2015年10月5日月曜日

Ito-ya 伊東屋銀座 大成建設 2015 ★★★


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所在地  東京都中央区銀座
設計   大成建設
竣工   2015
機能   店舗
規模   地下2階、地上13階
構造   S造
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文庫と新書のブックカバーが随分古くなり、ところどころ擦り切れてしまっているので、妻に勧められて買い替えを検討する。せっかくだから慣れ親しんだ同じものが欲しいと銀座に立ち寄った際に伊東屋に立ち寄る。

月日の流れるのは早いもので、ここもいつの間にか改装されているのに気がつく。かつては狭い横幅の中に設置されたこれまた狭いエスカレーターを上まで上がり、目当ての商品を買っては待てども待てどもやってこないエレベーターを諦め階段で降りてくるというイメージであったが、改装後は何とも解放的なお洒落な印象になっている。

木を基調としたインテリアで、上下の動線も以前ほど狭苦しい思いは払拭されている様子。恐らく展示商品の数を減らし、より色や目的別に視覚に訴える展示方法を設計の段階からよく練られている様子で、各フロアごとにとてもすっきりして、また意図を読み取りやすい展示と配置となっている。そのお陰で目的の商品までスムーズにたどり着くことが出来るし、各フロアでの動線も迷ったり狭苦しい思いをせずに、広々とした感じである。

これを間口8mのこの敷地の条件で行うのはなかなか素晴らしい。と思って調べてみると、余り情報は出てこないようだが、プロジェクト管理を三菱地所設計が行い、設計施工として大成建設というチームで行っているようである。

やはり幅狭のペンシルビルをどうやって街に開いていくかが一番の出発点だったようで、そこで「通路」として内部を通り抜けてもらうように、街に面し後ろへと通り抜けるこの二つの面を完全にガラス張りにして、その他の必要な設備などは全て残りの隣地に面する長手の二面で処理をする方法を採用しているようである。

この長手の二面の壁面が設備だけでなく、ダブルスクリーンとして自然換気にも寄与し、またその空気層が断熱層としても機能するなど、エネルギー消費を考慮した環境建築でもあるようである。

そのデザインの質の高さは、上階へと押し上げられた客ができることなら利用したいと待つエレベーターのデザインに集約されている。建築に関わるものなら思わずため息をついてしまう何とも考えられた美しいエレベーターのデザイン。できるだけデザインや機能を前に出さず、シンプルで快適な空間を作るためには、それらの全ての要素を把握し、そして自ら制御する。それがしっかりと出来ているこのエレベーターホールのデザイン。

エレベーターがなかなか降りてこないことを祈りながら、他の客の邪魔にならないようにとどうやってディテールを納めているのかじっくりと観察することにする。


ルイ・ヴィトン松屋銀座リニューアル 青木淳 2013 ★


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所在地  東京都中央区銀座
設計   青木淳
竣工   2013
機能   店舗改装
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いくら先行きが怪しくなったといえども、それでも中国人の爆買いの勢いは衰えを見せず、朝早くというのにこの街には見たところ中国人だという団体客で溢れている。そんな人の流れの向かう一つの先がこの建物。

「そういえば、いつの間にかリニューアルされていたな・・・」

と思い立ち、せっかくだからと見にいってみることに。デザインは元々の店舗を手がけた青木淳。2000年に設計された最初の店舗は二次元の店舗ファサードに何とも不思議な三次元の奥行きを持った魅力的なデザインでその後の銀座での有名建築家による有名ブランドのファサード・デザイン合戦の口火を切ったものである。

ネットで見ると、「なんだか元々の方が良かったのでは?」と思ってしまったが、判断は実際に見てからということで、元々は下層部のみで建物の角を覆うファサードだったのに対して、今度は8階建てのまるで独立した一つの建物の様な高さのあるファサードへと大きく変化した。

その横にあるティファニーやItoyaと比較しても、まさに銀座でのペンシルビルと言って過言で無いポロポーション。しかしそれはあくまでも松屋の一部分。なんだかこの時点でどうにも腑に落ちない感はたっぷりだが、そこには世界的ブランドの何かしらの事情があるのだろうと想像する。

