2013年11月20日水曜日

バレエ 「ドン・キホーテ」 NCPA 2013 ★★★

メンターが、「自分もかつて日本で同じ題目のバレエに出た事があり、役柄は馬だったが、同じプロダクションの様なのでどんな感じがチェックしてみたい」というので購入する事になったドン・キホーテのバレエチケット。

平日だけど一人のパートナーは既にレクチャーの為にドイツ入りしており、もう一人のパートナーも明日からモスクワで始まるコンペのキックオフ・ミーティングに参加する為に、今日は準備の為に早く帰るはずだと想定し、今日こそは開演時刻に間に合うようにオペラハウスに到着できるだろうとバッグの中に忍ばせたチケットが気になりながら過ごす一日。

19時も近づいて一応チケットを確認する。一度に数枚チケットを同時購入するので購入時には演目や日時などは確認する事が無いが、一応本日のチケットを確認しようと過去のチケットと一緒になって十数枚になっているチケットを整理してみるが、どうにも本日のチケットが見当たらない。

その代りに15日にピアノ・コンサートを見にいったにも関わらず、同じ日のシアターでのチケットがバッグから出てくる。「まずいな・・・」と思い始め、恐らくチケット売り場の係りが間違えてチケットを渡したに違いないと思う事にして、「既に中に入っています」とメンター夫妻から届くSMSに「チケットを間違えて購入したか、もしくは間違えて渡された可能性があり、今日のチケットが手元に無いですが、チケットカウンターに問い合わせに行ってみます」と返信し、既に開演10分前にオフィスを出る。

既に開演時刻を過ぎて会場に着き、走ってチケットカウンターにいき、事情を説明するが、「それはこちらのミスではない。その場で確認して返却しなかったそちらのミスだ」と言い張られる。しょうがないので、「今日のチケットが残っているか」と尋ねると、残っているが既にレジを閉めてしまったので売ることができないと冷たい対応。

その様子を後ろから虎視眈々と眺めていたダフ屋のお姉さんが近寄ってきて、「チケット、あるよー」と。「420元のチケット300元でいいよ」などと行って来るので、「とにかく入れればいいので、一番安いやつあるか?」と聞くと、流石にチケットを無駄にしたくない一心なのか、「120元の席を100元」でいいという。「80元の席でいいんだけど」というと、それは無いというので、とにかく100元のチケットを売ってもらうことにしてすぐにセキュリティーを通って中に向かう。

前回の様に幕間まで待たされる事なく中に入れてもらえ、そんなに混んでいない3階席の端っこに座ると、丁度プロローグが終わり、バルセロナの街で皆が踊っているシーンから見ることが出来た。バッグの中に忍ばせてきたオペラグラスを取り出して、プリマドンナを眺めてみると、まったく違う重力場にいるようなゆったりとした踊りにすっかり目を奪われる。流石はこの国唯一の国立バレエ団であり、その中でトップを張るダンサーのレベルや相当なものだと改めて思わされる。

結婚を反対する親から逃げるようにして街を離れるキトリとバジルの姿を持って幕が下ろされる第一幕。「下のカフェの前で会いましょう」とメンター御夫妻にメッセージを送り、15分を使い切る為に下に下りてチケットの顛末を説明し、カフェでサンドイッチを法張り、「ゴーン」と鳴り出す5分前のサインでまたエレベーターを駆け上がって3階席へ。

そんな訳で空腹も収まり、やっとオペラの雰囲気にも慣れてきて、オーケストラが奏でるアルファ波にすっかりやられ、2幕開始と共に強烈な睡魔に襲われる。オペラに横になれるベッドが設置されていたらおそらく一番贅沢な睡眠が取れるのでは・・・とあられもない想像をしながら、槍をふりまわすドン・キホーテの姿をうっすらと捉えながら完全に眠りの中に。

気がつくと2幕が終わってしまっていて、すっかり幕中完全に睡眠を取ってしまったが、「これが一番質の高い睡眠だ」と自分を納得し、外にでて食べ残していたサンドイッチを頬張りながら下を見ると、メンター夫妻が自分が下りてくるものだと思ってキョロキョロ探してくれている様子である。

携帯からメッセージを送るがどうも気づいてないようである。しょうがないので携帯に電話するが、オペラハウスということもあり電場状況が芳しくなく、「電波の届かないところに・・・」というメッセージ。しょうがないので、メッセージを再度送って中に戻る事にすると、暫くして「了解」という返信が。

最終幕はなんとか眠気を吹き飛ばし、中国最高レベルのバレエの演技にすっかり心を奪われる。何と言ってもキトリとバジル役の二人が圧巻で、つま先から指先まで神経がびっしりコントロールされている身体から発せられる緊張感がバシバシ伝わってくる。

この幕はどうも結婚式の場面らしく、入れ替わり立ち代り様々な役者が楽しげな踊りを披露していく。その横では主役のはずの・ドン・キホーテがどっしりと座って見物している。そんなこんなでフィナーレを迎え、カーテンコールの最後に後ろからドン・キホーテ役のダンサーが中心に出てくるが、どう考えてもこのバレエの実質の主役はキトリとバジルの二人だろうと思いながら拍手を送る。

その後下のホールで再度落ち合ったメンター夫妻。やはり玄人にとってもこの全てのダンサーの踊りは素晴らしかったようであり、随分と褒めちぎっていた。しかし二人の座った席の後ろの観客が、劇中ずっと喋りっぱなしで、酷いマナーだったようで、係員に言って席を替えてもらったといい、その事に関しては酷く憤慨している様子。

「これからオフィスに戻らないといけないが、2幕ですっかりナップを取れたので少し元気になったから問題ない」と伝えると、二人揃って大笑い。やはり玄人はアルファ波にも抗体が出来ているのだろうと思いながら、今度は週末のString Quartetのコンサートで会いましょうと別れを告げて、少し頭が軽くなった気になってオフィスに戻る事にする。

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