2013年6月12日水曜日

「素行調査官」 笹本稜平 2011 ★

ダブル主役かのような小松刑事の視点から物語が始まる。管轄内で発生した殺人事件。その現場に一番に到着し見つけた不審な名刺入れ。その裏に見え隠れする、警察トップの不祥事の臭い。

一方、勤めていた探偵事務所が倒産し、参加したクラス会で再会した警察官僚になっている入江よりリクルートされて警視庁監察係という、警察内部の不祥事を取り締まる部署への就職が決まった本郷。

日本でビジネスを展開する美人中国人経営者。殺されたその妹。中国人経営者と不倫の関係を続ける公安刑事。その裏の見え隠れする蛇頭の姿。そして警察官僚の出世争いと様々な謀略。

ハードボイルドを書かせたら横に出るものがいない大好きな作者だが、警察モノと言う使い古された枠組みの中で、更に期待に応えるような物語になったかといえば疑問符が残るような内容で、大きなトリックを無しにクライマックスを迎える一作。

やはり海か山という、自然の中で苦闘する男を書き続けてほしいと願わずにいれれない。

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