デザインとしてはルイ・ヴィトンの代表的なパターンであるという「ダミエ・パターン」をスケールを変え、また三次元的なやわらかさを持った金属パネルにて表現しているという。これならば同じ銀座にあり、2004年に人工大理石にガラスを埋め込んで、同じ「ダミエ・パターン」をよりシンプルにファサードに採用した「ルイ・ヴィトン銀座並木通り店」の方が個人的にはよっぽど良かったのではと思いながら、中に吸い込まれている買い物客にの中のどれだけの人が、この店舗のファサードを記憶に留めて帰っていくのだろうかと想像すると、経済に翻弄される建築の悲しさを思わずにいられない。



2015年9月25日金曜日

月の花 9月 彼岸花


子供の頃、彼岸花(ヒガンバナ)を見ると、何かあの世との入り口ひ咲く花で、まるで死者がその美しさに吸い寄せられてくるような、なんともいえない怖さを感じていた。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、夏のうだるような暑さの記憶が薄らいだころにやってくる秋のお彼岸。秋分の日の前後であの世である彼岸(ひがん)に思いを馳せ、そこで暮らすであろう先祖を偲び供養をする仏教の儀式。

そんな時期に合わせて彼岸と此岸(しがん)の間に開くトンネルを祝うかのように、田んぼの縁や墓地などに真っ赤に咲きほこるのがこの彼岸花(ヒガンバナ)。別名をサンスクリット語に由来する曼珠沙華(マンジュシャゲ)と呼ばれ、なんとも不思議な、別の世界から舞い降りたような印象を与える特別な花である。

その妖しさは、毒を含み、モグラや野ネズミから土葬を守るために墓地に埋められたり、田畑の周辺に植えられたという、先祖たちの知恵と生息地域の関係性などもこの花の別名「毒花(どくばな)」「痺れ花(しびればな)」から感じ取ることができる。

花言葉は「悲しい思い出」というなんとも言えない宿命をそってしまったこの花。真っ赤に染まるように咲くその姿を見つけ、秋の深まりを感じる。そんなこの国に根ざした長月をすごしたいものである。

1月 / 水仙
2月 梅 / 椿 / シクラメン
3月 桃 / 沈丁花 / 白木蓮 
4月
5月 バラ
6月 紫陽花 / 花菖蒲 
7月 向日葵 / 朝顔 / 蓮
8月 コスモス / 向日葵
9月 彼岸花  / 金木犀
10月 シクラメン / 山茶花 / 金木犀
11月 菊
12月 水仙


2015年9月17日木曜日

「黒衣の刺客(刺客 聶隱娘)」 侯孝賢(ホウ・シャオシェン) 2015 ★★


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スタッフ
監督 侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
原作 裴鉶(ハイ・ケイ) 「聶隱娘」
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聶隠娘(ニエ・インニャン);舒淇(スー・チー)
田季安(ティエン・ジィアン);張震(チャン・チェン)
鏡磨きの青年);妻夫木聡
青年の妻;忽那汐里
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2015年第68回カンヌ国際映画祭 監督賞
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オフィスのマネージャーはかつて映画産業で働いていたこともあり、どうやらそちら関係の仕事をしている友人が多いようである。トコトコやってきて、「カンヌで賞をとったとてもアーティスティックな映画が今日まで上映しているので、スタッフに鑑賞させてあげるのはきっと仕事にとってもいい影響があると思う」というので、「なら午後に行こう」ということで、興味のあるというスタッフ計15人ほどで映画館へと足を運ぶ。せっかくなので、妻にも連絡をしてみると「興味ある」ということなので途中で拾って映画館へ。

