夜道をトボトボ歩いていたら、とんでもないものを拾った。
道路記号かと思っていた白ペンキが、なんだか変な形をしてて、通り過ぎようとするときに、茂木的アハッ体験で、これはホームベースだと認識。
なぜ夜中のこんな時間にお墓の前にホームベースが・・・
周りを見渡しても、それらしきものといえば、目の前の寺の塀から除く数々の卒塔婆。
摩訶不思議と思いながらも、とりあえずホームインはして点を入れてみる。記念に写真をと思っていると、通行人がやってくるので、夜中に墓の前でホームベース相手に写真を撮ってるいい歳の男を見かける人の気にもなってみて、ゾッとするのでホームベースを片手にその場を立ち去る。
持ち方はこうなります、と若手芸人的に、やはりさきっちょを持ってみると、なんだかいったんもんめの散歩中みたいな絵を想像する。こんな時には普段遇わない人にも出くわすもので、すれ違うのは馴染みの靴修理屋さん。とりあえず自慢してみると、ここらへんの汚れ具合がいいねー、と訳のわからない褒め言葉をもらう。
オフィスに戻って、とりあえず正式に記念写真を撮ってみる。しかし、こんな落し物の後ろには、それなりにドラマが展開しているのだろうと心が痛む。
明日は地区大会決勝。河川敷での試合になる為に、自校から用具一式を持っていかなければならない。そんな中で託されたホームベース。めんどくさいなとぶらつきながら家に帰って、風呂に入り、明日の準備をしていると、消えたホームベースに気がつき、一向に点が入らないエンドレスな明日の試合で冷たい眼差しを受ける自分を想像し、吐き気を催している中学二年生・・・
もしくは、ドラッカーを読んでる美人高校野球部マネージャーが、頼まれて持ち帰るホームベースの重量からくる疲労を変数とした独自の経済理論より導いた解答に沿って、途中で放棄する道を選んだ可能性も・・・
とにかく、そんな悲しい青春の一ページを作らせないためにも交番へいったんもんめを連れて出かける。一しきり警官にも笑われながら、ぜひとも取得の権利は履行してもらいたいとの要望を出して書類を作成してもらい、明日の朝にでも登校前の中二が駆け込んでくる姿を想像しながらも、落とし主が出てこない場合は、3か月後に役目を全うさせるためにもどれだけのホームインをしなければいけないか、ややワクワクしながら、なんだか善いことをした気分で家路につく。
そしてその先に待ち受けるのは、先ほどホームベースを拾ったT字路。ひょっとして次は一塁ベースか・・・と思ってしまわずにはいられない。
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