2014年12月7日日曜日

コンサート 「Ivo Pogorelich Piano Recital」 NCPA 2014 ★

イーヴォ・ポゴレリチ  Ivo Pogorelich 

このまま行けば、今年最後のコンサートとなる今夜のピアノ・リサイタル。いつもの様にメンターに薦められるままに購入した今夜のチケット。当日になってやっと予習を始め、どんなピアニストかとプログラムに目を通して夜に備えることにする。

今夜の主役のピアニスト、イーヴォ・ポゴレリチ(Ivo Pogorelich)は、メンター曰く、現在活躍するピアニストの中でもかなり重要な一人であるという。1958年、クロアチアの首都であるベオグラード生まれの56歳。ロシアに渡り、ピアノの師である年上のアリザ・ケゼラーゼと結婚し、更に才能を開花させ、世界的なピアニストとして活躍するという。

なんら予備知識を持たずに臨んだ演奏だが、前半を終えてメンター夫妻をホールで合流し、感想を言うあう時に、「あまりに強弱の差が激しく、鍵盤を強く打ち付けるので、落ち着いて楽しめる演奏というよりも、緊張してビクビクしながら聴く感じだね」と言い合っていたが、なんと後半のストラヴィンスキーの演奏の途中で、ピアノ線が切れてしまったということで、急遽最後のブラームスの前に予備のピアノが舞台下からせり上がってきて設置されるというアクシデントもあり、観客席の空気もどこか「あまりに強く叩くからだよ・・・」という声がどこかから聞こえてきそうな・・・

帰宅後あらためて調べてみると、やはり「弱音指定の箇所を強打するなど型破りなことでも知られる」と書かれており、「なるほど」となぜか納得してしまう。それでも前半のリストとシューマンでは、俗世からクラシックの世界へ身体を馴染ませる為にどうしても必要な移行期間としてアルファ波に包まれてすっかり眠りの中へ。周囲を見てみても、やはり同じように抵抗することも出来ずにいびきをかきながらウツラウツラとしている男性客の姿も。

まずは1886年、ハンガリー生まれの作曲家でありピアニストであるフランツ・リスト(Franz Liszt)の「ダンテを読んで(After a Reading of Dante Fantasia quasi sonata in d minor)」。

続いてドイツ人作曲家のロベルト・シューマン(Robert Schumann)の「幻想曲 ハ長調 Op. 17(Fantasie for Piano in C major, Op. 17)」。この二曲の前半だけで1時間近く演奏しており、途中からアルファ波の呪縛も解け、曲に集中することができる。コンサートの前半で眠りに落ちると、いつも悩まされている偏頭痛もなんだか楽になったような気がし、少しだけ身体が軽くなって後半を迎えることが出来る。


そんな風に向かえた休憩時間。階下のカフェ前でいつもどおりメンター夫妻に合流し、前半の感想をあーだこーだと話し合う。そんなこんなしているうちに「ゴーン」と後半の始まりを知らせる合図が。

後半の一曲目は昨年末に良く聞いたロシアの作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky)の「ペトルーシュカ(Petrushka for Piano, three movements)」 。ちなみにペトルーシュカ(ピョートルの愛称)とは、ロシア版のピノキオのことだという。

そしてピアノ線が切れ、観客席がざわつく中断の後に演奏されたのが最後の曲は1833年生まれのドイツ人作曲家、ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms)の「パガニーニの主題による変奏曲(Variations on a Theme of Niccolò Paganini in A minor, Op. 35)」。こちらはどこかの広告か何かで聞いたことのあると思える曲で、周囲を見渡してもやっと心地良くリズムに合わせて身体を揺らしている人の姿を視界に捉えることができるほど、有名な曲である。

演奏を終えると、数度のカーテンコールと繰り返すが、今日はピアノ線の切断というアクシデントもあり時間が長引いてしまったせいもあるのかアンコールの演奏は無しのよう。会場をでて時計を見ると既に夜の22時を回っている。

帰り道なので、車で家まで送っていくメンター夫妻と落ち合って、「コンサートというよりはコンテストで必要以上の強弱をつけた脅迫的な演奏が少々痛々しかった」などと勝手な感想を述べながら、来年はどんな演奏に出会い、どれだけ心地良いアルファ波に包まれることができるだろうかと想像を膨らませながら、夜の街へと車を走らせることにする。

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Programme  
 After a Reading of Dante Fantasia quasi sonata in d minor Liszt
 Years of Pilgrimage, No. 7 II G 161 2nd Year: Italy 1858 Liszt
 Fantasie for Piano in C major, Op. 17 Schumann
   
 ——Intermission——  
 Petrushka for Piano, three movements Stravinsky
 Variations on a Theme of Niccolò Paganini in A minor, Op. 35 Brahms
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フランツ・リスト Franz Liszt
ロベルト・シューマン Robert Schumann
イーゴリ・ストラヴィンスキー Igor Stravinsky
ヨハネス・ブラームス  Johannes Brahms


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