2009年10月5日月曜日

メキシコ ルチャリブレ














シルバーウィークを利用して、現地で働く彼女を訪ねてメキシコまで足を伸ばしてきた。仕事のついででなくて行く海外旅行はほんとに何年ぶりだろうか、と思いながらもほんとに楽しい時間になった。
メキシコ・シティではイギリスの大学院時代のクラスメートが合流してくれ、まるまる二日間、こちらの出したかなり無茶なリストをこなすために、車であっちこっちにつれまわしてくれ、お陰で遺跡も建築もルチャリブレも漏れなく堪能することができた。ほんとに感謝。
メキシコ・シティではバラガン、キャンデラ、オゴルマンを中心に現代を見て、どうしても見たかったホセ・ヴァスコンセロス図書館に行くことができて、数少ないメキシコ近代建築を見れてすっかり満足してしまった。本の物量との出会いに、このような方法があったのかと非常に感動し、マイ・ベスト・図書館ランキングのトップ10にランクイン。
ちなみにメキシコ・シティで見てきたのは、
バラガン邸、ヒラルディ邸、カプチーナス修道院(共にルイス・バラガン)
ラ・メダージャ・ミラグロッサ教会、地下鉄「キャンデラリア」駅、San José del Altillo、サンタモニカ教会(共にフェリックス・キャンデラ)
カーロとリベラの家(フアン・オゴルマン)
ホセ・ヴァスコンセロス図書館
メキシコ国立自治大学(UNAM
国立人類学博物館
メトロポリタン・カテドラル
はやりバラガンが圧倒的に愉しめた。全ての空間が他の何かの要素との関係性で成り立っていて、時間と共に常に異なる風景が建物の中に充満している、そんな印象だった。
そして最終日に、現地の友達の友達の彼氏になぜか付き添ってもらい、アリーナ・メヒコにてルチャリブレ観戦。ミル・マスカラスはいないが、ダンプ松本みたいな悪玉女子プロがダイブすると、会場全体が飛び上がりといった、とても分かりやすいショーを、ビール片手にとても汚い言葉をかけながら楽しむ姿は、「ああ、ドリフなんだな」と、なんだか納得しながら楽しんできた。
そんな分けでルチャリブレの写真を一枚。。

2009年9月29日火曜日

「華栄の丘」 宮城谷昌光 2003 ★★★

相変わらずなんともマイナーな主人公である。

春秋時代という孔子を始め多くの才能を世に送り出したカラフルな時代にも関わらず著者がスポットライトを当てるのは、歴史の中で舞台の中心にいた人物の隣に立って歴史が作られるのを手助けしてきた人々。なんとも謙虚なその姿。

今回も急にスポットライトを当てられたのは春秋時代の決して大国ではない、「宋」の宰相として活躍した「華元」。出目が特徴ななんとも可愛らしい姿の主人公は飄々と時代の中を駆け抜け、北の晋に南の楚という大国に囲まれながらも「負けることで最終的に勝つ」ことに国の存続を成し遂げた逸材。

現在の河南省を中心とし、商丘を首都として斉・晋・秦・魯などとともに、春秋時代の重要な役割を与えれれた国・宋。

「沙中の回廊」で描かれた同時代の隣国・晋。その国で名君・重耳に見出され、同じく宰相まで上り詰め、カラフルな春秋時代の1ページを描き出した士会同様、約3000年もの前の時代に生きた人々の息遣いが聞こえてきそうな著者の力量に圧倒される一冊である。

2009年8月21日金曜日

「時の渚」 笹本稜平 2001 ★★★★

「夏が終わろうとしていた」

と始まる相変わらずのハードボイルド小説。今回の舞台はいつもの山岳小説ではなく、事故で妻と息子を亡くし職を失った元刑事が、ホスピスで人生の最後の時間を過ごす老人から、35年前に生き別れた息子を探して欲しいと頼まれるとこから始まる。

老人が赤ん坊を託した女性を追うことで生き別れた息子へと辿りつこうとしやってくるのは信州の鬼無里村(きなさむら)。同時にかつて自分の妻子をひき殺した犯人を追う主人公。その家庭で向き合う様々な家族の絆。

しっかりと練られたプロットに、育ってきた背景まで見えてきそうな登場人物たち。35歳という年齢で交差する登場人物達のそれぞれの人生をその年齢にあと少しの時期に読むことができ幸せだと思える一冊である。
--------------------------------------------------------
第18回(2001年)サントリーミステリー大賞
第18回(2001年)サントリーミステリー読者賞
--------------------------------------------------------

2009年8月5日水曜日

「龍の契り」 服部真澄 2001 ★★★★

香港がイギリスから中国へ返還される1997年前夜。世界の一大経済拠点として西洋と東洋の中継地として成長した香港をみすみす中国に渡すのを快く思わなかった英国の中で、「香港を中国に返還しなくて良い」という密約が交わされていたとする秘密文書が見つかったとしたら?

