2021年8月11日水曜日

イームズハウス Eames House_イームズ Charles and Ray Eames_1949 ★★★★★

チャールズとレイのイームズ夫妻

名作建築の日めくりをめくっていると、三分の一くらいは住宅だということに気が付く。やはり建築の力が発揮されるのは生活の拠点となる住宅で、建築家の自邸をなるとそれがより色濃くでるのだろうと思いながら、頭に浮かんでくるのはどの住宅の空間かを考えるのが毎週の日課になりつつある今日この頃。今日は、数年前LAオフィスの引っ越しに合わせて、やっと訪れることができたイームズハウス。

建築家というよりも、工業製品として椅子などの家具を世に広めたことで、よりデザイナーとしてよく知られているチャールズとレイのイームズ夫妻。彼らが参加したケース・スタディ・ハウスの一環として設計・建設され、彼らが長く拠点とした住宅でもある。
 
工業化時代の住宅の在り方を示すために、流通している既製品のみを使い、躯体から内装まで設計されており、そのために建設費を抑えたシンプルなデザインでありながら、内部に様々なディテールが散りばめられ、太平洋を見下ろす崖の上という立地と、広い庭の空間も合わせて、コンパクトではあるが、とてもとても豊かな生活空間が作り出されている。
 
さて、この住宅は現在Eames Foundationというイームズ達の孫たちが所有する組織によって運営がされており、一般にも開放されている。ただし見学するには事前にHPにて予約する必要があり、外部だけ見学するのは比較的安くかつ自由に見ることができるのだが、内部を見ようとすると、ガイドによるツアーに参加しなくてはならず、ツアーの回数や時間も決まっており、かつその値段も日本では考えられないくらい高額である。しかし、せっかくの機会だからと思い事前予約し、先方から指定された近くに車を止めて、徒歩で住宅に向かう。

「No Transpassing」という看板が敷地の入り口に大きく掲げられており、通り抜け(transpass)というのは、学校で習う単語かな?と考えながら、指示に沿って事務局へ登録に。今日の参加者は一人ということで、ガイドの女性からまずはEames Foundationとツアーの意図などの説明があり、室内は撮影禁止と言い渡されてツアー開始。





吹き抜けのリビングから始まり、ニッチスペースに設置されて視線を低くしたソファーセットからイームズ夫妻はプロジェクターで映し出した映画を観ていたという話を聞きながら、「Powers of Ten」もきっと投影していたんだろうと想像を膨らませ、廊下と螺旋階段を抜けてダイニングへ。非常にコンパクトであるが心地よい空間で、南から十分な光が入り、気持ちが良ければどこも空けることができる窓から風が入り込み、ここで朝ごはんを食べたらさぞや気持ち良いことだろうと想像しつつ、二階へ。収納と一体となったコンパクトな廊下を抜けると、 ベッドルームがリビングルームに面するように設置されており、逆側は二つのブロックの間に設けられた中庭に面した書斎空間。どこも経済的なスパンから求めらた寸法で、どのドアも同じサイズで、非常に効率的でコンパクトなプランであるが、決して窮屈ではない。
 
一階に戻り、ダイニング脇から中庭を経由してオフィスとして使われていた離れへ。吹き抜けが作業スペースで二階はもともとは寝室として使われていたそうだが今はオフィススペースとして利用しているという。二階からボールを落とすと木の板が音を立てながら、ボールが徐々に下に落ちていくという可愛いおもちゃも、イームズ達の作ったものだと教えてもらう。
 
最後は庭にでて、端においてある展示パネルや、崖の下に広がる街の風景と、その先に見える太平洋の風景を見ながら、ここなら一生の住み家として何の文句もないだろうなと思いながら、内容に十分満足しながら、ツアーを終了する。 






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