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震災後、いろんな人に液状化ってどういうこと?と聞かれることがあり、試験に出てくるような解説ではなく、ざっくりと噛み砕いて説明してみると以下のようになる。
四角い箱に砂を詰めていき、一杯になったかと思ったときに、箱を振って間の空間にも砂が詰まるようにしてやると、少しだけ表面が下がるのをイメージしてもらって、その時に箱の底に水が溜まっていて、沈んだ砂の体積と同じだけ水が上にしみ出してくる。
箱の上に重りなんかが置いてあるのを想像すると分かり易いが、この振動時の砂は固体ではなく液体的な挙動をするので、その上に載っている建物なんかが沈みこんでしまい、家が傾いたり、塀が倒れたりする。
つまり液状化現象が起こりやすいのは、
・地盤の表面に砂が多く含まれる
・地下水位が高い
となる。
埋立地が液状化しやすいのは、もともと水があった場所に砂を埋めてって土地にしているから当然である訳だ。
では、どうやって液状化を防ぐとなると、
・砂の多い柔らかい層の下にある、がっちりした層まで杭などで建物の脚を立ててやる
・砂の層に杭などを沢山打ち込んでギュッと地盤を締め固めるなどの地盤改良をしてやる
・地下水を汲み上げてしまう
などとなる訳だが、杭など打つと結構なお金になってしまい、如何せん地下という目に見えない場合に、お金のかける先としての優先度は低くなってしまう。
そんな訳で、ざっくりした理解だと発生のメカニズムはそんなに難しいわけではなく、だからどこらへんで発生するかも事前に分かるということになる。それがよくニュースで見る各行政の出している液状化予測図。
東京の液状化予測図
http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/ekijyouka/index.htm
横浜市 液状化マップ
http://www.city.yokohama.jp/me/shobo/kikikanri/ekijouka_map/
千葉県ハザードマップ
http://www.bousai.pref.chiba.lg.jp/portal/05_sonae/58_hazard/jsn/map_jsn.html
恐らく、震災後に自分の家は大丈夫かな?とアクセスして初めてこのようなマップがあることを知った人が大部分だと思う。こういうものをちゃんと発表しているから危険喚起の責任は果たしているという行政の声が聞こえてきそうな感じもしないが、結局は官も民もそんなもんだ。
そんなわけで、地震発生2週間後。テレビでやたらと首都圏での被災として浦安市の液状化が報道されだしたあたりで、実際どれくらいの影響が建築にあるのかを見るために一人、舞浜の街をトボトボ歩いて来た。
新浦安駅から、高洲地区、今川地区、富岡地区と二時間ほどかけて写真を撮りながら回ったが、電柱柱がひどく傾いているために、風景自体の基準線が捻じ曲げられて、全体的になにかがズレているという印象。
歩いていくと、泥水が乾いての砂がいたるところを覆っている。そしてその付近には必ず隆起した舗装材。各住宅も遠目にはそんなに大きな影響は無さそうに見えるが、近目になるとそれぞれに被害が目に付く。
自転車で帰ってきたお母さんが、門扉を閉めようとするとなかなかうまく閉まらず、何度も何度も強く閉めようとする「カターン、カターン、カターン・・・」という音に、左右が違って傾いた門扉のような小さなところでも日常を普通に過ごせなくしてしまう力があるんだと、酷くこの液状化の象徴的なシーンに思えてしまい、その音を何度も頭の中で反復させながら、この教訓を次に活かすのが我々の仕事なんだと思いながら家路につく。
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