そんな時代の雰囲気を呼んだ国際エンターテイメント小説。著者はこれがデビュー作という服部真澄。それにも関わらず第114回の直木賞候補までなったというからその後の活躍が納得というもの。

時代を遡ると中国からイギリスに香港が譲渡されたのが1842年。戦後の中国の発展により当時の書記長である鄧小平とイギリスのサッチャー首相との交渉により、段階的に香港を中国に返還していくことが決められ、その期日として定められたのが1997年7月1日。

香港におけるイギリス統治の象徴的な存在でもある上海香港銀行(HSBC)。

アメリカ・ハリウッド
イギリス・ロンドン
香港
アメリカ・ワシントン
中国・北京

スポーツヴィジョンという動きの中でも情報を的確に捉える視覚機能の訓練や、速読によって情報を切捨てす術を得た日本の外交官沢木喬が何十にも重なる陰謀と策略の網の中を掻い潜っていく。

その姿を見ると、やはりこれだけ世界が小さくなった現代において、能力のある人間はどんどん世界を駆けめぐりながら日常を過ごしていくのだろうと思いながらページを閉じる。
--------------------------------------------------------
東洋の富の一大拠点・香港。その返還を前に、永い眠りから覚醒するかのように突如浮上した、返還に関する謎の密約。いつ、誰が締結し、誰を利するものなのか―。全焼したロンドンのスタジオから忽然と消えた機密文書をめぐる英・中・米・日の熾烈な争奪戦が、世紀末の北京でついにクライマックスを迎えるとき、いにしえの密約文書は果たして誰の手に落ち、何を開示するのか。
--------------------------------------------------------

2009年7月29日水曜日

「TENGU」 柴田哲孝 2006 ★★



「大気が動き出した。 奴はやってくる。」

そんな書き出しから想像させるのは、十分なハードボイルドと如何にも怪しげなUMAの世界。

20年以上も前に起こった群馬の小さなマタギの村で起こった殺人事件。現在は中央通信記者を努める道平慶一がその事件の真相を追うという展開。

明らかに人間の力を超えた何者かの仕業であったその殺人事件。圧倒的な力と残虐性。そして伝説から想起される天狗の存在。

事件の陰で暗躍する米軍の動きと、事件の鍵を握る盲目の美人・彩恵子の存在。

そのオチにはぶっ飛ばされるが、UMA、謀略好きには堪らないハードボイルド作品。



--------------------------------------------------------
第9回(2007年) 大藪春彦賞受賞
--------------------------------------------------------

「KAPPA」 柴田哲孝 2007 ★★★

UMA好きで、川口浩探検隊に胸を躍らせて小学校時代を送った年代の男性には堪らない内容の小説。

ライターの有賀雄二郎が、ランドクルーザーを飛ばして茨城県牛久沼へ。追ってきたのは噂される「河童伝説」・・・

コールマンのカナディアン・カヌー。
プラノのタックルボックス。
ガーバーのサバイバルナイフ 。

まったく分からないが、アウトドアに憧憬を覚える世代にはこんな大人になりたいと思わずにいられないような単語が飛び交う。

ポークというルアー
ラインは14ポンドテスト リールもABU3500C タックル
小麦粉をまぶしてムニエルに
バスロッド ベイト スピニング
スウェーデンのABU社

などと、兎に角作者の自己満足、自己顕示欲の様な描写が続き、釣り自慢を書きたかったからこの主題を選んだのか、それとも・・・と卵が先か、鶏が先か考えながらも読み続けることになる。

外来種による生態系破壊の深刻さという、全うなオチで終わりながらも、伝説とUMAを絡ませ、ドキドキハラハラさせて最後まで飽きさせないその手法に納得し、自作を期待させるに十分な一冊。

「RYU」 柴田哲孝 2009 ★★

ハードボイルド好きには堪らない作者のUMAシリーズ第二弾。今度のモチーフは「竜」。

ジャックと有賀雄二郎が今度は沖縄を舞台に、失踪をする米兵と、原因不明ながら殺される家畜から、噂される沖縄の伝説の双頭の竜「クチフラチャ」の存在を追うことに。

謎の米軍の行動に、遺伝子操作で恐竜を蘇らせたのでは?という疑惑と、送りつけられてくる謎の巨大生物の写真。

巨大生物好きで、UMA好きで、謎の冒険好きな男性には堪らない展開。いくらフィクションだと分かりながらも、かつての水曜スペシャル・川口浩探検隊を思い出しながら、存分に楽しめる内容。