台湾人監督によって、中国では有名な時代小説の映画化で、舞台は唐の時代ということらしい。プロットとしては幼いころに融解された少女が、暗殺者として教育されて地元に戻ってきて、暗殺を企てる相手はかつての許婚ということらしい。全体的に台詞が少なく、しかも発せられる台詞は漢詩のように非常に詩的な表現をとっているらしく、とても外国人が用意に理解できるものではなく、なんとなく雰囲気と後ろの席に座ったオフィスのマネージャーが英語にて耳元で説明してくれるのに耳を傾けながらなんとなく物語を理解していく。

日本でも、妻夫木聡と忽那汐里が出演したということで話題になったようであるが、妻夫木聡は物語上重要な登場人物として広く画面に現れるが、忽那汐里に関してはどうやっても見つけることができず、後々調べてみると彼女は日本版だけでの登場ということになっているらしい。上映場所によって微妙に編集を変えていく現代の映画産業においては、良くありがちなプロモーションの一環ということであろう。

とにもかくにも言葉を発せず、すり足で近づき、華麗な殺陣を立ち回り、それでいて人としての感情に揺れ動かされる主人公を中心に、全体に非常に詩的な雰囲気のある映像で構成される。カンヌで監督賞を受賞したというのも納得できる作品であるが、これを本当の意味で理解するには相当レベルの中国語の能力が必要であり、それが無ければやはり表面の美しさや雰囲気だけで理解して気になってしまうだけだろうと思いながら映画館を後にする。












2015年8月22日土曜日

月の花 8月 コスモス

「一ヶ月」というある程度の時間の幅があると、「今やらなければいけなくても、次の月までにはやれるだろう」と人の心の弱さが出るものである。

「一日」という単位で生きてしまいがちな日常。それに違った時間のスケールを挿入しようとやり始めた一年後との干支をその一年をかけて掘り出す「木彫り」。

8月の終わりになって夏休みの宿題を焦ってやりだす小学生時代の様に、「一年」と言うスケールは留まるところ「12月」にしわ寄せがやってくる。

それでいけないと今度は「一ヶ月」のスケールを感じながら日常を生きようと始めた月ごとの季節の花の絵を描いてフォトフレームに入れて飾る習慣。

それも同じく月末を苛めることからズルズルと次の月へと持ち込まれる心の規律の弱さを露呈することに・・・

これはいかんとせめて夏が終わる前にと着手した8月の花・コスモス。

1月 / 水仙
2月 梅 / 椿 
3月 桃 / 沈丁花 / 白木蓮 
4月 桜
5月 バラ
6月 紫陽花 / 花菖蒲 
7月 向日葵 / 朝顔 / 蓮
8月 コスモス / 向日葵
9月 彼岸花  / 金木犀
10月 シクラメン / 山茶花 / 金木犀
11月 菊
12月 水仙

こうしてじっくり向き合って見ると、今まで印象的だったコスモスの風景が記憶に蘇る。何年か前に行った北京郊外の百花山で咲き誇っていたコスモスの風景。あれもやはり8月だったと季節が花で繋がってくる。






2015年7月19日日曜日

月の花 7月 向日葵


ギラギラした日差しが照りつける、向日葵(ひまわり)畑で麦藁帽子に虫取り網で駆け回る子供たち。そんな夏の代名詞でもある向日葵。その名の由来は、花が太陽の方向を追うようにして動くことからきているという。

その性質から多くの向日葵が同じ方向を向く姿は、なんとも可愛らしい風景を作り出し、多くの人から愛されている。ちなみにこの性質は成長が著しい若い時期だけのものであるといい、花が完全に開いた花では東を向いたままとなるようである。

小さなころ、家の近くにあった油脂製造会社でも扱っていたヒマワリ油も、この向日葵の種を搾油し作られる。その工場から漂っていた独特の匂いも、この向日葵の一つの印象として、夏に咲き誇る向日葵の姿を見るたびに思い出すことになる。

すくっとたちあがり、燦燦と日を浴びる向日葵の花言葉は「私はあなただけを見つめる」「愛慕」「崇拝」。やはり太陽に向けて成長する姿や、その凛々しい姿から来ているのだろと想像する。

