2014年4月24日木曜日

「ジェノサイド」 高野和明 2011 ★★★★

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第145回直木三十五賞候補
第33回吉川英治文学新人賞候補
第2回山田風太郎賞受賞
第65回日本推理作家協会賞受賞
このミステリーがすごい(2012年)1位
週刊文春ミステリー・ベスト10(2011年)1位
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ネット上ではいろいろと賛否はあるようであるが、それでもやはり近年稀に見る大ヒットした小説であり、いたるところでその宣伝を見ることになった話題の一冊。

日本、アメリカ、コンゴ、南アフリカ、そして太平洋と様々な場所で起こる一連の事件。様々な関係者が徐々に一つの点に収束していくスピード感。

日本で進行する新薬の開発と、アフリカで進行する進化した人類ヌースの確保。

圧倒的な知性を持った一人の超人類が人類最強の国家であるアメリカをいとも簡単に手玉に取ってしまう。複雑な事象を理解するということはこんなことができるということかと目から鱗の展開を何度も描き出す。

地球上に存在する他の動物を見ていても、そこは人類がその知性のお陰で逆肉教職のピラミッドの頂点に君臨するという安心感を後ろに抱えている。

それがある一人の超人類の誕生により一気に崩壊する恐怖。どんなに手を尽くしても圧倒的にかなうことの無い他者。そしてその他者が人類になんら自愛を感じることが無かったと想像したときの恐怖。

まるで皮膚に纏わりつく蚊を何の思いも感じずに叩き殺す自分の姿の様に。姿は似ているが、その本質はまったく違う。そんなコペルニクス的転換を迫られながら様々な判断を下していく登場人物。

そこにあるのは個人でありながら、共通な人類という意識。様々な批判はあると知りながらもそれでもやはりこれだけの世界観とそれを成立させる細やかなディテールの作りこみはやはり並大抵の作家ではないと思わされる一冊である。



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