2012年9月6日木曜日

一言

今週もまた新しいメンバーがオフィスに参加した。

インターンだけで5人。ハンガリー、タイ、カナダ、アメリカ、中国。そして新しい所員として一人アメリカから。

それぞれのメンバーのCVを再度確認し、誰がどのようなことを得意としているか理解し、進行中の各プロジェクトのプロジェクト・アーキテクトと話をし、どのような人員がどの部分の仕事に必要か確認をする。

リストを持って各人を回ってそれぞれの顔写真を撮影し、どのプロジェクトに参加するのか説明をし、

「Welcome to MAD」と伝える。

その顔写真と一緒にそれぞれの個人情報を連絡帳にデー化し、出身国や出身大学、そしてどのプロジェクトに配置されるかをタグで管理。

顔と名前と特徴を把握し、暫くそれぞれのプロジェクトでどのようにパフォーマンスを発揮できるか見ながら、必要に応じて配置換えをしていかなければいけないので、少しでも早くメンバーとして自分の海馬に認識させるにこしたことはない。

以前書いたが今は様々な国でも夏休みということもあり比較的多くのインターンがオフィスにやってくる。以前から来たいたインターンと新しく参加してくるインターンの移行期でもあるので、総勢17人のインターンとなっている。

若いときに建築事務所で所員として働いている時にそうだったが、自分よりシニアである人やチームリーダー、ダイレクターやボスからどんな風に自分がやった仕事内容が評価されているのか、どこをどういう風に伸ばせばより優秀な建築家になれるのか?少しでもいいから話をしてもらい、一言を貰いたかった。

しかし、その一言をくれる人、プロジェクトの切れ目切れ目で時間を費やしてくれる人というのはなかなかいないもので、皆自分のステージが上がるごとに自分の視界で精一杯になり、昔の自分の視点などは振り返っている余裕はなくなってしまうものである。

「オフィスは学校ではない」のは当然であり、学ぶ環境やモチベーションをこちらが用意してあげる必要はなく、オフィスの毎日の活動の中でどれだけでも学べるところは見つけられるはずである。

しかし、自分の青春を捧げ、これからの人生を共にする職業としてそれを選ぶかどうかまだ定かでないインターン達。想いをもってこの事務所で建築が生まれる現場を経験したいと応募してきて、二十歳そこそこでは大変な思いをしながら、住む場所を変えて住まう環境も違う場所に飛び込んでいく、その調整を踏まえてやってきたこの地。

そこでボスの一人がかけてくれた一言は、一人の建築家としてその後そのインターンが歩む道にどれだけ大きな影響を与えるのか。恐らく今はそう思わなくても、いつかきっとその意味が芽を出す日がくるのだろうと思わずにいられない。

建築は楽しいんだということを少しでも感じられるように、また建築家として生きることが豊かなことだということを思えるような、そんな接し方と一言を彼らの心のどこかに残せるように、遠目からそっと見守ることにする。

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