比較的長くに渡ってはまっている作家・真山仁。毎回違う分野において、世界のトップで闘う男の肌がヒリヒリするような生き様を描いてくれる。
原発と中国というタイムリーなトピックに誘われて、帰国したときにブックオフで一冊350円にも関わらず購入する。
あとがきを読んで納得だったが、えらく北京の詳しい街並みや、生活事情に精通しているな、と思っていたら、加藤喜一氏が取材の手伝いをしたということらしい。
それにしても、これほどこの国の表も裏も深く描けるには相当な知識と理解が必要になるだろうととにかく関心してしまう。
毎夜それは生まれ、毎夜それは消えるのの
それは希望
歌劇『トゥーランドット』より
ロンドン・オリンピックが終わったばかりだが、オリンピックの開幕式と言う、世界的な戦争が無くなった現代社会において、唯一国家が大手を振って国家予算をつぎ込める4年に一度のハレのイベント。
一点の収束点に向かって加速する狂気的な熱狂の中に一体何が含まれているのか?
先進国に名を連ねるターニング・ポイントだった2008/8/8日の北京。そこに先進国として虚も実も必要とされる世界最大級の原発の開発および運転という試金石。そこに技術責任者として日本から赴く主人公。
「能力もなく努力もせずにヌクヌクと生きている連中が生理的に許せない」
と、コンプレックスをもてあまし、激しいまでの正義感に燃えるもう一人の主人公。
「希望とは、人が生きる原動力だ。どんな酷い目に遭っても、どんなに貧しくても、希望を失ってはならない。そして、人々から希望を奪う者がいれば、我々は勇気を持って闘わなければならない。」
という全体と通してのメッセージ。
序章 開幕一時間前
第1章 ミッション
第2章 郷に入っては
第3章 嵐の中で
第4章 柳絮は風に
第5章 鉄飯椀
第6章 カウントダウン
第7章 ブラックアウト
というなかなかよろしい章題に沿ってテンションもピークに達していくのだが、どう描いてもいろんな問題を起こすか消化不良におちいるか、という悩みを抱えて挙句、そこまで描かないと決断したかのような断絶のような終わり方だけは納得いかないというところか。
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