2006大晦日。一歳5ヶ月の甥を乗せ、兄夫婦と共に帰省の途につく。
チャイルドシートに括られた彼の視線の席には、車内テレビを使って流されるDVD。兄がせっせと蓄えたというNHK番組「お母さんといっしょ」のスペシャル・エディション。
「はいはい」をやや遅れ気味で卒業した甥は、身体の自由を獲得してからというもの、束縛されることに過激なる拒否反応を示すという。例えばチャイルドシート。括り付けられしばらくすると・・・「ギャーーーーーーー」というわけ。そうなるとリーサル・ウェポン、視覚と聴覚を同時に刺激し、さらに身体性をも喚起する永遠なるドル箱番組「お母さんといっしょ」の登場となる。朝の番組を録画、編集してるから、画面左上の時間表示は常に8時半あたりで少々ややこしいが、これをつけると甥はぴたりとそのムンク級の叫びに終止符を打つ。そうなると助手席に座る僕はただの障害物。「邪魔だよ、おじさん」と伝える手立てのない彼は、身体を仰け反らせて画面に食い入ることで、僕の身体を動かすのに十分なアピールをする。
こちらは麻布の更科そばを手土産に帰っていったのだが、兄はなぜかDVDプレイヤー。孫のすがたをいつでも見れるように、という意図の奥底には、いつでも「お母さんがいっしょ」が流せるようにという伏線が引かれていたとしるのは後からのこと。
ちょっとママが見えなくなると、ほしい携帯をくれないと、ペットボトルのキャップが空かないと、グゥーーっと身体を後ろにそらして、「ギャーー」。「よ、イナバウワー!!」とはしゃいでるのは僕だけで、兄夫婦はさっとリーサルウェポン起動。どこからともなく流れる「おしりフリフリ」。そしてイナバウワー終了。
この「お母さんといっしょ」。MCが二人いるのだが、時代だなと思ったのは、女性が元宝塚。男性が元劇団四季。歌って良し、踊って良し、笑顔は満点。そしてイケメンに、可愛いとくれば、若い親世代までがっちりハートをつかめるわけだ。これははずさないなと、なんだか納得。見慣れてくると、男性MCの作り笑顔っぷりが少々気になるという兄のさりげない言葉にもなんだか納得。
須藤元気の引退宣言も、桜庭の壮絶なKO負けも、OZMAの裸スーツも見ることなく、ひたすら、ひたすら「おしりフリフリ」の年明け。日本に帰ってからテレビを購入してないので、久々のテレビに少々期待をしていたが、まぁこういうのもいいかなと。一人「フリフリ」を口ずさみながら、「これが初夢に出てきたらどういう意味なんだろう」としなくてもいい心配をしながら除夜の鐘を聞く2006の末。
かしこ。
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