うように予定していた通りにマングローブを楽しみながら川を上るツアーに参加し、自転車で意外に起伏の激しい道を車を気にすることなくこいで、「サウスバウンド」でもモデルにされたとされるヤギの横を駆け抜け、午後には亜熱帯の森の中を歩き滝の上から午前にいったマングローブの川を見下ろし、ガイドの人から「この地が世界遺産に登録されたらここにも人が入ることはできなくなるでしょうね」という言葉を聞きながら、利便さとともに距離を手に入れた人間が、こうしてどんどん自然に入り込み、勝手に手を入れた生態系に途中からそれを人間の視点で保護しようとする身勝手さは、どんな時代にも行われるのだろうと思いながら山を降りる。

独自の生態系を壊さないように、保護はするけど決して人間の手で個体数を増やしたりはしないというこの島の自然への対峙の仕方。そして本で描かれるような純化された離島の生活や風景はやはり同じように残されている訳ではなく、この島なりに利便さとの丁度いい距離を保ちながらもいいものは取り入れ、そして生活もまったく時代にそぐわない姿が保存されているわけではなくやはり21世紀の日本の一部分であるのだと、勝手に自分の想像力の中で膨らんだ妄想を萎ませながらまた島を離れることにする。






















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