完全に建築界における次世代の中心メンバーとなったイギリス人のトーマス・ヘザーウィック(Thomas Heatherwick) 。ロンドン出身でロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)でデザインを学び、卒業後すぐに自らのデザイン事務所を立ち上げ、今では世界を代表する建築家の一人として様々な場所でプロジェクトを手がける。
主なプロジェクトを年代別に見ていくと
2001年 Blue Carpet, Newcastle-Upon-Tyne
2002年 Paternoster Vents, Paternoster Square, London
2005年 B of the Bang, Manchester
2005年 Bleigiessen, Wellcome Trust, London
2005年 The Rolling Bridge (also known as "the curling bridge"), Paddington Basin, London
2005年 East Beach Cafe, Littlehampton, West Sussex
2006年 Longchamp store in the SoHo district of New York City
2006年 Interior, Konstam Restaurant, Kings Cross, London WC1
2008年 Southorn Playground, Wan Chai, Hong Kong
2007年 Boiler Suit, Guy's Approaches, Guy's & St Thomas' Hospital, London
2008年 Sitooterie II, Barnards Farm, West Horndon, Essex.
2009年 Studios Complex at Aberystwyth Arts Centre, Aberystwyth University
2009年 Extrusions, London Design Festival 09
2010年 "Seed Cathedral", the UK pavilion at the Shanghai Expo 2010
2010年 Spun Chair, Milan Salone 2010
2011年 Pacific Place, Hong Kong
2012年 London 2012 Summer Olympics and Paralympics cauldron
2012年 New Routemaster(London Bus, Borisbus, Borismaster)
2014年 Bombay Sapphire Distillery, Hampshire
2015年 Nanyang Technological University Learning Hub, Singapore
2016年 Zeitz Museum of Contemporary Art Africa, Cape Town
2016年 Pier55, New York
2018年 Garden Bridge, London
インテリアや家具的スケールの作品から、ある時を境に一気に建築へ、しかもかなり大規模な建築作品を手がけるようになり、今では建築を通り越してインフラスケールの作品まで手を伸ばしている。最近ではBIGとともにGoogle Mountain View Campusを設計したことでも良く知られる。
その重要な転換点ともいえるのがこの香港にある複合施設。イギリス・ロンドンを拠点とする巨大コングロマリットのスワイヤー・グループ(Swire Group,太古集团)が中華圏で知られる「太古(Taikoo)」の名前を冠した商業開発プロジェクトで、中国国内の拠点都市にも同様の手法を持って展開し、それぞれにおいて非常に商業的成功を収めている不動産開発の香港バージョンというわけである。
銀行群が密集する金鐘(アドミラリティ)の中心地に位置し、巨大なショッピング・モールと、三つのホテル、映画館、レストランなどが入った商業施設で、地下において直接地下鉄に直結していることもあり、非常に成功を収めているようである。
なんといっても、外構も含めてデザインを行ったヘザーウィックはこれだけ複雑な機能が入り組んでいるにも関わらず、非常に特徴的でまたうまく全体を統合する能力を見せて、建築設計の上でも非常に注目されているプロジェクトのため、ぜひとも一度実物を見てみたいと思っていた建築である。
分散させるのではなく、入り口付近に集中して配置したトイレは、恐らく世界でも最も有名なトイレの一つとなったのではと思えるほど、よくデザインされており、それが実際にどのように使われているのかを確認し、多用される曲線が、思ったよりは制御されており、しっかりと標準部分と特殊部分に整理されており、破綻することなく全体をカバーしていることなどを学び、外構の植栽周りのデザインや、天窓のデザインにいたるまで、しっかりと設計事務所の手が入っており、それが最後の施工までしっかりとカバーされてクオリティを保っている事実に、かなり衝撃を受けながら、地下に入っている広東レストランで、カリカリのクリスピー・ベリー・ポークを食べながら、じっくりと消化することにする。
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