2014年4月19日土曜日

名古屋大学豊田講堂 槇文彦 1960 ★★★★


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所在地  愛知県名古屋市千種区不老町
設計   槇文彦
施工   竹中工務店
竣工   1960
機能   講堂
規模   地下1階、地上3階
構造   RS造
敷地面積 381,784㎡
建築面積 3,759㎡
延床面積 8,643㎡
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1962年 日本建築学会賞受賞
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今回名古屋大学を訪れた最大の目的であるのがこの建物。1993年にプリツカー賞を受賞し、日本人として丹下健三についで二人目のプリツカー賞受賞者となった建築家・槇文彦の、日本での処女作となる作品である。

国内処女作でこれだけの規模の建築を手がけるというのも、またそのスケールの大きさと氏の当時からの建築界での影響力の大きさを思わされる。

建物の配置は、大学内を貫通する幹線道路からなだらかに登っていく傾斜の丘の上に鎮座する形をとっており、名古屋大学のイメージを作っている風景となっている。この建物は「門」をイメージして作られており、大学内の各種イベントが行われる場所としても、そして造形・空間的にもこの大学の「門」として作用している。

その起源は1960年に愛知の世界的企業であるトヨタ自動車による寄付によって計画され、そのトヨタ自動車からのご指名により設計者が槇文彦、そして施工が竹中工務店と決まったという。

2006年には改修工事が行われ、設計時と同じチームである設計に槇文彦、施工に竹中工務店とういタッグで行われ、外壁も綺麗にされたほか、内部の耐震補強やアトリウムの増設など、時代のニーズに合わせて建物も更新され使われ続けている。

建物をぐるりとめぐっていくと、その巨大さが良く分かる。大学という都市とは別のスケールを持った空間の中で、中心の風景を作り出す講堂という建物の性質上、その規模と造形も相当にスタディを重ねられたのだと思うが、この建物が竣工した当時に設計者の槇文彦は32歳というから、やはり年齢を重ねればよい建築が作れるという考えは一概に当てはまらないと教えてくれる建物である。

大学にとってその各種イベントの中心となるのがこの講堂建築。

東京大学   安田講堂
早稲田大学  大隈講堂
慶應義塾大学 三田大講堂
一橋大学   一橋講堂

と見られるように、各大学にとってもその代名詞として頭に浮かぶのはその講堂のある風景。そしてこの名古屋の地でもまた、「名古屋大学」と聞いて頭に浮かぶのはきっとこの講堂前の広がりのある風景なのだろうと、その「門」の下でダンスの練習をする学生達の姿を見ながら思いを馳せる。




















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