映像系の仕事をしている友人が、興奮気味に「あれは良かった。ぜひ見るべき。」と薦めてきていたのを思い出し、「せっかくなので・・・」と手にとってみて一作。
近未来の日本はデジタル・メディアが発達して、今では想像もつかないほどにヴァーチャルとリアルの世界の境界線が曖昧にあり、複雑に入り組むようになっている世界観を構築しながらも、信州上田というとんでもない「ローテク」な田舎を舞台にし巻き起こるドタバタ劇。
高校の憧れの先輩に夏の間の彼氏役というバイトを頼まれ向かう先輩の実家の長野。名家だけあって、とんでもなくデカイお屋敷と、いろんな人が出入りする大家族像。そこで迎えるのは大婆ちゃんの誕生日会。
仮想空間OZで繰り広げられるAIの攻防。アメリカ軍から探査衛星なども登場し、とても複雑なプログラミングを打ち出したかと思えば、結局は「花札」というゲームで「こいこい」と勝負が決められたりと、しっかりとデジタルとアナログのバランスをとっていく。
全編にわたってちりばめられるその独特な映像表現は、何かのキノコを食べたときにでも見えてきそうな毒々しくも魅惑的な世界観。「時をかける少女」に続いてのアニメ作品ということで、期待も大きかったために賛否両論あるという作品だが、映像的にみたらそこまで飛びぬけているかといったら疑問符もつくだろう。
しかし、原作が監督である細田守自身の作だと知ってしまうと、「花札」のルールからOZの設定まで考える思考力と、そして各シーンの細部まで破綻していない世界観を作り出す想像力の絶妙なバランスを考えると、やはり凄い才能なのだろうと思わずにいられない。
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監督 細田守
原作 細田守
キャスト
神木隆之介 小磯健二
桜庭ななみ 篠原夏希
富司純子 陣内栄
谷村美月 池沢佳主馬
斎藤歩 陣内侘助
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