東京大学建築学部前研究室のスタジオによるの我々MADの事務所を訪問が行われた。
昨年まで3年間外部講師としてスタジオに参加させていただき、その時の学生がコンドル賞(東京大学建築学部生の卒業設計最優秀者に与えられる賞で、東京大学の建築学部創設に寄与したジョサイア・コンドル氏の名前が冠されら大変栄誉ある賞)を受賞し、半年間の海外事務所へのインターンシップができる奨学金を得て、通常ならヨーロッパに向かう学生が多いのだが、彼は北京で我々MADの事務所でのインターンシップを希望した為、我々も快く受け入れることになり、その彼がインターンシップが終了し研究室に戻り、TAとして今回の北京視察を企画したという流れなのである。
准教授の前先生と、昨年までは同じ外部講師として一緒に学生を見ていた中川純氏。それにかつてゼミで教えていた学生たちが修士生となってTAとして学生の世話をして、今年の学部4年生と修士1年生のゼミ生合わせ、総勢25名ほどの大所帯。
まずは僕から事務所の簡単な説明を兼ねたプレゼンテーションを30分ほど行い、事務所の中の案内。その後僕からお願いさせてもらい、前先生から環境建築に関してのレクチャーをいただけることになり、事務所のスタッフに声をかけて狭いカンファレンス・ルームが簡易なレクチャーの様相に。
環境を念頭において設計のプロセスの中で、シュミレーションの結果をフィードバックしながら、確認の為ではなく、建築環境の向上の為に取り入れながら設計を進めることの大切さを、いくら口を酸っぱくして事務所で言い続けても、どうも説得力に欠けるらしいが、こうして外部者としてアカデミズムの観点から客観的に説明してもらえるととてもすんない入っていくのではと思うほど、非常に分かりやすいレクチャーをしてくださった。
特に2011年の東日本大震災とその後の福島第一原発の事故による、大規模なエネルギーの欠乏と、エネルギーの観点から見た場合の現代建築の評価軸。
SANNAの21世紀美術館がいかに内部熱環境的に最悪か、現地での実測を元に説明し、外見やプログラムの再構築による美しい建築が評価される軸を作り出したのが安藤忠雄で、その際たるものが住吉の長屋だという。村野藤吾が発した「この建築は建築家が評価されるのではなく、住み手が素晴らしいだけだ」という言葉を引きながら、如何に長年にかけて建築家が熱環境に関して無頓着に、ひたすらに形態への傾倒が放置されて来た末の現状。
レクチャーの後に簡単なダイアローグをということで、我々のスタッフからいくつか質問を前先生に投げかけさせてもらい、盛況のうちにレクチャーを終了する。
その後せっかくなのでということで、北京ダックだという夕食に参加させてもらうことにする。せっかくのせっかくなので、妻も同席させもらおうと二人してのこのこ出かけていくことにする。
前先生と懐かしい顔ぶれと一緒に卓を囲んで、久しぶりに日本語でのリラックスした会話を楽しみながら、学生達からの質問に答えて食事を進める。ここからできるだけの刺激を持って日本に戻って、がむしゃらに建築を楽しみながら学生時代を過ごしてもらえればと思いながら、これは国税出費による夕食だな・・・とできるだけ残さないようにと思いを馳せる。
0 件のコメント:
コメントを投稿