その名称は日本中に多くあるが、やはり一面に広がる向日葵畑となると、北海道や山梨などがよく知られているようである。

ヒマワリの名所・花の名所案内

夏には必ず向日葵に囲まれてその花々が顔を向ける太陽の恵みに想いを馳せる、そんな時間を持ちたいものである。

1月  / 水仙
2月 梅 / 椿 / シクラメン
3月 桃 / 沈丁花 / 白木蓮 
4月 
5月 バラ
6月 紫陽花 / 花菖蒲 
7月 向日葵 / 朝顔 / 蓮
8月 コスモス / 向日葵
9月 彼岸花  / 金木犀
10月 シクラメン / 山茶花 / 金木犀
11月 
12月 水仙

2015年6月13日土曜日

洛陽(河南省) ★★


「洛陽」と聞けば、古代中国の都として多くの風景が頭の中に浮かぶ名前である。正確には洛陽(らくよう、洛阳、Luòyáng)と呼ばれ、東周、後漢や西晋の首都として栄え、現代においても、北京や南京などと共に中国の「八大古都」の一つにあげられる都市である。

現在では中国の河南省(かなんしょう,河南省, Hénán)の中核都市として栄え、省都である 鄭州(ていしゅうし,郑州,Zhèngzhōu)と共に、約1億という中国でも最大の人口を誇る省である河南省の経済を支えている都市である。

河南省は所謂「中原(ちゅうげん、Zhōngyuán)」と呼ばれる黄河の中流と下流にかけての地域で、古代中国の多くの国が生まれ、覇権を争った歴史の舞台でもある。地図を見ていても、殷の都安陽、東周から長く都が置かれた洛陽、宋の都開封という3大古都を有する省でもある。

ではなぜその様に古代においてこの地が発展を遂げたかというと、地図をよく見てみると、省の北部を東西に貫く巨大な川が見えてくる。ズームアウトするとこの川が中国を東西に貫く二つの巨大河川の一つ「黄河」であることが見えてくる。その上流である西から順に、洛陽、鄭州、開封が位置していることが見えてくる。

さらに洛陽と鄭州の間、やや南に下ると中国五岳の1つの中岳である嵩山(すうざん、Sōng Shān)が聳え、禅宗の祖庭である嵩山少林寺を中心に禅の文化を発展してきた。

そんな歴史の拠点である洛陽にはぜひとも一度は訪れたいと願って止まなかったがついに機会が訪れたと、早朝の便で向かい、一日かけて市内を回り、深夜の便で北京に戻ることにする。

現在の市の中心には140万人が住むと言われ、中国ではそれほど規模の大きい都市とは思わないが、それでも100万人都市を考えたらやはり規模はかなりのものである。街中に入ると街を行きかう車のナンバーには「豫」の文字。それを目にすると日常とは違う場所に来たことを実感する。

街を東西に走る洛川の北がどうやら中心部のようであり、その東に位置するのが古い町並みの老城。その老城を東西に突っ切るように走るのが中州中路で、どうやらこれが街の中心道路であり、賑やかな商業施設がこの道沿いに展開する。

その一本南の西大街は老城の真ん中を突っ切り鼓楼まで達し、日が暮れてくると多くの人が道幅の狭い、車の走っていなかった時代の身体スケールの感じられる街並みを楽しみながら、道の両脇に展開する小吃を楽しんでいる。

街の南には世界遺産にも登録されている龍門石窟寺院。東の郊外には中国で一番最初の仏教寺院だといわれる白馬寺が位置し、悠久の歴史を感じるには十分の都市である。ただし、この時期はすでに太陽が真上から照りつけ、平坦な地形も手伝って日中は外を歩くことができないほどに暑くなり、その熱は夜になっても町中にこもってしまいなんとも夏は過ごしにくい都市である。

それでも、一度は足を運んでみたかった洛陽の地。現在のアジアのあちこちに流れる文化の源流もこの都市にあったのだと思いながら、できるだけ古代の風景を想像しながら一日を過ごすことにする。
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四大古都
六大古都  
八大古都
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河南省
黄河と長江
黄河と河南省

略称「豫」のナンバープレート