刑務所内部の一日の動きや、収容者の規律に対しての綿密なリサーチに裏づけされ、見たことも無いのに目に浮かぶような描写力と、飲酒運転によって突如愛する人間を奪われた側と、突如殺人犯になってしまった側との対比の構成、そして飲酒運転に見せかけられたある事件の隠蔽工作、さらにその上に被せられたもう一枚のトリック。
入れ子の入れ子の入れ子。
このプロットを思いついた時の作者はきっと嬉しさに飛び上がったであろうと思える文句なしのシナリオで、江戸川乱歩賞受賞というのも納得できるが、なぜだか読んだ後に襲ってくる感情の波は少なく、そうじゃない方法で終われなかったかな、となぜか一人消化不良。
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第55回江戸川乱歩賞受賞作
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